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機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

2024/02/10


見てきましたよ…機動戦士ガンダムSEED FREEDOM!
2002年に始まった「機動戦士ガンダムSEED」から連なるシリーズの劇場版ということで、20年越しの完結作です。

いやもう…本当に良かった!いい映画だった!
何がどういい映画だったかというと、主に20年前にガンダムSEEDを見てファンになりつつもSEED DESTINYでモヤっとしたものを抱えた人を開放してくれる映画だったんですよ!

実際20年も前なんで、当時SEED DESTINYにどんな感情を抱いていたのか…自分でももう覚えていないんですが、最終話、無傷のストフリとインジャを涙目で見上げるずたぼろのシン…というラストカットで唖然としたのは覚えてる。
他、キラやラクスの人間味がない(心情の掘り下げがない)無双ぶりとか、あちこちふらふらしてるアスランとか、肯定的に見るには難しい要素がいっぱいあったままなんですよね…。

ところがなんだいこの映画は。
当時のモヤモヤを全て解き放って昇華されて、心の中にSEEDへの愛だけが残るという凄い映画になっていました。

特にキラとラクスの心情に初めて(ようやく)スポットライトを当てたのが大きかった。
シン視点から始まったSEED DESTINYではキラもラクスも内面がロクに触れられていなくて、何考えてるか全然わからなかったんですよね。
今回はこの2人に重点的にフォーカスが当たっているので、本当これまでのSEEDまで遡って新しい視座を提供してくれています。

見終わった時こんなにSEEDが好きな感情だけが純粋に残ることになるなんて、マジで全く想定していなかった。
望むだけの熱を捧げられて、20年来の視聴者は最後の夢に焼かれてしまった。

特に「あの頃ネタにされた/反感を買った要素を逆に活かして、映画でやる演出の前フリにしてしまう」というのが結構多くて、これが本当に効いた。
今後SEED DESTINYを見る時にも、劇場版をふまえた見方をできるから、多分今ならSEED DESTINY見た時の感想も別のものになりそう。

以下、覚えている限りのSEED FREEDOMの感想になります。
今日見てきたので当然一回しか見られていないし、あらゆるグッズが品切れでパンフすら買えなかったので、YOUTUBE公式にあるPVとか見ながら感想を語りましょう。

当然ネタバレになりますので、未見の方はご注意ください。

冒頭

ブルーコスモスによるコーディネイターたちの暮らす街への侵攻から始まります。
早々に吹き飛ばされる花は、デジタルリマスター版であったキラとシンの会話を踏まえたものですね。

ザフトの部隊はジンやザウートなどの旧世代機ばかり。
いくらコーディネイターでも物量・スペックともに厳しいようです。

というか地上にコーディネイターたちが暮らす街があったんだねえというのが最初の驚きだった。

世界平和監視機構コンパス

キラたちが所属する、世界の平和を維持するための組織。
公式サイトに情報があるけど、地球連合(の大西洋連邦)・ザフト・オーブで結成した治安維持部隊。

最初に設定聞いたときはソレスタルビーイングかよと思ったけど、ちゃんとあの世界で公的に作られた組織って点が大きく違いますね。
そして公的な組織だからこその展開が中盤に用意されていたりもして。

シン・アスカ、ジャスティス行きます!

イモータルジャスティスってアスランが乗るんじゃないんだ!??
って映画館で声あげそうになった。

ヤマト隊所属はキラ、シン、ルナマリアと新キャラのアグネス。
前に出て戦いたいシン、アグネスに対して避難誘導と護衛を指示し、戦闘自体は全て自分でやろうとするキラ。

のちの展開を踏まえると、この時点でキラが気負いまくってるのがわかりますね。

また、この介入ではシンもキラにならってか不殺を心がけてますね。
これも後々のバトル描写を見ると、かなりぎこちないアクションをしているのが見てわかります。

VSデストロイガンダム

お前まだ在庫あったのかよ…。
SEED DESTINYでデスティニーがガンガン撃破していったの懐かしいなあ。

当のキラは全く問題にせず、ライジングフリーダムで瞬殺。

VSザフト軍

ブルーコスモスからの侵略を止め、ザフト部隊を助けたものの、形成が逆転したかと思うと追撃に出始めたザフト部隊。
こちらもライジングフリーダムに蹴散らされます。

コンパスはあくまで平和監視機構なので、どちらか片方の味方ではない、という示唆ですね。

ラクスとザフトの会談

やたら声高に不満を表明するおじさんをスルーするラクス。
後々クーデターを起こしてイザークに撃破される、ナチュラル撃滅過激派の人。お前このご時世にナチュラル許せないやつがよくザフト軍の高官でいられたな…。

宇宙クジラの前でラクスに同調して見せたヒゲの人は、公式サイトによると現プラント議長らしい。
デュランダルの後釜は嫌すぎるな…。

謎の少年

ラクスたちが帰る裏で、ザフト軍に招かれる銀髪の少年。

タオの名前が出ていたので、ファウンデーションからタオの名代としてやってきたのでしょう。
フードだった上に一瞬だったので顔が判別出来なかったけど、シュラだったかな?

これってつまり、この後起きるジャガンナート一派のクーデターもファウンデーションの仕込み、という前フリだったのかな。
当のジャガンナートがうるさい上に素でそういうことしそうなキャラだったので、ファウンデーションが関わっていたのかちょっとわからなかった。

キラとラクスの自宅

当たり前なのかもしれんが、この2人同棲してるんだな…。
めちゃくちゃ豪華っぽい家に住み、バイクでデートし、お手伝いさんなどもいないようで手料理をするラクス…と、急に生活感を見せてきてくれて結構嬉しい。

だからこそ、大量に作った料理を一緒に食べられないシーンは本作で2人のすれ違いを示す最初の一歩なわけですね。
このときは、お互いに肌掛けを用意してあげたりと、同じ時間を過ごせずとも心は相手を想っているのがよくわかります。

キラのデスクには、幼い頃のアスランとの写真やトールたち同級生の写真、死んでしまったナタル含むアークエンジェル初代ブリッジメンバーの写真など、キラの人生の縮図。
そんな中、キラの両親とラクスの4人で撮った写真があるのがいいですね。

今ならわかるけど、SEED DESTINYの頃のキラって望まぬ戦いに無理やり引きずり出されて世界の趨勢に関わることになっちゃったわけで、ひたすら戦わされ続けてる人生を過ごしています。
そんなキラが、多少なりともラクスと人生を楽しんでいることがわかったのは結構大きいことかもしれない。


なお監督によると「身の丈に合わない暮らしをしている」演出だった模様。

デスティニープラン

キラたちがSEED DESTINYで否定したもの。
遺伝子による人類の統制は極めてディストピア的発想ながらも、(万全に成功すれば)戦争の絶えないこの世界から争いをなくせる手段でもあった。

それを否定した以上、キラには代わって世界から争いをなくす義務が課せられます。

SEED DESTINYの序盤では戦争から離れて孤児院を支えていたキラは、今回隠居しているわけにはいかないんですね。
キラ達が否定したやり方ながらも、世界から争いをなくすために行動したデュランダルを否定した以上、それに代わる手段を提示して戦い続ける義務がキラ達にはあるのです。

それがわかっているからこそ、自分との食事より仕事を優先するキラを咎められないラクス。

ファウンデーション

ユーラシア連合から独立した新興国。
なぜかCV田村ゆかりの金髪ロリを女王とした王政国家。事実上の統治は宰相のオルフェ・ラム・タオが行っているらしい。
国を興して数年とは思えないほど栄えている。

ブルーコスモス残存勢力を率いているミケール大佐の行方を掴んだということで、コンパスの面々が向かうことに。
制帽被って将官ヅラしているキラを見ることが出来ます。キラって帽子似合わないよな…本来は戦争も似合わない男なんだけど。

ここでマリュー・ラミアス率いるアークエンジェル部隊とも合流です。

アウラ・マハ・ハイバル

コードギアスで言うところの、中華連邦の天子様みたいな子かと想っていたら、CV田村ゆかりだし喋りはしっかりしてるので結構予想外を突かれた。
コンパスが若干へりくだっているのがピンとこなかったけど、ファウンデーションとは利害関係ないはずだよね。単に一国の元首に対して礼を果たしたってことかな。

全員が礼するシーンでシンだけぼんやりしてて遅れて頭下げるのおもろすぎる。お前はそういう男だ。

メロドラマ編

ここで急にラクスとタオによる謎のメロドラマが始まる。
本編終盤で答え合わせはあるけど、急に精神感応して洗脳状態なんだか種が割れたんだかわからん演出が入るし、昭和のラブシーンみたいなキラキラした背景になるしで、どういうテンションで見て良いのかわからなくなるよね。

キラとラクスに本音を語らせるための揺さぶりなんだけど、視聴者的にはここでラクスがタオに絆されるわけがないので、洗脳じみた演出になったということかな。
今どき社交ダンスからロマンス始めようとするタオのやり方がレトロすぎて、これはこれで趣き深かった。

オルフェ・ラム・タオ

ラクスとGN空間みたいなところでテレパシーを送り合うことができる謎の少年。
指にはラクスが親から貰ったものと同じ衣装が刻まれた金の指輪をはめている。

まさかここからこの映画がラクスの出生の秘密を掘り下げるものになるとはマジで思っていなかったよ…せいぜいキラの当て馬程度のものかと…。

一方恋人にコナをかけられて勝手に落ち込んで背中を向けるキラ。陰キャなところが出た…と言いたいところだが、この時キラが何を考えてラクスに背を向けたのかは、後にアスランが引き出してくれます。
またキラがうじうじしだしたよ…としか思ってなかったけど、冒頭ヤマト隊での差配といい、一貫してキラの内面描写の補足をしてるんだねえ。

剣で戦ったことは?

何故か生身で真剣による訓練をしているブラックナイツ。
キラを煽るための茶番でもあったようだけど、果たして普段からこういう訓練してるんだろうかこいつら。

隊長をバカにされていきりたつシンが可愛いけど、コーディネイターかつザフトの正規軍人(正確にはザフトは軍じゃないけど)に勝って見せるシュラ。
後々の描写を考えると、こいつのスペックも実はCE最強クラスなんじゃと思わされる。

VSブルーコスモス

ミケール大佐を捕縛するため、ブルーコスモスの構える拠点へ侵攻するコンパス。
相手は105ダガーなど懐かしい面々。
全身ボロボロのデストロイを、キラのライジングフリーダムとシンのイモータルジャスティスが同時攻撃で撃破するのめちゃくちゃいいよね…。

しかしここで、ブラックナイツによるキラへの精神感応攻撃で、キラに幻覚が見せられます。
森の中をジープで逃げるミケール大佐を、空飛ぶライジングフリーダムでひたすらに追いかけるキラ。追いつけないわけがないのに。

キラはやがてユーラシア連合の許可した国境線を越え(コンパスはブルーコスモス壊滅のために、領地へ入れてもらっている立場)、最終的にはライジングフリーダムの撃墜命令が下る。

つまりはブルーコスモスの情報から何から、ファウンデーション側のし掛けた罠であったというわけですね。
ブラックナイツは最新鋭の機体とパイロット技術により、ライジングフリーダムを撃墜せしめる。

アークエンジェル

ブラックナイツの手により、SEEDの頃から不沈艦だったアークエンジェルがいよいよ撃墜される。
ついでにハーケン隊から、ドムトルーパーに乗ってSEED DESTINYでちらっと活躍していたうちの2人が死亡。本編生き残ったのに劇場版に出てきて死んで良いラインのキャラとなるとこの辺が限界だよな…。

ズゴック

…ズゴックじゃない?ズゴックでは?ズゴックだこれ!
今まで登場していなかったアスラン・ザラが何故かズゴックにのって現場に駆けつけ、ライジングフリーダムすら圧倒したシュラを相手に互角以上の立ち回りをして見せる。お前本当何なんだよ…!

ゆらりと立ち上がる姿は、シャアズゴックのオマージュですね。

核ミサイル

ユーラシア連合だったかブルーコスモスだったかわからなかったけど、地球連合の隊服を着ていた核ミサイル発射部隊をブラックナイツが襲撃、自分たちで3発の核ミサイルを発射させる。

最初見た時よくわかってなかったんだけど、これアウラ達が自分で自国の領土に核ミサイル撃たせてるんですよね。
細かな背景は多分小説版とか読まないとわからないんだろうけど、アウラ達が求めたのは「地球連合の非道な核攻撃で被害を受けたファウンデーション」「その原因はコンパスのキラ・ヤマト」「連合の侵略行為に対し、レクイエムを使う大義名分を得る」こと。

結果としてキラはアスランが回収したし、3発のうち1発はルナマリアが落としたものの、ファウンデーションの首都?は核で消滅。

ルナマリアが迎撃するのかよー、という流れで当たらないガナーザクの砲撃と「私射撃って苦手なのよね」を思い出した当時のファンは多いはず。
今回は無事に撃墜できたけど、全部落とせたわけじゃないのがちょっと損な役回りでした。

宇宙へ逃れるファウンデーション

アウラ達とラクスは、核ミサイルを回避するためファウンデーションの設備で宇宙へ向かう。
彼らの目当てはラクス本人そのものだったので、ここまでがコンパスを罠にかけた計画の全てですね。

ターミナル

撃墜されたAA組とキラ、シンを回収したアスランたちはターミナルで合流。

ターミナルは連合、ザフト、オーブ、コンパスとも異なる独立した情報組織で、劇中ではアスランやメイリンが所属。
序盤、スラムで反政府活動とそれを鎮圧する正規軍…という描写が行われていたあれは、ファウンデーションのスラム街の姿で、アスランはコンパスが訪れる前から現地で調査を行っていた模様。

ここから急激にストーリーが進み出すというか、ファウンデーション側の裏事情をアスランが暴きすぎる…。
特にアウラが実年齢50でコロニーメンデルの研究者、かつラクスの親とも交流があったくだりとかどこで情報見つけてきたんだお前は。

みんなが僕より弱いから!

キラのフラストレーションの頂点がここ。
一人で仲間の全てを背負おうとするキラの傲慢を、アスランが拳で矯正します。キラの攻撃全然効いてないのにアスランの攻撃は全部クリーンヒットするから、ケンカというより一方的なリンチに見えてしまう。
まぁキラは生身のアクションする人間じゃないし、一方アスランはバリバリ現役のファイターだからな…。

隊長への暴力を止めようとして巻き込まれて殴られるシンが面白すぎる。

キラのこの気負いは、SEED序盤から多分ずっと抱えてきたものですよね。
自分しか戦う人間がいないのがキラにとって戦争のデフォルトだったわけで、誰かに頼る、仲間に任せるという発想自体を持つ機会が与えられてこなかった。
それくらい追い込まれてきたのがここ数年のキラだった、という話でもあります。

アスランは、キラをボコ殴りにしながらも、今はもう一人で戦わなくてもいい現状を伝え、またラクスとの向き合い方についても教え導いていく。
なんか今回のアスラン、SEED DESTINYまでの頃のフラフラした感じと比べて、妙に達観しているというか、大人ですよね。
キラより精神年齢で3,4つ上いってそうな感じがする。

弐式

アスランに矯正され戦う意志を取り戻したキラたち。
撃墜されてしまったライジングフリーダムらに代わり、ターミナルからストライクフリーダム、インフィニットジャスティス、そしてデスティニーガンダムの『弐式』を受領。
オーブに保護されていたコンパスと合流して一路、ファウンデーションがいる宇宙を目指す。

この弐式、外見はほぼ当時のままながら、改修され現代でも戦える状態になっているそう。
デスティニーを見てちょっとワルい笑顔浮かべているシンが本当にたまらん。

レクイエム

宇宙へ上がったファウンデーションは、レクイエムでユーラシア連合の拠点を襲撃。巨大な都市一つがまるごと破壊され、地上は混乱に陥る。
ファウンデーション…というよりアウラ達の目的は、スーパーコーディネイターを更に上回るコーディネイター「アコード」による人類種の統治。
かつてデュランダル議長が提唱し、潰えたデスティニープランの復活だった。

このデスティニープランの強制力として、レクイエムとラクス・クラインのカリスマを求めたのが、ファウンデーションの計画の全て。
ラクスは実は、タオたちと同じコロニーメンデルで調整を受けたアコードだったという。

キラを狙ったのは、アコードがスーパーコーディネイターより上だと証明するための、彼らの中で必要な儀式だったようです。

必要だから愛するのではありません、愛しているから必要なのです

そう設計されたからラクスは自分を愛するべき、と語るタオと、それを否定するラクス。
予告CMでも使われている、今回の映画の主題ですね。

追々アウラとアコードたちの間でも「必要だから愛される」関係にフォーカスが当てられ、その上で「愛されたから必要とされた」キラとラクスの関係が彼らを上回る描写がぶつけられます。

「必要だから」はデスティニープランを否定したキラたちが否定しきらなければならない概念そのもの。
察するに、SEED DESTINYで議長との対話・テーマの深掘りがしきれていなかった分の再消化をやるのがこの映画の軸線だったのかなあ。

ザフトのクーデター

ジャガンナートによるザフトのクーデターが起こり、それをギリギリ事前に察知したイザーク、ディアッカが窮地を逃れる。
どうやら引き続きプラント上層部にいるらしいイザークママ。この人この世界で数少ないド安定キャリアの持ち主だよね。

MSVの登場人物であるジュール隊のシホ・ハーネンフースも登場。
イザークママから息子の嫁として見られてそうな意味深目配せが可愛い。イザークも整った顔してるけど、このママも大概年齢不詳だよな。

アカツキ

でいいのか?これも弐式かもしれんけど。
一足先に宇宙に上がったムウが、レクイエムの発射阻止のために出撃し、その装甲でレクイエムを反射して見せる。
不可能というかもはや不可解だよ!その装甲どうなってんの!?

VSファウンデーション

「デスティニー 発進どうぞ!」
「シン・アスカ、デスティニー行きます!」
たまらんよ…やっぱシンはデスティニーだよなあ!と思ってたが
「前回はジャスティスだから負けたんだ!デスティニーなら!」って口に出して言っちゃうのマジクソガキ過ぎて好き。

でもアコードの駆るブラックナイトスコードはビーム兵器無効化するから、アロンダイトみたいな実体剣は大事なんだよな…。

ルナマリアもインパルス弐式に登場し、ヒルダ・ハーケンはゲルググに搭乗。
インパルスは同時に3つのシルエット全部を出撃させて、まずはブラストインパルスから。まさか令和にブラストインパルスが活躍するシーンが見られるとは思っとらんかった。

VSザフト過激派

イザークとディアッカは、デュエルとバスターにまさかのミーティア装備で出撃!
今回の映画で一番テンション上がったのここかもしれん。私はSEEDをイザークとディアッカのために見ている人間だったので。

公式サイトを見ると、結構見た目にも改修されてて、正式名称は「デュエルブリッツガンダム」と「ライトニングバスターガンダム」らしい。

ジャガンナートを撃墜するとき打ち出した実体槍は、ブリッツのランサーダートだったんだなあ。
ニコル本人ではさすがにないが、ブリッツのモチーフが残ってるのがいいね。

ラクス救出部隊

ファウンデーションに迫るストライクフリーダムとキラを迎撃するため、シュラが出撃する。
一瞬空けたアルテミスの傘…の隙間をミラージュコロイドですり抜けていくズゴックがいやらしい。ミラコロ便利過ぎる。

ストライクフリーダムVSブラックナイトスコードシヴァ

以前破れたブラックナイトスコードへのリベンジ戦…と思わせて、まさかのパイロットはアスラン・ザラ!
フリーダムが出てきたんだからパイロットはキラだろう、という敵の(視聴者の)思い込みを逆手に取り、キラはラクスの救出に向かう。

人を愛するのに資格など要らない

ラクスは対になるよう生まれたからといってタオを愛さないし、目や声を失ってもキラはラクスを愛する。
「機能」を論拠に生き方を定めるアコードたちの方針に、デスティニープランが実現した場合の不具合が詰め込まれています。

SEED DESTINYの放送当時、デスティニープラン成功した方がこの世界平和になったんじゃねえの、と思った人は少なくなかったでしょうが、その実例をこうして公式に見せられるのはたまらんものがありますね。

マイティストライクフリーダムガンダム

脱出に成功したラクスが届けた新装備とドッキングし、撃墜ギリギリまで消耗したストライクフリーダムの反撃が始まる。
ここで「Meteor -ミーティア-」が流れるの初代SEEDファン殺しすぎる…あまりにも舞い降りた剣。

最終・最強のガンダムが、新機体じゃないのは結構ビックリしたけど、登場の段階で既に機体がボロボロなのが、SEED DESTINYの最終話で無傷だったストフリと対照的。

あの最終回を否定する…まで行くと過激な表現だけど、「あらゆる敵を無傷で撃破した最強のキラ様」みたいな当時のイメージを相殺する演出だったのかなあと思う。
キラが苦戦しまくったり、撃墜される描写が多かったのもその一環かなあ、って。

シン・アスカ

引き続き「Meteor -ミーティア-」をBGMに、デスティニーがあまりにも大活躍。
契機となったのはやはり、シンの中にいたステラのイメージでしょう。だいぶ宇宙世紀ガンダムっぽい雰囲気だったけど、このステラはシンの記憶とかイメージじゃなくて、あの時死んだステラ本人だよね…?シンの中に、バケモノの姿になってシンを守ろうとするステラのイメージや記憶なんてあるはずないよね。

無邪気にキラに懐いたり、メシをがつがつ食ってたりと少年のイメージが強かった今回のシンですが、彼の中には依然、戦争で失った家族やステラへの想いが残っている。
当たり前だけど吹っ切れてるわけがないんですよね。

あえて子供っぽい顔を見せたところからの、戦争の悲劇を散々噛み締めてきたシンの深みを見せることですごいギャップの効いた演出になっていました。
ステラと一緒にレイの亡霊が憑いてても良かったかもしれない。アイツもシン大好きだったからな…。

そしてアコード4人をばっさばっさ撃墜していくシンの圧倒的な強さ!
部下を奪われたヒルダのために仇を残しておく気配りまでして見せた上で、無傷の圧勝。これもSEED DESTINY最終話への逆オマージュかしら。

今回の映画、キラ、アスラン、シンそれぞれにバトルでの見せ場があるけど、一番「強い」と思ったのはシンでした。
ちなみにキラは「上手い」でアスランは「負けない」感じ。

アスラン・ザラ

ズゴックでシュラと切り結ぶアスラン。世界最高峰同士のMS戦のはずなのに、ズゴックのせいで絵面がちょっと面白いの困る。

今回のアスランは本当にクレバーで、タオたち同様「己の存在意義」「スーパーコーディネイターを越えるアコードの証明」にこだわる彼らに「使えない能力だな」と煽ってみせたり、読心能力をその場にいないカガリのリモート操作で攻略したりと、頭脳派プレイが際立ちます。

と思っていたところからのオーブ代表スケベイメージ投射アタック→ズゴック装甲オープンゲットインフィニットジャスティス弐式コンボ攻撃→新武装頭ブレードアタックでもうシュラも視聴者も情報量の多さについていけない!
カガリのセクシー妄想を急に始めるアスランという構図が面白すぎて、本当笑うのに声を抑えるのが大変だった。

あとアスランって心が定まってるとこんな強いんだな…やはり最強はアスラン・ザラか…。

ディスラプター

マイティストライクフリーダムの額から放たれる謎の空間断裂ビーム。ビームでいいのか?
パイロットが出したコンパス総裁の承認要求を、隣の席からOK出すの無法が過ぎる。ここもギャグだと思う。

さらっとやってるけど、ラクスが見た光景をキラに投影して照準合わせしてるのもどうかしてる。
これはラクスがアコードであるというあんまり嬉しくない?事実を、メリットとして生かしたシーンでしたね。

ミレニアム

マリューの指揮する「ミレニアム」がファウンデーション旗艦「グルヴェイグ」を捕捉。
ここがもう、この映画一番のビックリ兵器だったと思うんだけど、ミレニアム艦首の赤く光る(SEED的にはヒートブレードみたいな感じ?)武装にて突撃をかける。

宇宙戦艦でラムアタックするんじゃねえよ!!
これスパロボに実装されたらすごいことになりそうだな…。

敵艦を真正面からぶち壊しながら無傷のミレニアムは、SEED DESTINY最終話でリフターにさくっとスラスター潰されたミネルバの逆オマージュだろうか…。

ゼウスシルエット

という名前が出たのは、メタルROBOT魂の商品名でしたが。
アカツキから装備を託されたデスティニーが、レクイエムを完全破壊する。発射寸前の砲口を見てアウラはほくそ笑むも、その最後の一撃は発射されることなく終わったのだった…。

ラクスの愛だ!

キラが最後に掲げた、自分の中にあるもの。
あまりにも直截過ぎる表現でちょっと恥ずかしくなったけど、その分よりプリミティブで卑近なもの。壮大な大義や運命ではなく自分の中から自然と生まれたものを肯定することは、これもデスティニープランの否定の一環でしょうか。

役割から生じる愛しか理解しなかったタオはキラに破れ、実はずっとそばにいた「自分を愛しているから必要としてくれる存在」に気付いたのか気付かなかったのか、機体の爆発により死亡してしまう。

キラにきちんと敵を殺させたのは、結構割り切ったなあと感心しました。
不殺ってキラのトレードマークみたいなところがあったしね。

ラストシーン

地上の海岸、急に全裸になったキラとラクスにびっくりしたけど、MSパイロットとしてのキラ/コンパス総裁としてのラクス、という立場を脱ぎ捨てて生のキラ・ラクスとしてお互いを愛していることを表明して完。

そういえばSEEDと言えばヒロインのヌードだったなって気もしてきた。OPくらいだけど。

ということで、かなり長くつらつらと書いてきたSEED FREEDOMの感想でした。
一度見たきりの感想だし、二度・三度と見たら印象も変わってくるんだろうなあ。

個人的にはやっぱりSEED DESTINYのモヤついた箇所を踏まえて、逆に利用した演出が多かったことや、SEED DESTINYで薄かったキラとラクスの心情に描写を割いたことがとても大きかったですね。
逆にアスランは舞台装置としての出番が多くて、その分掘り下げは少なかったな。

シンは呪いが解けたかのように溌剌としていて、本当に20年かかったけどここまで来られて良かったね…という気分だ。
キラからミレニアムを任されて「やっと頼られたぞ」と喜ぶ姿が本当に可愛かった。
その上でちゃんと死んでいった大事な人達のことを抱えているのがいいよね…。

一番感動したのはやっぱり「Meteor -ミーティア-」をBGMに新型フリーダムが登場したシーンだったなあ。
思わず口元を手で抑えたけど感動の嗚咽が漏れそうだった。20年前の自分が大興奮だった…。

本当、令和にSEEDをここまで大好きになる日が来るなんてマジで思っていませんでした。
あの頃SEEDを見て、心のなかに少しだけモヤついたものが残っている人にこそ見て欲しい映画でした。

ちなみに入場特典のフィルムはキラの顔アップでした。大当たりだろこれ。

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