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K2名作エピソードランキング 「最新技術」編

2023/05/28

ぼんやりしているうちに、K2の全話無料ももうそろそろ終わりの時期になってしまいました。
前回の記事書いたの2ヶ月以上前だぜ…と思ったんだけど、そもそも2ヶ月以上無料で公開してたんだな…すご。

個人的には単行本も買い揃えているし、いつK2の話をしてもいいんだけど、布教するからには無料期間のうちにもっと布教したかった…。

医療の進化を実感できる、「最新技術」編

というわけで今回は、医療技術の進歩をテーマにおすすめ回の布教です。
K2に限らず、ニュースで医療の最新情報を追っていると「今そんなこと出来るの!?」ってビックリすることしきり。

最近のビックリ最新医療だと「脊髄損傷患者「無線」で歩行回復 脳の命令を腰の近くの装置へ」とか「細菌の薬剤耐性化の原因となる因子とその発現メカニズムを解明」とか。
下半身まひがある程度治癒して、杖があれば装置ナシで歩けるようになっちゃったとか、特定の菌に対して薬剤耐性菌が産まれるメカニズムを解明したとか、医療はどこまで行くんだってお話が割と月に1、2件くらいのペースでぽこぽこ出てくる。

第69・70話「2本のメス」


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ある日の診療所を訪れたのは、K先生も見知らぬ集落の外からの患者。
玄関先で倒れてしまった彼には2つの手術跡があり…。

ある種、K2という作品を象徴するエピソード。
単行本1桁巻の頃の話としてはとびきり好きな回です。一桁巻だよな?って確認したら7巻でした。

この前に入る3話構成のエピソード「家督」も素晴らしい回なのでK2の7巻は特に当たり巻だ。

ネタバレ感想

狭心症という一つの症状と数十年戦い続ける男性。その節目節目にはKの一族が居た…というもはやKの一族の歴史回。
一也の言う「この体に医学の歴史が詰まっているようだ!」という言葉が美しい。

狭心症とは、心臓の血管が詰まったりして血液の流れが滞る症状のこと。
これを放っておくと、心筋に血が送られなくなって心筋梗塞に繋がったりするそうです。
狭心症の原因が動脈硬化なので、動脈硬化(血管の異常)→狭心症(血流の異常)→心筋梗塞(心筋の異常)と、順序立てて異常が起きていくんだなあ。

この症状を通して冨永先生も、医者のなんたるかを改めて学ぶ。
ここで学んだ「患者の命そのものを継ぐ」という考え方は、後に冨永医院の院長を受け継ぐエピソードにも絡んでくるので要チェックです。

第180~182話「贖罪」


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約100話を跨いで、再び話題は心筋梗塞。
なんと患者は村井さん。結構衝撃的かつスーパードクターKの後継作らしいエピソードを経て村に定住、K先生のサポートを勤める彼が主役です。
かつての村井さんの後悔を、一也とともに果たします。

ネタバレ感想

幹細胞の培養による再生医療、という最新も最新の医療にまつわるエピソード。
iPS細胞で山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を受賞した2012年の掲載なので、もしかしたらそれを踏まえてのエピソードなのかしら。劇中、村井さんもES細胞やiPS細胞に言及していますね。

この「再生医療が本格的に軌道に乗り出したおかげで、クローン臓器培養組織の出番がそもそも消え去る」というのは、漫画ながら痛快で面白いですよね。
莫大な費用と法的リスクを負う意味がなくなりつつあるんだよなあ。

ちょうど4日前に、重い目の病気の患者にiPS網膜細胞を移植 初の治験開始へというニュースが話題になっていましたね。
治験レベルでの実用まで10年かかったんだなあ。記事によると実用化は再来年の見込み。
これもまた医学の歴史の一部か。

第204・205話「プライド」


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T村に暮らしていながら、K先生の診察を一度も受けたことがないという、健康自慢の松吉さん。
月に一度街へ遊びに出かけるというが、その時病院へ入っていく姿を一也が見かけ…。

大の大人が、罹患した病を果たして受け入れられるか、という患者のジレンマが描かれます。
健康診断で引っかかっても、まあ具体的な異常は起きてないし…と見過ごしてしまっている年齢層の読者多そうだよなK2…。

ネタバレ感想

糖尿病もまた現代病ですね。私もいろんな数値がよろしくないので他人事じゃない。

物語としては、進歩を迎えた糖尿病の「今の治療法」が描写されているけど、進歩する前の治療法にも触れられていて、それがもう本当に面倒くさそうで…。
その今の治療法の進化ぶりを、K先生が丁寧に教えてくれるのが後編205話。

なのだが、この1話が描かれたのも2014年なので、今はもっと進化してるかもしれない。

この回の見どころは、松吉さんが自分の都合で隠していたのに「病気を見抜けなくて済まなかった」と詫びるK先生の姿ですね。
村の医療を一手に預かる神代家の当主であり医者、というK先生の仕事への誇りが伺えます。

第308~311話「イカロス」


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前作スーパードクターKの登場人物で、KAZUYAと同期の磨毛保則が登場する回。
4話もかけた長編エピソードになっています。

彼のスーパー技術を駆使して、帝都大が独自に開発しちゃった遠隔手術ロボットをめぐり、だいぶスーパードクターK味のある事件が起こります。

ネタバレ感想

イカロスへのハッキング、までは医療モノとしてまだ良いとして、その後格闘戦が入るのがスーパードクターKすぎる…。
宮坂さんを攻撃されて怒り心頭の一也くんが良いですよね…彼があそこまで怒りのままに拳を振るったの初めてじゃない?

自分の今後の人生よりも、患者の命の方が大事だ!って覚悟を決めるオペレーターの先生もかっこよかったですね。この漫画によくいる普遍的黄金の精神持ち医師。

劇中、磨毛先生も触れていますが、遠隔手術による地域の医療格差の解消(均てん化、というらしい)の解消が期待されるロボット医療。
日本外科学会の資料によると、2022年時点で、日本ではすでに400台以上の医療ロボットが配置されているらしい。自分か近親者にでも縁がないと、あんまり実感できないなあ。

5G通信は、正直スマホとかネット回線そこまで早くならなくてもなー、と思ってたけど、こういう分野で使われる分には頼もしいですね。

第405話「アップデート」


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かつてのKAZUYAから連なる縁を巡って、K先生の診療所にやってきた朝倉先生。
アメリカで最前線の医療に触れる彼が言うには、この診療所にも足りない物があるという…。

これもまたスーパードクターKのテーマの一端に触れるお話。
この回の朝倉先生のセリフは、後の一也研修医編にも通じるとても意味の大きなものです。

ネタバレ感想

虫垂付近からの不正出血。虫垂というと、一也が覇王丸でやった盲腸手術なんかが思い出されますが、今回は「取って終わり」じゃない止血処置。
村の設備では出来ない治療を、朝倉先生は最先端設備が揃った大病院で行う。
「後ろ盾」を持たない影のKの一族では、出来ることに限界が生まれてしまうこの時代、というわけですね。

つまりは「一人の医者の技量」に頼らない治療法の発展。
朝倉先生の「ごくごく普通の私のような医者でも、最新の技術と設備があれば出来ることもある!」という言葉は、一人の凄腕医師が主役だったスーパードクターK時代からの脱却であり、現代医療の進化の証明。
凄い医者なら治せる病気、とは凄い医者でないと治せない病気なのだ。

前述したイカロスの遠隔治療も、この障壁を越える手段の一つですね。
凄腕の医師の技術を、設備を通して偏在させようという。

あとやっぱ興奮してる村井さんかわいいよな。

というわけで、K2おすすめエピソード「最新技術」編でした。
400話もやってると、こうやってテーマにそっておすすめエピソードをピックアップできるのが楽しいよなあ。

医療の進歩は、今自分に関係なくても、将来自分に関係しそうなものでもありますし、当然ですが若くして重篤な病気にかかる可能性はゼロではありません。
漫画を通して、そういった情報へのアンテナを高く張れるのはちょっと面白い現象でもありますね。

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