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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 9巻


読後の感想です。ネタバレあるのでご注意ください。


8巻の発売からおよそ4ヶ月。
ライトノベルとしてはかなり早いペースで刊行されている俺ガイル9巻です。
購入したのはゲーマーズ。雪ノ下の架替カバーがもらえました。
とらではガハマ・あーしの架替カバー。どちらも9巻カラーイラストを流用したものです。

帯でしれっとアニメ2期決定の報が出ていますね。
まぁめっさ売れたらしいし、正直見たいし。でもアニメ1期の続きって重いエピソード多かったような…。

 

さて、7巻・8巻と怒涛の鬱ラストを迎えた俺ガイルの新刊です。
いろいろな事情がからみ合って、やらざるを得なくなって、自分の前に「それ」が来た以上は自分の問題として、放り出さずに解決しようとしてしまう八幡。
自分のためと言いつつ、ちょっぴり誰かのために頑張るも、結果取り返しのつかない傷をどこかに負ってしまう。

そんな話が2巻分も続いたのだから、そりゃ警戒するってもんでしょうよ!
しかもあらすじもすげえ不穏なこと書いてあるし!

先の選挙で生徒会長となった一色いろは。
他校との合同クリスマスイベントを手伝って欲しいという依頼に対し、
一人で行動しようとする八幡だが、一筋縄ではいかない依頼に事態は次第に悪化していく…。

こえーよ!このあらすじ!破滅に向かって突き進む運命すぎる…。

また八幡がなにかして、失敗してまちがって、奉仕部という団体に決定的な破滅が訪れるのではないか。
いや、そもそも8巻の最後でそれは訪れてしまってはいないか。
では9巻では、もっとどうしようもないことになるのではないか。
そんな感じで超ビクビクしながら布団に篭って読んだ。

大丈夫だった…。

超ハッピーエンドだった…。

思わずフォントサイズをいじってしまうくらい気持ち良い読後感だった。
あらすじが怖くて読めない人がいたら、安心してほしい。
最後には平和な元の奉仕部に戻るから。

本筋

まぁ分厚い9巻の半分くらいは奉仕部が半崩壊状態になってるんだけど、そこを逆転させた奉仕部3人のストーリーがもう感動するやら見てるこっちが恥ずかしいやら。

特に、八幡が泣くっていうのがね…あの冷笑家でニヒルで、何にでも建前つけちゃう八幡がね…。
雪ノ下とガハマさんと、あのままじゃ嫌だからってね…あの言葉を使ってまでね。
もう見ててすっげえニヤニヤした。ニヤニヤしながら一緒に泣いた。

2冊分かけて積み上げた崩壊フラグを打ち砕くにふさわしい、相応の流れだった。
その後、まだちょっとぎこちなさを残した3人がまた初々しくてかわいい。
八幡は小町以外の誰かと「仲直り」した経験なんて無いんだろうなあ。

これは文章媒体ならではだと思うんだけど、会話のぎこちなさが少しずつ取れてきて、最後には元通りという変化の流れが実に丁寧。
多分漫画やアニメだとさらっと流してしまいそうな変化なんだけど、小説として文字で追っていれば気付く感じ。
言葉を音声や絵に差し替えず、文字のまま受け取る媒体だからこその感動だった。

あとは、7巻から楔のように打たれていた、八幡の自爆精神への否定。
今回ついに、自爆にも歯止めがかかるようになりました。
かけたのはもちろんガハマさんの言葉。あと雪ノ下の目線。

もちろん言葉を選ばず状況を打ち砕くようなことは言うんだけど、それで自分にヘイトを集めてどうにかしよう、ということはもうやらない。
時間かかったけど、それで傷付く人がいるって八幡もいい加減覚えたからね。

一方で少しずつ動き始めているのが、葉山の存在。
海老名さん的には腐腐腐…って笑い声が漏れてきそうな話題ですが、個人的にはヒキハヤよりハヤヒキですが、お互いにお互いを理解できないまま、少しずつ理解が進んでいっているような…。
理解できないってことを理解しているような…。
八幡が少しずつ、葉山の隠しているパーソナリティに触れつつあるような気がします。

ここも上手いもんで、一人称視点小説の特権だよね。
描写されるキャラクターはすべて主人公の視点を通して描かれるから、主人公がそのキャラクターをより深く知ることで、今まで見えていなかったものが読者にも一緒に見えるようになる。
逆に言うと、主人公が知ろうとしないとそのキャラクターのことはわからないまま。

千葉村の夏合宿まで、八幡にとって葉山はそういう存在でした。
今も積極的に知ろうとしているわけじゃないけど、葉山と接する機会が増えていくことで、八幡を通して読者も葉山という男のことを少しずつ知っていくわけですね。

多分次の巻あたりから、真剣に葉山と向き合うことになりそう。
9巻にもそういうフラグというか、前振りみたいなのありましたし。
雪ノ下姉妹・葉山・八幡が物語最終エピソードのキーキャラクターみたいな感じなんだろうか。

一色いろは

アニメにはまだ出ていないのですが、8巻(7.5巻)から登場した新キャラクター。
一年生にして、現在の総武高校の生徒会長です。会長になったのは八幡の打算計算もあってのもの。

これがまた、葉山同様、八幡が接する機会を得るごとに段々と可愛らしく、また可愛いだけでなく逞しい子であると見えてくるのがとても良い。
最初はゆるふわ系清楚ビッチとまで言われていたのに。

彼女は奉仕部除く他のキャラクターにはない武器がひとつあって。
八幡の(ずる)賢さを理解してるんですよね。

だから割と頼ってくる。その点に関しては信頼もしている。
他の奴みたいに、外見や普段の所作から八幡をナメてかかったりしない。

そういうのが、こう、読者的に見ていてとてもキュンキュンするというかですね。
主人公のいいところ認めてくれるキャラって大事だよね…八幡は特に敵を作りやすいし…。
特に八幡にとっては初めての後輩キャラだろうしね…。

そして小町がいるおかげで、八幡の年下女子に対してのお兄ちゃんスキル発動っぷりが良い。
そりゃ「先輩、結構あざとい」って言われるよね。
八幡は基本的には優しいから、偏見差っ引いて見てくれる人からは見え方が変わるんだよね。

いろはは恋愛フラグを立ててこないおかげで、八幡との関係を微笑ましく見ていられるのがとても安心します。
今劇中で、唯一見てて安心する組み合わせかもしれないレベル。

材木座はほら…安心とは縁遠いし…。
さいちゃんは見てるとドキドキしてくるし…。

あといろはすは一個、奉仕部関係ですごいファインプレーをしたね!
あのシーンすげえ見ててドキドキしてたし、いろはすよくやった!って思っちゃった。

個人的に、単純な好感度でいうと今はいろはすが一番好きかもしれない。

平塚先生

正直もうちょっと八幡たちのことフォローしてあげてくんない?って思いながら見てたんだけど、今回はきちんと奉仕部仲直りのきっかけを作ってくれてよかった。
そのきっかけになる八幡の諭し方がもう男前すぎてこの人嫁になるより嫁もらったほうがいいんじゃないの?
この人も何気に背景が謎だけど、先生だから!ってことでOKなんだろうか。
バックボーンになる人生経験があるなら見てみたいね。

戸部

まぁ頑張ったほうだと思う。
悪いやつじゃないよね悪いやつじゃ。

海老名さん

あの件について、ちゃんと謝ってくれてよかった。
依頼受けますよって言ってるのは奉仕部側ではあるんだけど、7巻でやった話はちょっと帰結が重くなりすぎたからね…。

思えば、海老名さん的には最初に奉仕部に来た時のセリフで、八幡には通じると思ってたのかな。
ある程度は「同類」として見ているところもありそうだし。
ただ八幡はあの頃まだ、葉山グループのことを欺瞞だと思ってたからなあ。

戸部は見てると結構好感度上がってはいるんだけど、海老名さんは戸部にはおもすぎると思う…。
でも海老名さんの闇を戸部が吹き飛ばしたりしたら、それも「本物」かもしれないね。

鶴見留美

千葉村の夏合宿で八幡が助けた?女の子。まさかの再登場です。
今回は八幡の行動が正しかったのか、そうでないのか、八幡に自問させる役割。

あの時八幡はマイナスをプラスにするのではなく、ゼロにする方法を取りました。
それがはたして正しかったのか。
今の鶴見留美は救われているのか。

自意識の塊である八幡はそこから目を逸らすことはできません。

折本かおり

8巻で登場した、八幡が中学時代に告白した女の子
八幡の過去のトラウマの一つでもあり、奉仕部に入ってからの八幡の変化を見せるものさしでもあり。

彼女も悪い人ではない。むしろ八幡相手でも別け隔てなく接することのできる、ボーダーラインの低い人なんでしょう。
でも八幡とはやっぱり合わないだろうなあ、ってところ。心の繊細さのベクトルが違うという感じ?
でも最後の二人の会話は、中学時代のトラウマを精算して余りある何かがあった気がします。

八幡の今を形作った「何か」が出てきたときは、そりゃあ鬱々しいことになるんだろうな、と思っていたのですが、その当人である折本かおりは意外とフツーというか、八幡のことをそんな意識してないというか。
多分、これも中学時代の八幡の自意識の過剰ぶりが、そのギャップを生んでいたんでしょうね。
それを解消した今であれば、そこそこ普通に接することができるようになる。

ちなみに今回挿絵にもピンで登場。なにげに優遇されてね?

 

というわけで、俺ガイル9巻の感想でした。
まぁまだ一回しか読んでないので、読み返したら意見が変わる点もあるかもしれないし、勘違いしていたことに気付くかもしれません。
その時本文を改定するかまではわからないですが。

アニメ2期も決まり順調に進む俺ガイル。
あとがきではそろそろ終盤に差し掛かるとのことで、また新たな変化が訪れるのでしょう。
でも今回のエピソードを受けて、もう奉仕部がどうにかなってしまうことはなさそうかな、という安心感は得られました。

あとはハヤヒキがどうなるかですね。

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