Welcome to Kowloon
Vtuberが配信でやっていたのを見かけ、あまりにも風景美術が好みだったので即購入した短編ホラーゲーム「Welcome to Kowloon」です。
やっていた配信というのはこちら。
私の推し二人がやっていたのでリアルタイムで見たかったのですが、自分でやりたくなったので我慢して先にゲームをプレイした次第。
前半でレビューを、後半で攻略情報を載せています。
暗く狭い路地裏の美学
主人公は金のない学生。家賃の安い物件を求めて、九龍城砦にある集合住宅の4階に部屋を借りました。
九龍城砦といえば建て増しを重ねた違法建築による、迷路じみた建物の山。
本作はそれを活かした、少しレトロな建築物の迷路の中を探索し、時に走り、アイテムを探し先に進んでいくホラーゲーム。
何と言っても風景美術が本当に素晴らしく、この薄暗い中にかすかな明かりで照らされる路地裏の風景。
地べたに散らばった何ともわからないゴミは、どれだけの時間放置されているのか誰にもわからない。
積まれた資材がいつか片付く日は来るのだろうか。
建物の中には誰が描いたかもわからないグラフィティ。
何が通っているのかわからないパイプが張り巡らされ、ケーブルが垂れ、何かの液体が水たまりを作る。
最高に興奮するけど実際には行きたくねえ~!
オプション
ローカライズはいまいちだけど、日本語対応されています。
「感性」はマウス感度のことで、デフォルトだと物凄く低く設定されており、操作に支障をきたすため少し上げておきましょう。画像くらいで多分ちょうどいい。
「品質」はグラフィックの質で「高い/ロー」という中途半端な翻訳がされています。
結構重いゲームなので、環境によってはローでいいかも。
「手ブレ」がオンだと画面が常時ブレます。
人間の視界って演出なんだろうけど、酔うのでオフにすることをおすすめします。
「試合をやめる」はゲーム終了。
gameを「ゲーム」ではなく「試合」と訳したんだろうな…。
未知の世界を歩くウォーキングシミュレーター+ホラー
ホラーゲームなので当然ホラー要素も多く盛り込まれています。
商品ページにあるとおり、ゲーム自体は1時間くらいで終わる短めのものですが、結構強めのジャンプスケア要素と、早く逃げたいのにアイテムを探さなくてはならない探索要素が噛み合って、短い分濃密なホラー体験になります。
一部シーンでは、思わず悲鳴を上げてしまったくらい怖い。
1時間で終わると言うか、1時間で終わってくれて良かったと言うか。
3、4時間続くようなゲームだったらクリアまで頑張れなかったと思う。
一方ゲームとしての体験そのものや筋書きはスタンダードで、プレイヤーを困惑させるような要素はありませんでした。
劇中どうしてこんなことが起こったのかはわかるようになっているし、ローカライズの質で話が掴めないなんてこともありません。
一方欠点としては、画面が暗すぎて目を凝らしてしまうのと、オブジェクトが多すぎてキーアイテムがわかりづらいことかな。
あと数秒ですが、暗い画面で白いフラッシュが点滅する描写があります(ストアページにも記載)。
視覚が敏感な人はやめておいたほうがいいかも。
定価でも800円ということもあり、たまの休日をピリッとさせるのに良いホラーゲームでした。
では以下にクリアーまでのフローチャート。
といっても詰まってしまうほど複雑な工程はなかったので、念の為に書いておくくらいのものです。
ただ結構細かくフラグを刻んでいくゲームなので、文章量がだいぶ多くなってしまいました。
攻略フローチャート
九龍城砦の中に入るところからスタート。
しばらくは道なりに進めばOK。ドアが複数あるけど、この時点ではほとんど開けられない。
ちなみにクリックでインタラクションがあるオブジェクトの場合、画面中心に(すごく小さいけど)白い丸のアイコンが表示される。
これが出たら開けられるドアだし、出ない場合は開けられない。
開けられなかったドアがゲーム進行で開くようになることもあるので、一度確認したからと可能性を捨てず、適宜確認しよう。
また、このゲームのドアは(狭い道で詰まないようにか)前後どちらにも開けられるようになっています。
クリックするたびに大きく前後に開くので、ドアが言うことを聞かないときはクリックで開けなおしましょう。
一番奥のドアを開けると、マップ切りかわって集合住宅棟の中に入ります。
一度入ると次のフラグが立つまで戻れなくなります。逆に言うと、戻れないうちはそのマップの中でやるべきことがある、ということ。
進んだ先は複数階建てのアパートで、主人公が借りたのは4階の部屋らしい。
階段を登っていくと、3階にお腹をすかせたわんこがいます。
このわんこが可哀想なことになるシーンはありませんので、ご安心ください。
4階に登って右手奥の扉を開けると通路になっており、左手側奥に進むと自宅になるはずの扉があります。
だいぶ情報量の多い廊下だけど、なんの用もない扉はそもそも開かないので、そんなに迷うことはないはず。
扉には張り紙がしてあり、外にある店の中にある鍵を自分で取って入って、とあります。
行き帰りでマップの状況が少し変わっており、ゲーム進行に応じて状況が変わるという示唆を含ませたイベントになります。
再びマップ切り替えが起きるドアをくぐって進むと、左手側すぐのところにある扉が開いており、中に入れるようになっています。
奥の部屋、ベッドの向かいにある棚の上に「鍵」がある他、お店のカウンターのあたりに置いてあるドッグフードを回収すると、3階にいたわんこにご飯をあげることができます。実績の一つにもなっているので、持っていきましょう。
再び物件に戻ると、階段の途中でガス管が破裂するイベントが発生。
最初のジャンプスケアですクソッ。
3階に上がってわんこにご飯を上げると、4階に向かう階段が通れなくなっていることに気付きます。
わんこの背中側にある扉を抜けて、別の階段で上に向かいましょう。
赤いランプで照らされた階段通路。通るの嫌過ぎる…。
4階に上がってさっきの張り紙があった扉まで行くと、鍵のお陰でドアが開けられるようになっています。
中は、狭い廊下の左右に部屋があるような間取り。
一部開かないドアがあるものの、右手側2番目のドアが自分の部屋。ベッドをクリックして荷物を置くと、紅茶を飲みたがります。
その前に床に大量の虫が這っていることを気にしろよ…。
ちなみに部屋の向かいの扉は「女将」の部屋らしい。
察するに大家のことかと思うけど、中国ではこういう大家との同居(下宿?)が一般的にあったりするんだろうか。
扉には鍵がかかっており、「女将」がいるかどうかは確認できません。
一番奥にはキッチン。このゲームでは貴重な明るい部屋です。
右手側にある紅茶缶とマグカップを調べて紅茶を入れ、飲むと次のフラグが立ちます。なんでこここんな丁寧なんだ。
戻るとさっきは開かなかった部屋奥の扉が開いており、中には書き置きが残っています。
ホラーゲームらしくなってきたぜ…。
主人公は玄関を確認しようとするも、(いつの間にか)玄関には南京錠がかけられている。
「女将」の部屋のドア下に置かれていた紙を見て、部屋にあった書き置きが冗談ではないことに気付いたら、脱出口を探さなくてはなりません。
玄関が開かないこと、バルコニー(キッチン手前の扉)に出られないことを確認すると、女将の部屋のドアが少し開いており、状況が進展したことがわかります。
この状況でキッチン側にいくと「女将」?が現れる。
急いで逃げれば助かりますが、接触するとゲームオーバー。
直前からやり直せるので支障はありませんが、実績になってるわけでもありません。
BGMにまじるシャワー音?はキッチンを使っているという表現だったんでしょうか。
ちなみにこのイベントを起こすと、キッチン側が真っ暗になって近寄れなくなります(デメリットなし)。
「女将」の部屋には大変グロテスクな光景。
恐怖をこらえ踏み入って、奥の部屋にある鍵を手に入れます。
しかし玄関の南京錠はこれでは開けられず、また洗面所を覗き込むと、もっとグロテスクなものが。
玄関の南京錠を試し、「女将」の部屋と洗面所のグロ部屋2つを見てから、改めてキッチンの方へ向かうと次のイベントが発生。
ここで視界が暗転します。
個人的にここが一番怖かった。もう本当、記事書くために再走した今も怖かった。
目を覚ますと自室。妙に明るくなっています。
扉が開かないけど、一度自室奥の小部屋を見てから戻ると開いており、出られるようになっています。
廊下は玄関側が真っ暗になっています。
ゲーム的にはそっちに行っても何もないよ、という示唆になっており、いよいよバルコニー(キッチンそばの扉)に出られるようになります。
バルコニーを通って隣家に忍び込みます。不法侵入だけど、もうそんなこと言ってもいられねえ。
室内には細い廊下の左右に複数の部屋が配置された間取り。
最初に入れるのは、バルコニーから入ってすぐ左手側の部屋のみ。
部屋には誰かの書いた「最近この都市は治安が悪い。自分も引っ越さないと」という書き置きが見つかります。
これを見てから部屋を出ると、各扉を開けて中が探索できるようになります。
部屋を出たら左手側の向かいにある部屋に入り、机の上の鍵を入手しましょう。
これを持って家の一番奥の扉を開けると、懐中電灯を入手できます。
ここからしばらくは、真っ暗な空間を懐中電灯で探索するパートが続きます。目がちらちらして苦手なんだよな暗すぎるホラゲー。
なおこの懐中電灯、画面の中心から少しずれたところを照らします。
イベントのある箇所をインタラクションするときに出るアイコンとは少しずれているので、注意しましょう。
懐中電灯の入手をフラグにして、さっきまで開かなかった扉が開いています。
荷物が積まれた隙間を縫って奥に行くと、5桁のダイヤル錠がかかった扉が見つかります。
ダイヤル錠を開けるキーワードは、部屋の中に掲示された5枚の絵画の裏面に記載されています。
5枚の絵画を見つけて裏面を見ると、1文字ずつ文字が記載されており、つなげるとキーワードになります。
多分だけど、すべての絵画裏面を実際に見てフラグを立てないと入力画面にならない…かな?
どのみち勘で当てられるものではないので、きちんと調べましょう。
攻略情報なので一応書いておくと、キーワードは「Decay」。
鍵を開けた先にはバールのようなものが置いてあり、これを使って板で塞がれていた扉を開けられるようになります。
バールのようなものをきちんと釘抜きとして使うゲーム初めて見たかもしれない。
扉を抜けるとマップが遷移して、最初に探索した集合住宅棟の別エリアに出ます。
あちこちに扉があって迷いますが、進める先は1ルートなので探索しながら先に進みましょう。
道なりに進むと、突然背後から誰か(多分「女将」とは別の人だよね…?)が追いかけてきて、チェイスが始まります。
道なりに明るい方を目指して進むと、進行方向が急に塞がれるトラップが2つ発生。
その反対側を進むようにひたすら走ると、10秒もかからずゴールになる緑の扉にたどり着けます。
扉のちょっと奥まで進まないとチェイスイベントが終わらないっぽいので注意。私は扉開けたところで捕まった。
ちなみに捕まってもチェイスイベントのちょっと手前から再開なので、デメリットはほとんどありません。
抜けると新しいエリアに到着。眼の前の壁に「逃げ場はない」の文字。
書き文字には「コード5913」という文字も添えられていますが、クリアした段階でこのコードの意味は不明でした。
先に進めず背後のドアに近寄ってみると、追いかけてきた何かが扉を開けて襲いかかってきて再び暗転。これはゲームオーバーイベントではなく、老婆に捕まったときみたいなイベントの進展です。
気付くと集合住宅棟の外に出ていました。
左手側のドアの先は地下に降りる階段になっていますが、これが集合住宅棟への入口らしく「もうあそこには戻らない」と出ます。
狭苦しい階段を登って道なりに進むと、突き当りにEXITと書かれたシャッタードアと自動販売機が見つかります。
シャッターは鎖で締め切られており、自動販売機の中には何かが入っています。
この鎖を「断ち切れる」何かと、自動販売機を回す小銭を探して探索パートが始まります。
ここで周囲が真っ暗になって、再び懐中電灯操作パートになります。
まずはさっき閉まっていた赤い扉を抜けて、狭く細い階段を登ります。
登った先の左手側にはエレベーターがありますが、電源が通っていません。発電機のガソリンが切れた上に、発電機を動かすスターターレバーすら無くなっているとのこと。
その右手側の個室に入ればエレベーター用の発電機がありますが、張り紙のとおりガソリンとレバーが無いため、それを探さなくてはなりません。
道なりに戻って自販機・シャッタードアがあったところとは反対、元来たルートに戻ると、突き当りに張り紙が見つかります。
「ブランコのそばの石の下を見てごらん」とあり、左手側の突き当たりにある扉の先に進むと小さな公園に出られます。
(ちなみにこの時点で、一連のイベントが終わるまで元のエリアに戻れなくなります。迷子対策かしら)
そこにもメモが残っており、「今度は赤い冷蔵庫の中」。冷蔵庫が赤いというだけでホラー的にはグロの気配。
張り紙があったところの、今度は右手側に向かうと赤い冷蔵庫が置かれています。
中には「庭のピンクの布の裏は見た?」とあり、再びブランコやシーソーがあったところに戻ります。
この布をめくるとシャッターがあり、誰かがここを秘密基地にしていたことがわかります。
ここを拠点にしていた誰かの書き置きと、その隣にようやく小銭を見つけます。小銭は本当に小さいので、見落とさないように注意。
小銭を手に入れると、このエリアでやることはすべてクリアーです。閉められていた扉も開くようになっているので、自販機エリアに戻りましょう。
小銭を使って自販機を回すと、(何故か)中に入っていた発電機のスターターレバーをゲット。
あとは発電機を回すガソリンを見つけましょう。
最初は開いていなかった、自販機のそばの扉が開いています。
ここを開けて道なりに進むと、(途中、誰かの書き置きがあったり、懐中電灯が切れそうになるなどの演出を挟みつつ)いくらかの資材が置かれた小部屋にたどり着きます。
ちなみに道中にある階段ですが、最短ルートで駆け抜けようとすると、たまに手すりの上に乗ってしまってそのままスタックします。
ゲームを一度終了させると、集合住宅棟の外で目を覚ますところからやり直し。慎重に進んでください。
店の陰に詰まれているガソリンを手に入れたら、ようやく発電機を動かすパーツがすべてそろいます。
再びエレベーターのあった場所に戻り、発電機を回しましょう。
エレベーターに乗ると、どのボタンを押しても(正確にはボタンではなくパネル全体がインタラクション対象になってる?)屋上に出られます。
屋上はさっきまでの邪悪な雰囲気が薄く、空を見上げれば星も見ることが出来ます。
掘っ立て小屋の扉は開きませんが、その向こうにある小さなスペースを見ると、ダンボールの中からチェーンカッタを見つけられます。
シャッタードアに戻り、チェーンを断ち切って開けると、ようやく冒頭に主人公が歩いた外エリアに戻ることができます。
しかしその空気感は異常。来た時の薄汚れつつも味わいのあるレトロな雰囲気はどこにもなく、皮膚が剥がれた死体が壁に頭を打ち付けていたり、道端に倒れていたり、首をつっていたりとこれまで以上におかしい空間です。
この空間を道なりに抜けて、一番最初に主人公が開けた扉を抜けると、ようやくこの九龍城砦を抜け出すことに成功し、ゲームクリアです。
本当にお疲れ様でした。
その後の小さなエンディングシーンでは、この九龍城砦がどのようなもので、中で何が起こっていたのかを知ることが出来ます。
ちょっとした考察というか余談
実はこのゲーム、冒頭に「Kowloon Walled City 1999」というテロップが出るのですが、九龍城砦は1994年に取り壊されているんですよね。
知っている人は、この段階で「おや、1999年に九龍城砦…?」となるわけですね。
もちろん、そういうif世界と見ることも出来ますが。
というわけで本作は、新居を探してとっくに取り壊されたはずの場所を当たり前に訪れ、幻覚に追い回された挙げ句に逃げ帰った話、というわけでした。
パイプから漏れるガス、書き置きや壁の落書きなどは一貫性があったので、かつて実際にあった九龍城砦と、そこに暮らしていた人たちの残留思念じみたものが見せた幻覚、みたいなものなんでしょうかね。
陰謀論じみた内容が真実かまではわかりませんが…。
珍しいなと思ったのは、主人公以外にもこの幻覚の九龍城砦に乗り込んでは生きて帰った人が結構いること。
主人公だけに起きたことじゃなくて、誰の身にも起こりうることって設定の方が怖くて良いよね。
というわけで「Welcome to Kowloon」のレビューと攻略フローチャート記事でした。
スンゲー怖かったのに、わざわざ記事にするために2周遊んだの自分でもアホみたいなんだけど、風景の良さが良すぎて怖くても楽しい、良いゲームでした。
九龍城砦ってことで無茶苦茶広大で迷いやすいゲームを想像していたんですが、移動範囲をきちんと区切ったおかげで、道に迷うことはなくなっていましたね。
狭く感じると取るか、無闇な探索が不要になって親切と取るか。
ホラー要素はひとまず置いといても、このゲームのマップが本当に素晴らしかったので、本当にただ歩くだけのゲームとしてこのマップを歩きたい気持ちもあります。
扉が開かなくて行けなかった部屋の中もちゃんと作り込んであったし、隅々まで探索したいなあ。