GGOの世界でキリトたちと共闘できるハック&スラッシュガンアクション「フェイタル・バレット」
先日までU局系でアニメ放送しており、今はBS11で再放送しているアニメ「ソードアート・オンライン・オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」。
原作はライトノベルで、あのソードアート・オンライン(以下SAO)の3章「ファントム・バレット編」の舞台となった「ガンゲイル・オンライン」(以下GGO)というVRオンラインゲームの世界を舞台にしたスピンオフ作品です。
タイトルのとおり銃火器を主役に据えた、PK前提の世界観が特徴で、そんなオンラインゲームの世界をガンマニアで有名な時雨沢恵一が執筆しています。
私はガンマニアでも軍オタでもないのですが、これがもう面白くて、原作も既刊を全部買って読んだくらい面白かったのです。
上手いのは銃火器への興味が薄くても、登場するキャラクター達や、彼らのとる作戦の緻密さなんかを追っていくだけでも十分楽しめることで、アニメは特にその方向性が強調されていたかと思います。
いやーGGO面白いなーと思っていたときにSteamで見つけたのが本作「フェイタルバレット」。
そう、今回のレビューはGGOではなくフェイタルバレットです。
メインタイトルはあくまで「ソードアート・オンライン」なので、スピンオフ作品である「ソードアート・オンライン・オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」のゲーム化ではありません。
(主要キャラクターは実装されていますが)
どちらが軸であるにせよ、GGOの世界をゲームで体験できるなら楽しそうだ、ということでストーリークリアあたりまでプレイしてのレビューです。
嘘です本当はゲームのレンちゃんがクソ可愛かったのでそれだけで定価購入しました。
オリジナル主人公で楽しむSAOの世界
まず世界観の話。
これまでのSAOのゲームは大抵キリトくんが主人公で、SAOの世界やALOの世界を冒険するものでしたが、本作はオリジナル主人公。
プレイヤーは幼馴染の女の子に誘われてやってきたVRゲーム初心者。
開始早々に、運良くアファシスという激レアなプレイヤー支援AIキャラクターを手に入れたことで、アファシス獲得を狙っていたキリトくんと接点ができるところからスタート。
このイベントでキリトくんと仲良くなった主人公は、彼のハーレムに参加して「こいつ何時見ても女の子に囲まれてんな…」と思いながら一緒にクエストを楽しむことができます。
しかし「このハーレム主人公が…」とか思いながらプレイしていると、いつの間にかキリトくんが好きになっている自分がいるのです。
このゲーム、キャラゲーの割にというかキャラゲーだからこそというか、他のヒロインよりもゲームオリジナルキャラよりも、キリトくんが好きにさせられるようなシーンがとても多いです。
▲VRゲーム初心者にテンションが上がるベタなゲーオタキリトくん
男主人公でプレイしていると「なるほど、男友達が欲しかったんだな…」となり、
女主人公でプレイしていると「なるほど、現地妻はこうやって作るのか…」となり、
いずれにせよキリトくんに攻略される気分を味わうことができます。
このハーレムメンバーとゲームオリジナルキャラの合計20人ちょっとという、結構な大所帯がプレイヤーの味方となって、一緒にクエストを攻略していくことになります。
何の利点もないけど、ソロプレイも可能です。
ちなみに一緒にゲームをして好感度を上げていくと会話イベントがありますが、恋愛感を匂わせるイベントがあるのは、歴代ゲームオリジナルキャラと、本作オリジナルキャラのみ。
アスナさんらは、ゲーム終盤に解禁される「キリトモード」でのみ、そういうイベントを見ることができます。
ちなみにキリトモードとは、原作GGOでも問題になった死銃事件をキリト目線で追っていくストーリーモード。
歴代ゲームオリジナルキャラとは、例えばホロウフラグメントのフィリアなど原作に登場しないヒロインたちのこと。
ゲームオリジナル同士でなら絡んでもいいよ!って結構雑なシステムだな!
ちなみにGGO原作のレンちゃん達は、ゲームをそこそこ進めないと登場しません。
メインクエスト「忘却の森」のクエストでボスエネミー「ゴッズペット」戦をクリアーすると、転移ポータルのあたりにレン・フカが、足元を見る素材屋のあたりにピト・エムが登場。
話しかけるだけでフレンド登録してくれます。
アップデート追加なので、パッケージ版を購入した場合はアプデが必須になります。DL版だと多分アプデ後のものをDLすることになるので、放っておいても登場してくれます。
キャラメイク
まず性別を選んで、その後身長、体型、髪型、眉、各種カラー、声などを選択していくことができます。
性別を問わずパーツを選ぶことが可能。画像はアスナさんの髪型を選択した状態の男アバター。ちょっとキモいですね。
髪型の選択肢自体は結構多いんだけど、そのほとんどがネームドキャラ用パーツなので、現実的には意外と選択肢が少ない。
ちなみに私が選んだ髪型は、ゲームオリジナルキャラ「イツキ」とモロかぶりでした。
アファシスも同じ項目数の設定が可能。
使えるパーツも一緒なので、アファシスっぽい主人公と、人間っぽいアファシスなんて組み合わせにもできます。
また、ネームドキャラのパーツがある関係で、キリトくんたちの外見をまるごと真似することもできます。
そのキャラが好きすぎて外見をそっくりに似せたサイコみたいでちょっとおもしろい。
原作GGO(というかシード製VRMMO)ではアバターデザインは出来ないのですが、ここはゲーム上の都合ですね。
また、ゲームを進めていくと武器・衣装・アクセサリーの色を自由に設定できるようになります。
全身統一カラーにしてアファシスとおそろいにすると軍隊っぽさが出たりします。
衣装自体はパラメータに一切関係しないので、見た目優先で自由に選ぶことができます。
景色がいい
GGOの世界は、現在よりはるか未来、外宇宙に進出した人類が衰退して地球に帰還したあと、という設定。
そのため「SF」と「荒廃した地球」が混じり合うという、マニア垂涎の世界観が構築されています。
プレイヤーたちの拠点となるSBCグロッケンは元は宇宙船で、それを地上に降下させたものがそのまま街になった、という設定。
ストーリーを進めるとSBCフリューゲルという新しい宇宙船が登場し、それも地上に降下して新しいダンジョンになる、という展開もあります。
そういったSF要素の反面として存在するのが、かつて地球にあった建築物の残骸たち。
マップのあちこちに、もはや残骸となった建物が転がっており、それを遮蔽物としてエネミーが攻撃を仕掛けてきたりします。
「SBCフリューゲル」の降下してきたエリア。
フェイタルバレットで見られる景色としては唯一空が青く、植物がまっとうに残っています。
このゲーム、残念ながらマップの数はあまり多くないのですが、それぞれのマップ自体はとてもいい雰囲気。
グラフィックのクオリティが上がるほど、多彩なロケーションを作るのは予算・時間の都合的に厳しくなってしまうジレンマを抱えていますね。
ちなみに数が少ない分、各マップの広さは結構なものになっています。
本当はアニメでレンちゃん達が作戦会議してたような飲み屋とかガンショップがあると嬉しかったんですが。
このゲーム、銃火器の購入は機械端末からという味気なさ。
一応アイテムの売り買いができるプレイヤーが一部いて、彼らからも購入可能ですが、レンちゃんがP90を購入したようなショップは登場してくれません。
お金払うからそういうアップデートしてくれないかなあ。
遠距離攻撃オンリーの世界
今度はバトルの話。
GGOは先述のとおり、銃が主役の世界です。
よくあるRPGのように、剣や斧、槍なんかで戦うことはできません。
ガチでできません。そんな武器はゲーム内にありません。
近接攻撃手段は絞りに絞られて3つ(スキルによる体当たり、ナイフ、光剣)くらいしかありません。
ショップに行けば、売っているのはほぼ銃火器。
ハンドガン、ショットガン、サブマシンガン、アサルトライフル、グレネードランチャー、ガトリングガン、ロケット砲など。
素人にはアサルトライフルとサブマシンガンの区別もつきません。どっちも連射できる銃って意味じゃないの?
他のはバイオハザードで見たのでわかる。
ちなみにキリトくんが使う光剣も購入できますが、後述する理由により使用するだけで超ハードモードになります。
原作で趣味武器と言われていたのがよくわかる。
スキルも当然銃装備に準じていて、回復さえ遠距離スキル。
ヒーリング弾という当たると回復する銃弾を味方に打ち込むのです。
ヒーリング弾なので、銃ではない光剣を装備していると回復スキルは使用できないという徹底ぶり。
当然エネミーも大半が銃で攻撃をしてきます。
一部モンスター系は体当たりや爪なんかで攻撃してきますが。
ここがこのゲーム=GGOの最大の特徴となっていて、敵味方双方の攻撃手段を限定した結果、何よりも『立ち回り』が重要なゲームとなっているのです。
突然全く別の漫画作品の話になりますが、ワールドトリガーにてオサムが木虎から「シューターの売りは、遠距離から火力を集中させられること」と教わるシーンがあります。
ここを理解しているかどうかで、本作の難易度は大きく変わります。
アクションRPGをプレイしていると、どうしてもモタつくNPCは支援・雑魚散らし係くらいに見て、プレイヤーが自分の判断で敵に飛び込んでいって攻撃、というパターンが多くなりがちですが、GGOでそれをやると大体4秒くらいで死亡します。
マップ中にいるエネミー全員が、その場から突出してきたプレイヤーに火線を集中させるからです。
そう、木虎が言うとおり銃は持ち手と敵の距離を問わず、人を戦闘に参加させることができるのです。
迂闊にエネミーがいる部屋に一人で飛び込んでいくと、部屋の奥にいるヤツも手前にいるヤツも宙に浮いているヤツも、一斉にプレイヤーに銃撃を加えてきます。
全員が容赦なく一斉射撃をし始めて、プレイヤーを蜂の巣にしてくるのです。
なのでまだ距離のあるエネミーに対抗するには、例えば敵を視認した瞬間にグレネードを放り込んで吹き飛ばしたり、味方キャラ数人と同時に接近して火線を散らしたり、あるいはプレイヤーにヘイトを集めてから逃げ回って仲間を守ったり、という戦略が必要になるのです。
スキルにヘイトを集めるものや銃弾より早く移動できるものがあるので、それらをうまく使いましょう。
大勢の敵がいるときこそ、マップを参照して敵配置を確認、手前から順番に制圧していき安全圏を拡大、時には遮蔽物に身を隠しながら狙撃、なんて手順を考える必要があります。
実はある程度雑に銃連射しても割となんとかなるけど。
という遠距離戦の鉄則を踏まえると、光剣での戦闘がいかに趣味プレイかが見えてきます。
視界に入った瞬間から銃弾を浴びせてくるエネミー複数体に対して、のこのこと走って近寄らないとダメージを与えられない近接武器は、それだけで強烈なデメリットを抱えています。
その間プレイヤーを守ってくれるものはありません。
また、その代わり光剣が飛び抜けて火力が高いということもありません。
ゲームをデザインした人たちも、全力で「光剣」=趣味武器となるよう調整した感じがしますね!
ちなみにゲームを進めるとキリトくんからスキルを教わって、銃+剣の両手持ちが可能になります。
遠距離ではハンドガン、たまたま接近出来たら光剣で攻撃、というのが可能になるので、どうしても光剣が使いたい人はそこまでゲームを進めましょう。
いかに光剣の出番がないかわかるから。
ただし、相手も近接攻撃のみの怪物型エネミーが相手の場合のみ、光剣はギリギリ対等に戦うことができます。
相手が近接攻撃のみの場合こそ、銃で遠距離から一方的に攻撃するべきなんですけどね。
一応、光剣だと相手の弱点部位を攻撃しやすいというメリットはあります。
ホロウ・フラグメントに登場したホリゾンタル・スクエアなど攻撃スキル自体はかっこいい。浪漫武器ですね。
主人公+3人のパーティ編成
一緒にパーティを組むフレンドによってもその辺の立ち回りが変わってきます。
例えばレンちゃんは、超ハイスピードで駆け回ってスキルで上下左右飛び回って、銃弾を散らしてくれるので、ヘイトを引き寄せる係として活躍してくれます。
一方エムさんは自分の前に銃弾を防ぐホログラムシールドを貼るガジェットを装備していて、これもまた集まってくる銃弾のうち何割かを無効化させてくれます。
SAOキャラだとアスナさんとシリカが回復係としてのスキルを抑えているので、ダメージレースで負けそうなときはこの二人がいるとぐっと安定します。
逆にキリトくんやユウキは光剣装備のガチ近接アタッカー。GGOのシステムそのものへ反逆していますので、この二人を同時にパーティに入れる場合、プレイヤーが全力でサポートしてあげないと即死したり。
仲間キャラはそれぞれの習得したスキルに応じて
・アサルト:攻めてかかって敵HPを減らすアタッカー担当
・スナイパー:そのままの意味で狙撃手担当
・タンク:ターゲットを集めて仲間への被弾を減らす担当
・サポート:バフや回復で仲間の支援をする担当
などのロール(役割)でどんなスキル編成になっているかがだいたい分かるので、編成の際に参考にしましょう。
レンちゃんは先述のとおりタゲを寄せて回避しまくるキャラなので、HPは高くないのにタンクになっていたりして。
なおプレイヤーキャラとアファシスは、プレイヤーがステ振りもスキル獲得も武器装備もすべて自由に設定可能。
ステータスをLUK全振りにでもしない限りはクリアーできると思います。
STRとDEXを上げないと武器が装備できないので、この2つを軸にステータスを調整していくといいでしょう。
サポートをやりたい場合はINTを、タンクをやりたい場合はDEXとAGLを中心に。
一緒にクエストを回りたいキャラをまず選んで、その穴を埋めるように構成しましょう。
止めどきの見つからないゲームシステム
もう一つ、このゲームの強力なポイントが「全滅によるデメリットが無い」こと。
このゲーム、全滅しても拠点に帰されるだけで失うものがありません。
マップに出てから全滅するまでの経験値、お金、アイテムはすべて獲得でき、それらが減ることもありません。
拠点に帰される分、ダンジョンの途中だとまた攻略し直しにはなりますが、ダンジョン内には2,3箇所ワープポイントが設置されており、それを起動しておくと拠点から即ファストトラベルが可能。
これらの条件によってどうなるかというと、全滅後の再チャレンジがとてもしやすくなる上に、ちょっと無理めな挑戦も気軽に可能になるということ。
うっかり前に出過ぎて死んだり、ボスに蹴散らされたあともすぐにファストトラベルで現場に戻って、再チャレンジが可能です。
デメリットがないので、気軽にパーティを入れ替えて再挑戦することも苦になりません。
なお原作のGGOでは、死亡すると多少のアイテムドロップと経験値の喪失があるそうです。
が、ソロプレイのゲームだとそれらはプレイのブレーキになりかねない要素なので、そこをカットしたのは英断だったと思います。
ハック&スラッシュ要素
銃なのでスラッシュではないんですが。
本作は典型的なハクスラ要素を備えていて、あらゆる敵が武器をドロップさせます。
それらの武器はすべてにレアリティが設定されており、レア度が高いほど追加効果の枠の数が増えていきます。
追加効果には
・敵のドロップする銃弾の数増加
・特定の敵へのダメージアップ
・確率でオートリロード
など戦闘を有利にするものが大量に存在します。
それらを集めて、時にはリズベットに頼んで追加効果を別の武器に移植したりして、より強力な武器を育成していくことになります。
武器のレア度と追加効果のスペックは比例しないので、弱い武器から強力な追加効果を手に入れることも。
レア度の高い武器には追加効果の枠がいっぱいあるので、弱い武器などから便利な追加効果だけを選んで移植していくことができます。
逆にいくら攻撃力が高くても、追加効果の枠がないコモン~レア程度の武器だと、取り回しや運用コストの面で不採用になったりします。
これが先述の「全滅してもデメリットなし」と噛み合って、延々とプレイし続けることに。
死ぬまでプレイし続けて、死んだらリトライすればいいのです。
GGOらしい要素
ちゃんとバレットライン、バレットサークルシステムは実装されています。
・バレットライン
狙われる側用のサポートシステム。
銃弾が飛んでくるラインをレーザーで表示させたもので、最低限このラインを回避すれば被弾はしなくなる、というもの。
迂闊に敵が大量にいる部屋に飛び込むと、大量のバレットラインを浴びて銃弾が向かってきます。
ちなみにエムさんがやっているような、バレットラインなし射撃は実装されてません。
ゲーム的に言うと、敵が今誰を狙っているのかを明確化する機能を担っています。
近接アクションだと見れば誰と誰が戦っているかわかりますが、本作だと銃の角度くらいでしか、誰が誰を狙っているのかわかりません。
そこでこのバレットラインを参照して、例えば味方に集まっていれば自分にヘイトを集めるスキルを使ったり、前に出てヘイトを拡散させたりして仲間を守る、という作戦が取れるようになるのです。
・バレットサークル
狙う側用のサポートシステム
銃を構えてターゲティングすると、ターゲットに緑色の円が表示されます。
その状態で引き金を引くと、その円内のどこかに銃弾が当たる、というもの。
原作ではそのシステムを利用して、ターゲットを見ないで銃撃を当てる、なんてことも出来ますが、それは本作でも可能。
ロックオンさえ出来ていれば射撃ボタンを押しっぱなしにしておくことで銃弾を当てることができます。
プレイヤーキャラのスキルを上げておけば、このバレットサークルの乱れが小さくなり、より精密にブレることなく銃撃が可能。
ちなみにあえてロックオンを外して、マニュアルで射撃することもできます。
敵によっては具体的な「弱点」が存在するのですが、バレットサークル頼りでいると、その弱点以外のところを狙ってしまいます。
そこであえてマニュアル操作にしてバレットサークルを消し、プレイヤーの手動でターゲティング、銃撃という戦略が必要になってきます。
このゲーム、弱点をついたときのダメージ倍率が大きい時は10倍くらいに跳ね上がるので、ボス戦などでは特にマニュアル射撃が重要になってきます。
その際ダメージ表示も赤い太字になるので、弱点を突けたかどうかはひと目でわかります。
マニュアル射撃を使いこなすと「上手くなった」感もひとしお。かなり気持ちいいので、ぜひ使い分けてみましょう。
良くない点まとめ
楽しいところは楽しいが、良くないところも結構あるゲームです。
個人的にはガンアクション要素にはさほど不満はないんですけどね。
一番マイナス点として大きいのが、ストーリー要素の「描写の仕方」。
ストーリー自体は特段ひねってあるわけでも、逆にスベっているわけでもない可もなく不可もなくなのですが、その見せ方がとにかくまずい。
何がまずいって描写の90%が紙芝居形式という。
ごく一部のイベントでは3Dグラフィックのキャラクターがアクションしてくれるのですが、大半は紙芝居。
ヒロインとの好感度イベントでさえ紙芝居。
割とシリアスな会話シーンも紙芝居。
アファシスの好感度を上げると、プレイヤーと二人でとある大会に参加、そこでキリト・アスナコンビと戦うというイベントが発生します。
それもまさかの紙芝居。
大会参加から、キリトアスナコンビと対戦、苦戦して勝敗が決まって、キリトから二人のコンビは最高だったぜ!と褒められます。紙芝居で。
いや知らねーよどんなコンビネーションだったのか。その大会の会場はSBCグロッケンのどこにあるんだよ。
そんな感じの紙芝居でストーリーが進行するため、正直「予め原作などを読んで知っているキャラ」以外への感情移入がとてもし辛い。
ストーリー中での描写の割に、キャラクターの掘り下げが全くされていないように感じてしまうという、キャラゲーにあるまじき仕様です。
その中でもキリトくんはちゃんとしたイベントシーンの比率が大きいので、ゲーム中に登場するキャラの中では好感を持ちやすい造形になっています。
逆に言うとリズ~リーファまでの原作ヒロインと歴代ゲームオリジナルヒロインは死ぬほど存在感がなく、いつの間にかプレイヤーと仲良しになっているけどロクに喋ったこともない、というひどい状態。
彼女たち目当てでの購入はあまりおすすめできません。ほぼモブキャラ。
キリトくんに次いで出番の多いアスナ・シノンは多少マシくらい。
ゲームオリジナルのキャラも、主人公を取り巻く人間関係だけあって出番多め。
ただヒロイン二人よりも男キャラ「イツキ」の掘り下げが多く、キリトくんの出番量もあってなんというか乙女ゲー感がちょっとある。
初心者なのにゲームのトッププレイヤーに気に入られちゃって、私これからどうなっちゃうの?!って感じ。
ちなみにGGO出身のレン、ピト、フカ、エムさんはスポット参戦という感じで、加入イベと好感度会話はあるものの、ストーリー上での出番は無し。
有料DLCでいいから、一緒にスクワッドジャムに出るようなイベントほしいなあ。
→追加で発表された大型DLCで、LPFMメンバーがストーリーに関わっているスクショが公開されました!楽しみ。
残りはちゃんと語ると愚痴っぽくなるので以下列挙。
・街がほぼ無意味。
街マップ自体はとても広いのですが、ほとんど何もありません。
モブキャラもマップ面積の割に少ないし、ショップ要素は機械端末で一ヶ所にまとまっているし、それ以外の施設は特に無い。
しかもファストトラベルで各所に飛べるので、せっかく広い街なのに、街を歩き回る意義がゲーム内に設計されていない。
プレイヤー同士がモメていたりとか、仲間をつれて酒場に入ると会話イベントが見られるとか、裏路地のガンショップに掘り出し物が売っているとか、辻パーティを組めるとか、そういうGGO的生活感を感じられる要素が全く無い。
エギルが未鑑定武器の鑑定を、リズベットが武器の改造・強化をしてくれますが、キリトの部屋に集まっているのでマップがより薄味になっています。
昔のシミュレーションゲーム(サモンナイトとか)によくある「マップ=選択肢で用のある施設を選ぶだけ」のゲームにかなり近い。
選択肢=ファストトラベルであって、一応歩けるマップもあるけど歩いても良いことがないという。
街は広く見えるけど、マップを見るとわかるとおり、大半は「背景」であって歩ける場所ではありません。もったいない。
・スコードロンが無意味。
ゲーム中にはプレイヤーたちの作るスコードロン(いわゆるギルド)の他、ネームドエネミー退治専門、トレジャーハント専門のスコードロンが登場して主人公にミッションを任せてくれますが、それらのミッション受注はすべて機械端末になっています。
しかもクリアーしたら勝手にクリア判定で報酬が支払われるので、ミッション完了の報告さえも不要。
まぁ各ミッションを受注するのにマップ中駆け回るのも現実的ではありませんが、それにしても味気ない。
・登場する銃はすべて架空のもの。
P90もM14-EBRも登場しません。よく似た架空の銃です。
こういう作品で使用するにあたってライセンス料がかかるそうなので、そこは仕方ないのかな。
・狙撃が厳しい。
狙撃銃装備時のみ、画面をスコープモードに切り替えて精密射撃が可能ですが、敵はランダムにうろついているしバレットサークルも出ないので、遠距離ヘッドショットは現実的ではない。
ミリタリーものでは敵兵は無闇にうろうろしないものですが、こっちの敵は軍隊でも兵隊でもないので、あちこちをうろうろしています。
下手に精密狙撃を狙うより、バレットサークルだけ合わせて自動照準で撃ったほうが確実だしDPSも上がるという切ない仕様。
・目玉アイテムっぽいUFGが使いづらい。
プレイヤーがゲーム開始冒頭にもらえる、光のワイヤーアンカーを射出して立体機動できるアイテム。
これも照準が合わせづらい上に、意外と射程が短くて移動には不便。ジャストコーズ3のワイヤーアンカーくらい遠距離OKにしてほしかった。
入手時に「このアンカーを当ててロックされた扉を開けるギミックがあるよ!」という紹介が入りますが、ゲームクリアまでに2,3回しか使いません。
・GGOでやっているようなギミックは全く無い。
ハンドサインで仲間の動きをコントロールしたり、ワイヤートラップをしかけたり、マップ上の別プレイヤーと協力してエネミーを倒したり、なんてのはありません。
SJでMMTM(ピトさんの光剣でズタボロにされた人たち)がやっているような、統制された動きというのは無縁です。
また、植生の濃いエリアで迷彩ポンチョを装備して敵からの発見率を下げる、みたいなモーションもありませんでした。
そういうゲームを求めるのなら別のタイトルを探すのがいいでしょう。
総括
キャラゲーの割に、キャラ部分よりも銃の世界での立ち回りコントロールこそが真骨頂、というおかしなステ振りをしたみたいなゲームになっています。
確かに面白いところはあるし、何十時間もプレイしていられるけど、決して満点は取れない感じですね。
自分の求めるものを満たしてくれるゲームかどうかの見極めが全て、と言えるでしょう。
私はたまたま「ガンアクション」「ハック&スラッシュ」「レンちゃんかわいい」の3点を求めてそれが満たされたので、個人的な採点をすれば85点くらいはあげてもいい感じなのですが。
例えばリーファのファンでGGOアバターのリーファと遊びたい!という人だったら15点くらいの辛い採点になるでしょう。
また、リアルなガンアクションを求める人にも向かないかと。Steamのレビュー欄にも、実在する銃が出てこねえ!という人が結構いました。
確かにGGO原作は実在する銃とそのカスタムが執拗に設定・描写されていますので、そこが気に入ってGGOを遊びたいと思った人に応えられるゲームにはなっていません。
それでもグラフィックのクオリティは高いですし、コンシューマ向けに調整されたGGOの世界をこのスケールで体感させてくれるゲームは、他にはありません。
現在もゲームのアップデートは続いており、有料DLCでクラレンスとシャーリーが追加されたりとメーカーが意欲的なのも好印象。
個人的には間違いなく楽しめたフェイタルバレット。
もしこのレビュー記事でピンとくるものがあったら、ぜひお試しください。
スクリーンショット
最後に何枚かスクショ。
もったいないところのあるゲームだけど、画面のデザインだけは本当に良いんだ…。
巨大エネミーとの戦闘。背後をとって攻めるところ。
ロボとの都市戦。
正面から戦えば強敵ですが、頭上を取れば一方的に攻撃できます。
デバフ「ブレイズ」を与えたところ。
相手を炎上させる状態異常ですが、全身綺麗に燃え上がるので、敵が巨大なほど見応えがあります。
アスナさんのスクショを撮ろうとしたらエギルが写り込んできたところ。
地下水道での戦い。
敵のレーザーを「シールド・マトリックス」という短時間無敵化するスキルでやり過ごしたところ。
レンちゃんとパーティを組んだところ。
まだ光剣の使いみちを信じていた頃なのでガン&ソード装備です。
死んでるプレイヤーを放置してアクロバティック宙返り射撃をキメるレンちゃん。