本好きの下剋上 第四部第一話 1
もはや説明するまでもない気がする「小説家になろう」出身の大ヒットライトノベル「本好きの下剋上」。
本がろくにない、識字率も低い異世界の貧民街に転生した本好きの主人公が、粘土板やパピルスから少しずつ紙を作り、学問を広め、本を増やし、理想の図書館を手に入れるまでの物語。
を今更になって全話一気読みしたら、案の定ドはまりしてしまいましたという話。
なんでいきなり4部コミカライズなのかというと、単純に私が「ベイビーステップ」の大ファンで、勝木先生のコミカライズから「本好き」に入ったからです。
まさか、テニス漫画からライトノベルのコミカライズに転身するとは思わなかった…。
週刊少年マガジンで単行本47冊出しているだけあって、コミカライズの中でも屈指の作画クオリティです。
いきなり4部から入ったので話や世界観がさっぱりなところはあったんだけど、ちょうどアニメの再放送があったりしたおかげで、なんとか追えていました。
そしてふと調べたら、普通に「小説家になろう」でまだ原作全話公開してたというね。
書籍化に際してWEB版は下げるものと思いこんでいたよ…。
小説版の感想もいいかなと思ったんだけど、全677話のレビューはさすがに当サイトが本好き専門感想ブログ化してしまうので、当面は漫画版の話ですね。
#1「浦島太郎なわたし」
4部のスタートは、ローゼマイン様が2年の眠りから覚めるところから。
当然4部なので、3部までのストーリーはここでは語られていませんね。
ユレーヴェ
1話冒頭でローゼマインが浸かっていたお風呂みたいなやつ。
体内で固まった魔力を溶かす薬で、このユレーヴェに使う素材を集めるのが3部のメインストーリーラインのひとつ。
この世界の貴族(魔力を持った人)は死ぬと体内の魔力が固まり、肉体が削げ落ち、最後には魔石に変化する。
ローゼマインは幼い頃に一度死に、体内に魔力の塊が出来ており、それを溶かすためにユレーヴェに浸かって眠りについた。
もっとも、この後すぐに語られるとおり品質が足りなかったため、ローゼマインの体内の魔力塊は完全には溶けていません。
これは3部の終盤で、暴漢に薬を飲まされて死にかけて、更に魔力が余計に固まったせい。
本来ただ体を痺れさせるだけのマヒ薬だったのだが、虚弱体質のローゼマインはそれで死にかけた。虚弱さを示すエピソードの一つですね。
わたし なんだか「浦島太郎」なんですけれど!
日本人から転生したローゼマインは「浦島太郎」を知っているが、この世界には無いためフェルディナンドには意味がわからなかった。
他、ローゼマインがシンデレラの話を聞かせるショートエピソードがあるが、フェルディナンドは王族と平民が結婚するなどありえぬと一蹴した。
この世界ではお互いの魔力量が釣り合わないと子どもが出来ないため、魔力を持たない平民と貴族・王族ではそもそも結婚がありえないという話。
神殿の側仕えたち。ローゼマインは現在神殿のトップである神殿長、並びに神殿に併設されている孤児院の院長も勤めており、身の回りに世話や仕事をしてくれる部下が大量にいます。
ギル(画像左)成長しすぎじゃない?と思ったけど13歳→15歳ってこんなもんか。小6が中2、3くらいの成長してるんだもんな。
ちなみにローゼマインが言っているとおり、女性は15歳で成人を迎えると下ろしていた髪を上げるようになります。
なので大人キャラはロングヘアを下ろしているキャラが一人もいません。ロングヘア好きとしてはちょっと寂しい。
落ち着かねば暴走するぞ
フェルディナンド様がローゼマインの額に当てたのは、中に魔力の入っていないカラの魔石。
感情が乱れたローゼマインの中で暴れだした魔力をこれで吸い出しています。
この魔力暴走体質とは長年付き合っていくことになるため、魔石で吸い出して落ち着かせる対処療法はこれからも頻出します。
シャルロッテは無事でしたか?
3部のクライマックスで起きる、領主の館に暴漢が乗り込んでシャルロッテ(ローゼマインの義理の妹で領主の娘)を拉致した事件。
シャルロッテはローゼマインの護衛騎士により救われましたが、代わりにローゼマインが攫われかけ、毒を飲まされます。
各部の漫画が並行して連載しているので、3部漫画ではまだこの辺やってないんですよね。
ちなみにフェルディナンド様の言う「ローゼマリーの親族」とはジョイソターク子爵のこと。
ローゼマインの素性は非常にややこしいのですが、書類上の母親ローゼマリー(故人。しかも実際には全然ローゼマインの親でもなんでもない)の兄がジョイソターク子爵。
ローゼマイン
ローゼマインは元々平民ですが、魔力の量と金を稼ぐ才覚を見込まれ、1・2部のストーリーを経て3部で領主の養子となります。
ただし平民という素性が養子入りに邪魔なため、領主の護衛騎士であるカルステッドの娘というニセの素性を持って貴族社会デビューをしました。
そのため、ローゼマインが元々平民であるということは、貴族街では領主とカルステッド(と企んだフェルディナンド様)くらいしか知りません。
あとはフェルディナンド様の部下であるユストクスとエックハルトと、平民時代から付き合いのあった護衛騎士ダームエルのみ。
現在の「書類上の実兄」であるコルネリウスにさえ、ローゼマインの生まれについては秘匿されています。
コルネリウス当人は、神殿に隠されていた腹違いの妹だと思っています。ちょっと可哀相。
ローゼマリーは、そのローゼマインの書類上の父となったカルステッドの第三夫人です。
すでにローゼマリーは死んでいるため、これを利用してローゼマリーが産んだ後神殿に隠していた娘、というのがローゼマインのカバーストーリー。
もっともこの世界の通念上、7歳の子供が参加する洗礼式のときに親として帯同した人間を親とする仕組みがあるため、社会通念上はローゼマインの親はカルステッドと第一夫人のエルヴィーラ。
洗礼式
7歳を迎えた子どもが参加する式で、エーレンフェストの住民として公に登録される儀式。
それまでは一人の人間としては数えないのがこの世界の常識。それゆえ洗礼式でははじめに「新たなるエーレンフェストの子を迎えよ」という決まり文句があったりもする。
このとき始めて市民権が認められ、また公式の「親」が決まる。ローゼマインはカルステッドとエルヴィーラの子として洗礼式を受けた。
つまり7歳未満の子どもを扱う場合、養子縁組というシステム自体が存在しないことになる。
ローゼマインはカルステッドの子として洗礼式を受けた「後に」、エーレンフェストの領主ジルヴェスターとの養子縁組を行った。
この若くして死んだローゼマリーの子が領主の養子になったということで、調子をこいて接近してきたのがジョイソターク子爵。
領主と繋がりが出来たぞとイキっていたものの、(実際には縁もゆかりもないため)ローゼマインが遠ざけていたところ、暴走しました。
この事件にはきちんと黒幕がいるのですが、この時点ではハッキリさせられていません。
ゲルラッハ子爵
現在黒幕と思われている男。
ギーべという地方を治める立場を持つそれなりに格の高い貴族なのだが、エーレンフェストの外に嫁いだ元領主一族のゲオルギーネに心酔しており、現領主一派に悪感情を持っている。
ランプレヒトの結婚
現在のエーレンフェストとアーレンスバッハの関係を明確に示すワンシーン。
アーレンスバッハ領主の第一夫人であるゲオルギーネは、元エーレンフェストの領主一族であり、領主としての教育もされていたものの、現領主であるジルヴェスターに領主の座を奪われ、自分は他領(アーレンスバッハ)に嫁がされた人物。
自分を追い出したエーレンフェストを憎んでいるため、2・3部でいくつかの騒動を起こしている。
エーレンフェストとしては要注意対象のため、エーレンフェストの次期領主であるヴィルフリートの側近であるランプレヒトの嫁がアーレンスバッハの女、というのは非常によろしくないのです。
それは上級貴族の第一夫人の立場で得られる情報が、そのままアーレンスバッハに流れる可能性があるため。
このアーレンスバッハとの複雑な関係性は、最終章まで色々と形を変えながら続いていきます。要チェックポイントですね。
ブリギッテとダームエル
3部でローゼマインの護衛騎士として働いていたブリギッテは中級貴族の女騎士。
一方ダームエルは下級貴族で、2部で起きた事件からローゼマインの専属護衛騎士のような立場になり、そのまま側近として取り立てられています。
3部で紆余曲折を経て二人は両思いになったものの、ブリギッテはイルクナーというエーレンフェストの領地の一部を治めるイルクナー子爵領の娘。
結婚するならイルクナーに来て一緒に土地を納めてくれ、とブリギッテは願い、ダームエルはローゼマインの騎士であるため結婚を断りました。
これは護衛騎士であっても結局は土地持ち(別に守るものがある)の貴族と、主を自分よりも優先して守る専属護衛騎士の立場の違いを表すエピソードでした。
ダームエルは両思いの女性と別れることになりましたが、結果としてローゼマイン周りの大人たちからは「本物の騎士だ」と評価を高めました。
その後ブリギッテは別の人と結婚してイルクナーに帰省、ローゼマインから託された製紙業に携わっています。
イルクナー
エーレンフェスト直轄地の南西にある、言ってしまえば田舎くさい領地。
自然が多く水が綺麗なため、製紙業には最適な地域。貴族と平民の敷居が低いところも、下町育ちのローゼマインのツボにハマった。
3部でローゼマインと専属の職人たちで大移動をし、直轄地で育てた製紙業の技術を伝授させた。
本を作るには紙がいくらあっても足りないとはローゼマインの弁。
ローゼマインとしては、しばらく一緒に居たブリギッテが急にいなくなって寂しいところ。
彼女の中で一番大きな変化なんじゃないでしょうか。
もっとも2話でリヒャルダに言われる通り、製紙業で関わるためブリギッテとの縁が切れたわけではありません。出番もまだまだあります。
彼らの成長を恐れるのではなく、労ってやりなさい
マジで良いセリフ。ここでフェルディナンド様のことをかなり好きになった。
神官長は仕事のできる人のことはきちんと評価するよね。
貴族院
4部の主な舞台となる、貴族の子供たちが通う学校のこと。
ここで学び、シュタープと呼ばれる魔術具を手に入れないと正式に貴族としては認められない。
ローゼマインは貴族院を出て成人したら領主の娘としての仕事をせねばならないため、どうせなら入学を一年遅らせて、その分神殿や下町とか変わっていたいというのが本音。
一方のフェルディナンド様は、ローゼマインに貴族としての瑕疵を残したくないため、浪人はなんとしても避けたい立場です。
神殿の2年間
ユレーヴェで眠る前にローゼマインがいくつか指示を出していたため、それに従って動いていた側仕えたち。
フランはローゼマインの神殿における側仕え筆頭で、元はフェルディナンド様の側仕えでした。
2部で色々あって、元平民のローゼマインを真の主として認め従っています。神殿でのお母さんみたいなポジション。
ローゼマインがしていた書類仕事が出来なくなった分をフェルディナンド様が引き受けていたため、今の彼はヤク漬け状態です。
フーゴとエラの結婚
どちらも2部以降でローゼマインと出会った料理人。
ローゼマインが領主の娘となったことで、彼らも急にお貴族様の専属シェフとなってしまった。
物語本編に顔を見せるシーンはそう多くないが、その裏でローゼマインたちの食事を作っているのは基本彼ら。貴族院にも着いてきてくれます。
孤児院からの報告
ローゼマインが院長を勤める孤児院。ヴィルマは孤児院の実質的なリーダーです。
孤児院はどうしても子どもを育てられない平民や、青色神官が側仕えに生ませた子どもが最終的にたどり着く場所。
前述のとおり、この世界では7歳までは人として認められていないため、劣悪な環境でいつ死んでもおかしくない暮らしをしていた。
やがてローゼマインが院長になると、現代人的観点から環境の改善が行われ、現在は手に職をつけるため製紙業や印刷業に携わる「ローゼマイン工房」としての側面も持つ。
青色神官/青色巫女
元々貴族の家に生まれたものの、家の都合や、家格に合わない魔力で生まれた落ちこぼれが送り込まれてなるもの。
この作品で一番人材の良し悪しが割れるところで、複雑な家庭事情から青色神官になったもののこの世界屈指の魔力量を持つフェルディナンド様から、他領の人間をエーレンフェストに引き込んで処刑された犯罪者まで多種多様。
2部までのローゼマインは青色巫女(未成年なのであくまで「見習い」)として、神殿で働いていた。
主な仕事は、エーレンフェスト内の神事に携わり、土地に魔力を満たすこと。
なので魔力を持たない平民は青色神官にはなれない。あくまで貴族の職分となる。
土地に魔力がないと農作物が育たないため、実はかなり重要な立場…なのだが、社会的地位は極めて低く「あくまで平民の上」程度。
家から追い出された元貴族、という立場が貴族社会での蔑視の元と思われる。
灰色神官/灰色巫女
こちらは完全に平民。成人を迎えた孤児が就く仕事で、孤児院の運営に下働きとして携わったりする。
有能な人間の場合は青色神官の側仕えとして雇用されることもあり、フランやザームはそのポジション。
側仕え
基本的には主の身の回りのお世話をする仕事のことで、神殿長ローゼマインにとってはフラン、モニカ、ザームがそれにあたる。
領主の娘ローゼマインにとっては、リヒャルダとオティーリエ。
言葉の響き的に下っ端っぽい雰囲気があるが、貴族の側仕えは基本的に貴族がなるものであり、領主の娘の側仕えともなれば名誉なお仕事。
神殿長を兼任するという異端の経歴を持つローゼマインは灰色神官(平民)の側仕えがいるが、これは非常に珍しい例。
一方、青色神官の側仕えの中には、性欲処理のために使われる人間もおり、孤児院には妊娠した側仕えが産んだ子どもも多い。
邪悪な空気感が漂うが、青色神官の側仕えは灰色巫女よりは良い立場のため、その庇護を受けるために体を差し出して側仕えになろうとする女性も結構いるらしい。
ハッセの小神殿
3部でローゼマインが関わったハッセの街に作られた、新しい神殿のこと。
ハッセの住人の協力を得て、無事出産に成功した。
現在のエーレンフェストの神殿には、出産に関するノウハウが一切無かったということでもある。
ヴィルマ
ローゼマインの側仕え兼イラストレーター。ローゼマインが出版した絵本の挿絵を描いてくれる超レアスキル持ちの灰色巫女。
訳あって男性恐怖症に陥っていたが、ローゼマインが眠っている2年のうちに苦手意識をだいぶ克服し、成長していたことが判明した。
神官長が恐れるなと言ってくれた、側仕えたちの成長の一幕でした。
工房の報告
ローゼマインが主導して行っている、エーレンフェストの新しい事業「印刷」。
これまで手書きによる写本しか無かった世界に、日本人時代の知識からガリ版印刷と活版印刷を持ち込み、印刷業の歴史を数百年分くらいゴリ押しで進めた。
劇中一番の笑顔。ローゼマインにとって、知らぬ間に本が5冊も作られていたことは望外の喜びです。
ハルデンツェル
ローゼマインの母となったエルヴィーラの実家がある土地で、エーレンフェスト直轄地の北にある。
川の水が凍るほどに寒い土地のため、製紙には向かないが、建物に閉じこもる冬の手仕事の一環として印刷業が行われるようになりました。
グーテンベルク
15世紀ドイツの金細工職人で、活版印刷の実用化に成功した歴史上の人物。
ローゼマインはこの名前にあやかって、エーレンフェストで本の製作に携わってくれる職人の称号として「グーテンベルク」の名前を使っている。
この称号を持っているのは、本を売ってくれるルッツ、その所属するプランタン商会の大旦那であるベンノ、金細工職人のヨハン、インク製作担当のヨゼフとハイディなど。
ギルもグーテンベルクの一員で、孤児院の灰色見習いながら本にまつわる仕事のときは、ローゼマインからのご指名でメッセンジャーを勤めたりしている。
ダームエル
前述の下級貴族にして、ローゼマインの護衛騎士。
2部でとあるやらかしがあって騎士としての立場を失うところだったが、ローゼマインの配慮により「一年の見習い騎士への降格」を経て正規の騎士へと復帰した。
ローゼマインが下町の平民だった頃から付き合いがあり、ローゼマインの秘密を最も知る側近として唯一無二の立場。
この1話冒頭でフェルディナンド様が内心考えていたとおり、エーレンフェスト直轄地を離れるならローゼマインの秘密漏洩を防ぐため暗殺も考えられていたくらい唯一無二。
実は結構ギリギリのところで生きているが、騎士として生真面目で努力家だったゆえに今の立場を保っている努力と運の男。
ボニファティウス
ダームエルの訓練相手となったボニファティウスは、領主の伯父でカルステッドの父親。
ボニファティウスにとってローゼマインは唯一の孫娘。そのためローゼマインを溺愛しており、その護衛騎士を鍛えるのもおじいちゃんの責務。
エーレンフェスト最強の男で、武装した暴漢をぶん殴って撃滅できるくらい強い。
まだ1話の半分くらいしか感想を書いてないんだけど、あまりに文字量が多くなったので今回はここまで。
次回は神殿にプランタン商会がやってくるところからですね。