PowerWash Simulator
だいぶお久しぶりの更新になってしまいました。
大体このゲームが悪いのですが、ようやくクリアしたのでレビュー記事を書いて禊とします。
PowerWash Simulator
タイトルのとおり、本作は高圧洗浄シミュレーター。
プレイヤーは洗浄業者となって、街のいろいろな人から依頼を受けては死ぬほど汚れた乗り物や建物に水を吹き付けます。
イギリスのゲーム会社が開発し、日本ではスクエニがパブリッシャーを務めています。
Steam、XBOX、PS4・5、Switchと幅広いハードで遊ぶことが出来ます。私が遊んだのはPC版。
このゲームを軽い気持ちで始めたら2週間で50時間が吹き飛んだので、やけくそでこの記事を書いています。
プレイヤーは洗浄業者なので、依頼人から発注された洗浄のお仕事を受けてそれに対応していく形式。
最初のミッションは、主人公が自分のために購入した全面泥まみれのワゴン車。
自分の起業を支援してくれている人が見つけてくれた、クッソ汚れているけど完動品のバンを綺麗にして、お仕事で使えるようにするぞ。
手持ちの高圧洗浄機と、差し替えできる4つのノズルを駆使してこの車を綺麗にし、お客さんの元へ向かえるようにしよう。
白い40度ノズルは水の幅が広いがその分水圧が低く、汚れを一度で落とすのは大変。
洗浄能力が低すぎて、実のところほとんど出番がない。
黄色い15度ノズルは幅が狭くなっている分、水圧がとても高く、大抵の汚れはコレで落とすことが出来ます。
緑は白と黄色の中間くらいの性能の25度ノズル。汚れがそこまで強くないところであれば、これが有能。
これを基準にして、汚れがひどいところは黄色に切り替えていく感じで最後までクリア可能です。
赤い0度ノズルは絞りがもっとも強く、水圧も最大量です。
奥まった場所や、ただの水圧では落とせない落書きなどを消すのに使います。
更にゲームを進めると回転する0度ノズルだったり、三叉のトライデント0度ノズルが解禁され、更に洗浄効率が上がっていきます。
こんな感じで汚れを落とし、依頼のものを綺麗にするのが我々パワーウォッシャーの仕事なわけです。
なんも白熱しないのに、全然やめられないゲーム
最初に明言してしまいますが、本作にはエキサイティングな要素やシビアなコスト管理、対戦要素などの「ゲーム性」は一切ありません。
プレイヤーはただ与えられた依頼をクリアするために、ひたすら汚れた面を撫で回して綺麗にしていくだけです。
言ってもなんか色々あるんだろ?と思われるかもしれませんが、マジで何もありません。
特定の手順でないとクリアーできないトラップ要素とか、パズルを解かないと洗浄できないギミックもありません。ゲームの開始直後からクリアまで、ひたすら同じ作業の繰り返しです。
残った汚れはTABキーでハイライト表示できるので、残った汚れが見つけられない、ということもあまり起こりません(ちょっと起こる)。
なのに何故かやめられない。
恐るべきは、無心で延々と続けてしまう虚無系の爽快感。
例えばマインクラフトで延々と整地が続けられる人。
あるいはクリアしたあとのRPGで、延々とレベル上げが出来る人。
そういう作業感に没頭することの楽しさを知っている人なら、このゲームは50時間を飲み込むだけのポテンシャルを秘めています。
日々のストレスを軽減する、水の音
こちら、このゲームのサウンドコンフィグです。
注目すべきは「水音の反響」や「水音のトーン」の項目。こんな項目あるゲーム他にないぜ。
ゲーム中は常に高圧洗浄機を動作させている都合上、この水の音はプレイの99.9%の時間で流れ続けています。
それだけに不快にならないようコントロールできるようになっている他、そもそも音が心地よく感じられるように設計されています。
これがマジで良くて、ひたすらぼーっと高圧洗浄機を振り回しながら、音に耳を委ねているだけの時間が本当に気持ちいい。
眠気を促進する効果もあるので、眠れない夜にはいいかもしれない。
高圧洗浄の良いところだけを体験できるシステム
本作には「水道代」とか「汚れを落としたあとの汚水の処理」とか、プレイを億劫にするようなストレス要素が完全に排除されています。
上から洗浄しないといけないとか、屋内だと汚水が溜まってしまうとか、そういうことを考える必要もありません。
どこからでも洗浄すればぴかぴかになるし、綺麗にしたところの上を歩いても汚れることもない。
汚くくすんだ面を洗浄すると、太陽光を強く反射するようになる。特に金属パーツに顕著。
短いスパンで、汚れたモノが綺麗さっぱり眩しく光る流れを体験できるので、テンポよく爽快感を得ることが出来ます。
シミュレーター系のゲームというと、テーマとなった題材の面倒さ、簡単ではないところも再現しがちですが(むしろそれがメインだったりもする)、本作は気持ちいいところだけにフォーカスを当ててゲーム化されているのがよくわかります。
手抜かりのない気配りシステム
ゲームとしてプレイヤーが工夫するような余地のないゲーム、と前述しましたが、このゲーム決して手抜かりはありません。
むしろプレイヤーを快適な高圧洗浄業務に従事させるための工夫が随所に施されています。
その気配りはとても高いレベルでまとまっており、逆に言うと本作の「ゲーム性の薄さ」は意図して設計されたものなのだろうな、と確信できるものでもあります。
汚れ部分のハイライト表示
(PC版では)TABキーを押すだけで、残っている汚れが光って表示されます。
中盤以降のマップでは、元々の色が暗くて汚れを判別しづらいものが増えてきますので、この機能が必須。
項目別の進捗率とハイライト表示
今回の業務で洗浄する箇所のリストが用意されており、各項目が何%完了したかをいつでも確認可能。
また、項目を選択すると該当箇所が画面上で白くハイライトされるので、終盤どこが洗浄できていないのかわからないとき、簡単に判別が可能。
洗浄完了判定
洗浄が(多分)99.5%くらいまで行くと、完了したものと判定して、残りの汚れも消えてくれます。
あとちょっとを勝手にスキップされるのがもどかしくもあるんだけど、凄い入り組んだ洗浄しづらい場所だったり、とても広い床面のわずかな汚れ残りだったりに煩わされないのが素晴らしい。
その他ゲームの攻略情報
ググってみたら、意外とゲームの攻略情報が載っていなかったので、自分で気付いた分のまとめです。
攻略というほどのことでもないんだけど、購入する前に事前に知っておくとスムーズに遊べる情報など。
ステージ数
合計で40ちょっとくらい。
ご家庭の庭やコテージなどの「建物」から、第一ステージに代表されるバンなどの「自動車」が対象。
建物は洗浄する面積も多くて大変で時間もかかります。1マップで2、3時間が平気で飛ぶ。
段々と人間の手足では届かない大型ステージも出てくるようになり、用意された4階建ての足場を使って洗浄します。
ストーリー
意外と触れられているレビューを見ないのですが、本作は全ステージを通して一貫したストーリー展開が用意されています。
ストーリーは「顧客からのメールメッセージ」という形で提示され、きちんと読んでいくと意外な依頼同士に接点が見えてきたり、特定の人物のおかしな行動に焦点があたっていったりするのです。
特に終盤はかなり劇的、かつ予想外な展開となり、話の先が見たいがために熱心に洗浄してしまったくらい。
本当に良かったので、このゲームのシナリオの良さを誰かに理解して欲しい。してくれ。
ショップ機能
ステージをクリアしていくと報酬が得られます。新しい洗浄機やノズルを購入しましょう。
新しい洗浄機
基本的にお金が溜まった時点で、ワンランク上のものを買う。
お金を溜めに貯めれば1つ2つ段階を飛ばして良いものを買う事もできるけど、洗浄にかける時間が長くなる以上、都度買えるものを買って効率を上げていったほうが良いと思う。
パーツ購入
ウォッシャーは本体+拡張部品+ノズル(+洗浄液)で構成されており、いずれも業務で得た報酬で購入することができます。
回転する赤ノズル、こと青ノズルは買わなくてもそこまで困らないけど、洗浄力MAXのノズルが赤より広範囲で使えるし高くないので、買ったほうが良い。
洗浄液を使うためのノズルも別途購入しないといけません。
洗浄液の力がそこまで有用ではないため、必要だと感じてから購入すれば十分。洗浄液は有料のくせにあっという間になくなるしね。
最終ステージまで行くと三叉の赤ノズルという最強パーツが購入できるようになるけど、本当に最後の最後なので予算繰りは考えておかなくても良い。その頃にはお金も余ってるし。
なお購入した後は、フリープレイで初期ステージを三叉ノズルで無双することも可能です。あんな苦労したマップがマジ一瞬。
延長ノズル
洗浄機に取り付けて使う延長ノズル。
これも中盤以降必要になるもので、高所の洗浄ポイントを快適に洗浄するために使います。
これがないとそもそも届かない場所もあったりするので必須。
長・短が売っていますが、短はあんまり使い所がないので長だけ買っておけばOK。
後々「極長」も発売されます。そのあたりで洗浄対象が超巨大なものが増えてくるため、これも買っておくと楽になります。
洗浄力の要点
汚れを落とす力は「水圧」が全てです。
そしてその水圧を高めるのが「ノズルの絞り角度」と「洗浄対象への距離」です。
白ノズルは40度~赤ノズルは0度となっており、きつく絞られている分、赤の方が汚れを落とす力は高くなっています。
至近距離で赤を使えば、確定で汚れを落としきれるほど。
画像は同じ距離を取って、左から白・緑・黄・赤・青(回転)ノズルを使ったもの。
だいぶ違いがわかりやすいはず。
白は本当に洗浄力が低いですが、汚れが薄い+至近距離から洗浄できる足元とかなら使っても良いかも。
一方赤ノズルを使っても、距離があると汚れを落とす力が下がってしまいます。
つまり延長ノズルを使って、ノズルと汚れの距離を近づけることがスムーズな業務遂行の助けとなるわけです。
角度のあるノズルは近付けすぎると、水が広がる前に当たるため洗浄力が逆に落ちてしまうので、高度な柔軟性を以って臨機応変に対応しましょう。
特別依頼
追加の無料DLCとして実装されたミッション。
日本でのパブリッシャーがスクエニだったことを生かして、「FF7」「トゥームレイダー」とのコラボ業務にあたることができます。
トゥームレイダーはやっていないのでちょっとわからんのですが、FF7ではミッドガルから脱出するときに使った車とバイク、最初に戦うボスであるガードスコーピオン、ティファの酒場「セブンスヘヴン」を洗浄することができます。
正直これがゲームを購入するに至ったきっかけでした。FF7Rのモデル使ってるのかな?
セブンスヘヴンにはバレットの銃とクラウドのバスターソードも置いてあるので、シリーズファンの満足度はかなり高いと思う。
さらにセブンスヘヴンをクリアすると、神羅に呼ばれてミッドガルの精密な模型の洗浄依頼がやってきます。
精緻で巨大なミッドガルの模型を至近距離で眺められるのはかなり嬉しい。
とある事情でバイオ生物が逃げ出して培養液まみれになってしまった、というシチュエーションらしいので、本編中のイベントの後始末をさせられているのかもしれない。
トロフィー
かなり数があるが、水増し感のあるミッションも多い。
普通にクリアした場合、確定で達成する実績は10個弱。
あとは「特定のノズルだけ使って特定の業務をクリア」とか「このステージでここを最後に洗浄するようにやる」とか順番だけの問題だったりするので、あまり「よおしこれも達成してやるぜ!」って感じにならないものが多い。
手順がどうのってだけで、高難易度のミッションをクリアした結果とかじゃないからなこれ。
合計プレイ時間が54時間を越えた今なお、何がそこまで私を駆り立てるのか言語化できていない。
目の前に露骨な汚れがあり、自分が頑張ることでそれが消える、という「達成感」の連鎖を実感しやすいからだろうか、と今のところは思っています。