幕間「美しき夢と聖杯」

予想外のコラボ発表だったので、マジでやるのか…?と思っていた崩壊:スターレイル×Fate/stay nightのコラボイベントがいよいよ実装されましたね。
そして今日終わったんですけど。
イベント開催期間も長いし、まぁそのうちやればええやろと思っているうちに、駆け足で前日にまとめてプレイしてギリギリ滑り込みクリアできました。

終了後もコラボイベントは常設されるので、シナリオ自体は後追いでも読めるようです。

さて、イベント内容自体はプレイ遅くなったのが今更惜しく思うくらい、本当に満足度の高いものでして、スターレイル側の掘り下げとFate側の掘り下げ両方をきちんとこなした素晴らしいシナリオでした。

あくまで幕間だし、メインと比べると描写や演出があっさりしてるところはあったんだけど、バトルパートはムービー演出もあり、Fateならこれはやらないとねっていう描写もあり、コラボなのに原作でも見たことないこんなもん見せてくれていいんですか!?っていうのもあり。

とくに弓槍が好きな人は大興奮すること請け合いです。

「美しき夢と聖杯」

ピノコニーでもっとも強大な五大名家のひとつ「ルーサン家」の当主にして大商人オーディが、どこかから聖杯を入手してピノコニーで「聖杯戦争」を始めるという。
万能の願望機によって夢を叶える権利は、オーディが招待状を送ったピノコニーの有力者たちに与えられた。

大株主である開拓者もまたその一人であり、与えられた令呪を以て召喚を行うところから物語が始まる。

Fate/夢の国で足を休める夜

ストーリー前半は何故か、スコートの視点から開拓者・カンパニー・ロビン・巡海レンジャー・星穹列車を覗き見る形で前フリが行われる。
サブクエストの半モブキャラだったはずのスコート、いつの間にか準レギュラーです。

スコートのサーヴァントはアサシン。
真名「グレイディ」はピノコニーにかつて生きた伝説的?B級映画監督。
ただし単独での召喚は何故かされておらず、Mr.レックという映画監督の体を借りる形で登場しています。

この聖杯戦争自体が、ピノコニー全土(あるいは銀河系全土?)に放映されているエンタメショーとして構築されており、映画監督であるグレイディはカメラの映像から各マスターの動向を観察できる、というかなり強力なスキルを発揮しています。
聖杯戦争の主催者であるオーディが後ろ盾になっていることもあり、その立ち位置はかなり盤石。

セイバー召喚

「閉じよ(みたせ)。」は省略されてしまったけど、「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」から先は、スターレイルのキャラクターらしいアレンジを交えつつマスターとして選ばれた面々によってきちんと詠唱されます。

しかし開拓者は、何故かサーヴァントの召喚に失敗。
更にスコートから奇襲を受け(案の定大して強くないけど)、ピンチ―――というところで!

バトルに割り込む形でまさかのゲイ・ボルグ!

ガチャで実装されたセイバー、アーチャーではなくランサーから登場させるというのがニクイ演出。
しかも容赦なくサーヴァントを召喚できなかったマスターを殺そうとする、というランサーらしい非常な判断もきちんと伺えます。

そこへギリギリのタイミングで駆けつけるセイバー!
庇われて後退、ステージから一段低い位置へ移動した開拓者を見て、あぁこの流れはあの構図の前フリの!と興奮したマスターは多い。

この構図をやらないわけにいかねえよなあ!
セイバーを召喚した開拓者を「お前は特賞を引き当てた」と称賛して早々に帰還するランサーも潔い。

ランサーはすでにアーチャー陣営と顔を合わせていたようで、合流してすぐに口喧嘩を始める弓槍。

ちなみにランサーのマスターはブートヒル。
アーチャーのマスターがアベンチュリンでした。アベンチュ凛ってこと!?

マスターとサーヴァントたちの会話シーンでは、この世界にはブリテン島もアイルランドもないんだから、真名を知られたところでなんの弱点にもなるまい、って会話が面白かった。
この世界には彼ら英雄の生きた証はどこにも残っていないからな…。

キャスター陣営

一方ロビンの召喚したキャスターは、かつてピノコニーで名を馳せたというアーティスト。
かなりしっかりしたキャラ付けとストーリーがあるので、半モブみたいなビジュアルだったのは惜しい人。

彼女はかつて本名を芸名としてタレント活動を行っており、その名前は商標として現在もピノコニーの地で管理されているという。
さらにその権利は本人の手を離れており、つまり真名を名乗ろうにも名乗る権利を持っていないサーヴァントなのだ。

これがもう本当に面白いネタだと思って、サーヴァントとくればその真名は果たして?というのはFateシリーズの大前提なんだけど、サーヴァント自身が名前を奪われているせいで、その名をマスターにすら明かす権利を持っていない、というのは凄い面白いギミックだと思う。

同じくアーティストとして活動しているロビンは、彼女の境遇に感じ入るものがある。
しかし一方で、戦争とは勝つものではなく終わらせるものと考えるロビンに対して、終わらせるには結局勝たねばならないと考えるキャスター。

聖杯戦争における勝利条件について違った捉え方をしている、とこの段階で示唆していますね。

ハンバーガー100個

ピノコニーの御当地ご飯を食べに行ったセイバー陣営は、ドリームリーフでキャスター陣営と遭遇。
情報共有をしていくうち、共闘を約束することに成功する。

願望機としての聖杯を危険視するロビン。

当然だがこの世界には魔術は存在せず、当然に魔術儀式「聖杯戦争」もFate本家世界以上に胡乱な存在として認知されている。

Fateの世界でも、魔術の本場ロンドンにある時計塔では、聖杯戦争など東のすみっこの国でなんか妙なことをやっているぞ、レベルの扱い。
本当にサーヴァントを召喚できているんだから、もうちょっと注目度高くてもいいような気がするんだけどね。

実際、主催者であるオーディの元には肯定的なメッセージはほとんど届かなかった模様。
Fate世界より更に「聖杯戦争」に縁遠いスタレ世界ではさもありなん、というところでしょう。

その頃、セイバー・キャスター陣営、ランサー・アーチャー陣営にそれぞれクラークフィルムランドへ呼び出すようなメッセージが届く。
アサシンからの罠により、聖杯戦争の参加者たちは一同に介することとなる・

Fate/沈黙の時代への回帰

映画監督グレイディの宝具はまさかの固有結界。
サイレント映画の世界に対象を閉じ込め、その空間を監督の意のままに操るというもの。
映画監督という生前のスキルを聖杯戦争に活かすの上手すぎるだろこいつ。

しかし所詮はB級監督。しかもサーヴァントもマスターも一騎当千の兵なのだから、映画の中という固有結界を破る手段がふつうに複数出てくる。

マスターであるスコートが3流なのもあって、アサシン陣営は追い詰められていく。
口八丁で仲間割れを誘うも、アベンチュリンとアーチャーはそれを利用してサーヴァントの居場所を見抜く。

マスターがサーヴァントと肩を並べて戦える能力者ならではの構図。
アベンチュリンとアーチャーは映画監督が絶対に姿を消せる「カメラの向こう側」へ隠れていたことを見抜き、第四の壁を打ち破る。

このアサシン戦パート、何故かサイレント映画という設定のためキャラボイスがなくなるし、(アサシン陣営の戦力的乏しさの演出かもしれないけど)アサシンたちの戦い方がすごく場当たり的という、正直あんまり面白いパートではなかった…。

何故か無意味にハヌ化させられたり、クロックトリックを使ってみるけど無意味だったシーンがあったり。
ピノコニー要素を回収しようとしたけど、ノルマを達成することだけやって終わってしまったみたいなところがちらほら…。

この段階では「このコラボクエスト、シナリオいまいちじゃね…?」と思っていたんだけど、このイベントシナリオが本気を出してくるのはこれから。
なおこのパート自体も、ピノコニーの持つ商業主義的精神や時代の流れに押し流されていったエンターテインメントの趨勢など、物語から逸れたエピソードではないんだけどね。

一方クー・フーリンは、この聖杯戦争の主催者オーディのもとを訪れ、この聖杯戦争の真意を問う。
しかしその背後に訪れたのは、ロビンと別れたキャスター「ノーツガール」だった。

心優しいマスターの元では、仲間を裏切って聖杯戦争の勝者になることは出来ないと睨んだノーツガール。
彼女の望みは権利を奪われた己の名前を取り戻すことなので、聖杯戦争で勝たなくともオーディを通せば叶えられる願いだった。

彼女は名前を失ったことで使用できなかったはずの宝具を使って、クー・フーリンを封印する。

特に過程は説明されていなかったと思うんだけど、彼女の名前の権利を持っていたのはルーサン家だったのでしょう。
つまり封印されていた真名を開放することのできる唯一の人物が、オーディだったのだと思います。

ノーツガールはマスターの元を離れ、オーディと交渉することで聖杯の力を借り受け、宝具を解放できるようになり、まずはクー・フーリンを封印した、という。
クー・フーリンこういう役回り似合うよな…。

後からやってきた他のマスターとサーヴァントも同様に、彼女の宝具に飲み込まれてしまう。

Fate/朽ちゆく黄金のアリア

さぁここからがイベントシナリオの本番だ!
ノーツガールによって送り込まれた心象風景。それはアルトリアの始まりの地であるブリテンの地だった。

っていうものすごく大切な場面で邪神セイバー出すことある?
中国の違法コピー品が元ネタですが、あまりのクオリティの低さに逆にネットで大きなムーブメントを産んだ伝説の失敗作です。

さて、スタレだけではわからない情報ですが、アルトリアの聖杯にかける願いは「ブリテンの救済」。
自身が王となって治め、その結果滅んでしまったブリテンを救うことを願っています。

かつては過去に戻ってブリテンを治めるところからやり直して、国を存続させたかったアルトリア。
その願いは『Fate/zero』を経て、そもそも「自分が王になったのが間違いであり、自分以外の真の王になるべき誰かが選定の剣を抜いてブリテンを救って欲しい」と願うようになる。

そこから更に、本作のコラボ対象でもある『Unlimited Blade Works』の物語を経て、そうして過去に戻ってやり直すという選択自体の無意味さを理解し、現状をあるがまま受け入れたのがUBWセイバーの着地点です。

アルトリアの前に現れたのは、岩に刺さったままの選定の剣。
彼女はあくまでこれが仮初の風景だと理解していますし、聖杯への願いを振り切ったアルトリアは、この剣の刺さった風景を見ても取り乱したり、願いに理性を奪われたりはしません。

一方、同じような現象が開拓者の前にも現れる。

宇宙ステーションヘルタで、星穹列車に乗らなかったことを選択した可能性を見せられる開拓者。
そこではヘルタの温情で宇宙ステーションのスタッフとなっており、実質雑用係とされている地理科の更に一番下の雑用係として、書類の整理や会議室の予約を任される。

Fate的に頭に浮かぶのは、2部6章で出てきた「失意の庭」という魔術。
これは対象となった人間から誇りとしているものをすべて奪った仮想世界を作り、心を砕くというとても悪質なもの。

もちろんこの世界に魔術はないので、あくまでアーティストであるノーツガールが生み出した仮想世界。自分の心象風景ではないだろうから、固有結界ではないでしょう。
「儚き只人の唄」という名前からも察せますが、自分の誇りを奪って、いくらでも代わりの聞く只の人になった自分を見せられるという仮想世界なんでしょうね。

ゲームのシステムメッセージに介入してくるノーツガールの思考誘導がおぞましくて、恐ろしい。

開拓者の誇りを砕く雑務の日々の中で、何故か見覚えのある赤い外套の男が現れる。
こういう現実を捻じ曲げられた世界で、元の世界へ戻る手がかりが現れる瞬間って最高に良いよね。

また、書類の中には誰かが置いた意味深なメッセージも。
ノーツガールが自分で自分に向けたメッセージに見えますが、それが開拓者に見えてしまっているのでしょうか。

しかし開拓者には、契約を結んだサーヴァントがおり、もし仮想の世界に心折られず、まだ戦えるのなら自分が力を貸すと声をかけてくれている。

仮想世界のヘルタには、再び星穹列車が現れる。
再び手に入れたナナシビトとして開拓の旅に出る選択肢。

しかし開拓者の知る丹恒は列車を降り、ヴェルトは地球で別れ、なのかは…。

果たして列車に乗ることは正解なのか?その先に素晴らしい旅が待っているのか?自分が仲間の足を引っ張ってしまったらどうする?
ノーツガールからの誘導は、開拓者の中に芽生えた勇気をへし折ろうとしてくる。

アーチャーは勇気ある決断にはリスクが伴うことを語るが、同時にその先にこそ光る星となった英雄たちの姿があることを語る。

この星を目指す物語という部分にまたFateを感じる…どちらかというとFGO、2部6章のアヴァロン・ルフェに重なるかな。

決断した開拓者を止めようと、ノーツガールはなりふり構わず開拓者の足を止めに来る。
この声をかき分けて前に進む選択をプレイヤー自身の操作で出来る、というのが本当にゲーム体験として素晴らしい。

開拓者が進んだ先にあるのは、あのときなのかが渡してくれたバット。
開拓者がナナシビトとなった証の一つ。

いや勝手になのが拾ったバットをぶん回しただけじゃんとか、そもそもヘルタのところから借りパクしてねえか?とか言ってはならない。

願いを振り切ったアルトリアの姿。
UBWの物語を経て「あのときと違った選択に囚われた自分からの脱却」を、アルトリアがマスターを導く形で見せるという。

これがもう、本当にFateとスターレイルの良いところを両方完璧に盛り上げる素晴らしく美しい展開で…さっきまでサイレント映画で、アベンチュリンの足切ろうとかやってたシナリオの同一直線上にあるとは思えねえ。

ノーツガールの宝具から脱出した開拓者とセイバーは、ノーツガールを打倒し宝具からの解放を得る。

ノーツガール

今回の聖杯戦争で最も深く掘り下げられたキャラクターだったノーツガール。
宝具を打ち破られ、敗北を確信したノーツガールだったが

ロビンは令呪を以てノーツガール…アスナに真名を返還し、彼女の苦悩と敗北の中に終わった生を全肯定する。

令呪といったら重ねて使うのが物語のクライマックスの王道だけど、まさかそれをロビンが担当することになるとは。
しかもその使い道が、敵に勝つためではなく心折れて名前も失った元アーティストに名前を還し、鼓舞し、彼女の人生を全肯定するために使われるなんて。

ここはもう本当に予想していなかったから、最初にロビンの令呪が光った瞬間思わず声をあげてしまった。
最高だよロビン…スターレイル世界の女はタフで強い人が多いけど、ロビンはちょっと図抜けて強く、かつ芯が全くブレないよね。

残った面々はオーディの元へたどり着き、いよいよ聖杯に王手をかける。

語られるオーディの真の目的が面白いのは、彼はもう富も名誉も長い寿命もとっくに手に入れていることなんだよね。
1琥珀期が不定の長さだから難しいけど、まぁ1000年くらいは最低でも生きているだろう男がこのオーディ。

夢の国ピノコニーの経済を牛耳るトップで、スターピースカンパニーですら十の石心が二人と星穹列車のナナシビトまで利用して、ようやく交渉が取れるほどの立場の人間です。

彼が聖杯戦争の参加者に語った目的とは、聖杯戦争をピノコニーの経済へのカンフル剤とすること。
調和セレモニーが秩序によって不発させられたことを受け、彼は次の琥珀期に向けてピノコニーの経済を循環させるビジネス構造そのものを求めていたのでした。

ただ聖杯にお金を出してもらえばいいじゃん、と言う開拓者に、突如金が現れてもそれはインフレを生むだけだと商人の視点からド正論のマジレスを帰す姿が面白い。
前述の通り、オーディの目的は金そのものではなく、金がピノコニーに流れ込む流路を形成し、時代の利益構造を成立させることなのです。

そのための「第一回」聖杯戦争というCMで、エンタメショーとしての聖杯戦争を今後も繰り返し開催すること自体が、彼の望みであったことが語られています。

そしていよいよ現れる、オーディの召喚したバーサーカー。
それはピノコニーの歴史に10琥珀期の期間君臨してきた、自分自身であった。

ピノコニーの人々が見るオーディの姿。それはピノコニーを貪る害虫そのものであったという。蟲ジジイ!
クラススキルに無辜の怪物ついてそうですね。

繁殖の蟲の姿で登場するので、キャラの育成や編成がまだ完成していないとかなりしんどいかも…と思いきや。
お試し加入してくれるセイバーが、しかもこのバトル限定ギミックとして令呪(使用時EP満タン)まで使えるので、セイバーの宝具を回していれば問題なく勝てるでしょう。

もつれ状態が厄介なので、デバフ解除要員はいたほうがいいかもしれませんね。

決着シーンではとても贅沢なムービー演出が見られます。

令呪によりアルトリアの宝具を開放する開拓者。

咄嗟にクー・フーリンのゲイ・ボルグを投影し、ゲイ・ボルグ乱射をして見せる弓槍コンビ。
こんなカッコイイもんコラボで見せてもらって良いんですか!!

ちなみにゲイ・ボルグの原点は、投げると30の槍に分かれて敵に降り注ぐというギミックをそもそもとして持っており、FGOではスカサハの宝具「ゲイ・ボルグ・オルタナティブ」演出にその一端が見られますね。
ランサーのときは数多に別れたゲイ・ボルグが敵の体を固定する演出として、アサシンのときは細かく分割したゲイ・ボルグを敵の頭上から降らせるという演出で見せてくれています。

アーチャー、ランサーが道を開いてエクスカリバーの時間稼ぎをするという激アツ展開によってバーサーカーは敗退。
聖杯が砕かれたことでオーディの野望も終わり、ピノコニーで開催された第一回聖杯戦争は、第一回を最後に終りを迎えた。

聖杯が壊れたことで、マスターとサーヴァントの契約も完了し、サーヴァントたちは各々に英霊の座へ帰還していく。
アーチャーがこんなことを言える体験が出来たの、本当に良かったね…彼が生前戦った地球上だと出来ない思いだっただろうな。

かくしてピノコニーに突如訪れた、星を目指す物語はこれでおしまい。
本当に、本当に素晴らしいコラボシナリオだった…。

Fate/星の海への帰還

さっきまで出ていたオーディはサーヴァントの方だったので、こちらはマスターのオーディ。
その背後にはMr.レックと、ロビンのおかげで名前を取り戻したノーツガール改めアスナの姿が。

アスナは権利上の名前をルーサン家から取り戻すも、アルトリアたちとは違い、不当に奪われたものをようやく取り戻しただけで、しかも自身はこの後すぐ消えてしまう身。
地獄に落ちろ!と吐き捨てた感情そのままに、アスナにとってオーディへの復讐を果たすことは叶わなかった。

ただ、このまま聖杯戦争に挑み続けても自分の願いは叶わないと察し、現実的な願いを叶える筋道を立ててその通りに叶えたアスナの姿は、聖杯戦争の参加者としては中々見ないルートを辿っていて、とても面白かったな。
やっぱり今回一番深く掘り下げられたのは、開拓者でもセイバーでもなくアスナだったと思うわ。

ライダー陣営

そして、すっかり忘れていたパムとライダーの陣営。
そこにいたのは、かつてのナナシビトでありピノコニー編の最重要人物でもあったミハイル…の幼い姿、ミーシャだった。

劇中に登場するミーシャは、ミハイルという伝説的人物の憶泡から生まれたサーヴァントとでも形容できる存在。
その姿で星穹列車に現れ、当時から車掌をしていたパムと再会することが出来たという、唐突かつ感動的なエピソードでイベントストーリーは幕を閉じる。

ピノコニー編をやった当時、ミーシャってこれミハイルの人生をすべて踏まえて新たな人生を得た、ミハイル・リリィみたいな存在じゃねーか?と思っていたのですが、まさか公式でこうしてサーヴァント・ミーシャを見ることが出来るとは!

パムが楽しそうに、今の乗客の話をミーシャに聞かせる姿が本当にいじらしくて可愛くて、切ない。
Fateといえば出会いと別れの物語だけど、別れをこんな形で感動的に見せてくれるなんて思っていなかった。

むしろここで物語を着地させるために、アーチャーやランサーはするっと退場していったのかな、と思う。

本来絶対にありえなかった、星穹列車とナナシビトの再会と別れ。
聖杯戦争はオーディの企みによって主催され、大きな騒動を起こしたが、そのはるか遠くでただ一人、パムの心を優しく慰めて終わったのだ…。


ということで、イベントストーリー「美しき夢と聖杯」でした。

スタレでまさかのFateコラボ、しかもメインライターが型月厨ということで期待はしていましたが、まさかここまで満足度の高いものになるとは思っていなかった。
見たいと思うもの全部見せてくれた、ものすごく要点を捉えて逃さないコラボだったね…。

スタレ側とFate側で双方にきちんと会話シーンがあり、Fateのストーリーから得た学びでセイバーが開拓者を導く場面があり、コラボである意味がしっかりとある素晴らしい内容だった。

ここが好きランキング1位はミーシャとパムの再会、2位はロビンの令呪、3位は投影ゲイ・ボルグコンボでした。

Fateはもちろん好きだけど、スタレはスタレで独自の世界観をきちんと築いているんだから、コラボしてよその世界観を持ち込んでこなくてもなあ、と思っていたんだけど、そういった懸念は全部どこかへ吹き飛んでおりました。

実装されたセイバーもアーチャーも良い性能していたし、本当にありがとうホヨバース…!

「Fate/stay night」

もう一つ、ミニゲームとして実装されている疑似聖杯戦争ゲームがこちら。

スターレイルの世界に存在する、デジタルで再現された複製世界「階差宇宙」に聖杯を持ち込み、擬似的に聖杯戦争を体験できるようにしたものです。
こちらではスターレイルの登場人物たちが全員サーヴァントとなって、七夜の聖杯戦争を戦い抜くというもの。

階差宇宙でもあるので、一夜生き抜くごとにバフ要素があり、各サーヴァントクラスを冠した駒を揃えることで超強力なバフがかかる…というか、そのバフ量を前提にしたゲーム構造になっています。
例えばランク4のランサーの駒だと、与ダメージに240%というアホみたいなバフがかかります。

それに合わせて敵のHPもバカ高くなっており、何十万程度のダメージじゃロクにHPゲージが減りもしないような地獄が広がっています。

こちらはFateをモチーフにしているものの、純然たるスターレイル側のプレイヤー向けになっており、マッチアップした相手によっては会話が発生。

特に開拓者とカフカのやり取りには強烈な親子っぽさがあり、肝心の本編でこういう絡みが出来ていないだけにここで擬似的に見られたのは嬉しい。

またスタレ側のキャラには全員クラスとステータス、固有スキルが設定されているというこだわりぶり。
公式にイリヤとバーサーカーをモチーフにしましたと明言されているクラーラは、もちろんバーサーカーで実装。
自身の筋力はEだが、戦ってくれるスヴァローグの強さが宝具A++という形で表現されている…など見どころも多いです。

他にも彦卿はセイバーじゃなくてアーチャーなんだ?いやでもエミヤがいることを思えばあれはアーチャーか…となったり、マダムヘルタはやっぱりキャスターだったり、鏡流がセイバーではなくバーサーカーだったりと、チョイスに運営側のキャラへの視線が感じられてとても美味しいイベントでした。

ちなみにバトル中、聖杯が汚染されて泥があふれるというギミックがあります。
頭イカれてんのか!!!

ちなみに全てクリアすると、階差宇宙のミュージアム用アイテムとして、令呪の紋章「令呪の影」と聖剣の鞘「全て遠き理想郷」が入手できます。
令呪の影は、入手する宇宙の欠片+1というささやかな効果ですが、全て遠き理想郷はエリア移動のたびにHP20%回復という中々立派な効果をしています。

単純にミュージアムに展示できるというだけでも楽しい。

ついでにキャラクターレビュー

セイバーは壊滅の運命の風属性。
戦闘スキルは拡散、必殺技と強化通常攻撃が全体で広い範囲を薙ぎ払うのが頼もしい。

スタレ初心者を想定しているのか、仲間が必殺技をぶん回すほどセイバーのEPも一緒に溜まっていき、必殺技をぶっ放すとオマケで強化通常攻撃もぶっ放せる、という難しいこと考えなくても強い設計が楽しい。

必要EP自体はめちゃくちゃ多いものの、EPを貯めるチャンスが大量にあるため回転率自体は普通。
割合でEPをチャージできるサンデーと組ませた上で、必殺技の回転が軽い仲間と編成させると相性ヨシ。
サンデーがいない場合は停雲でもいいですが、サンデーの持つ会心周りへのバフが段違いなので、EPの補填はそれなりに出来ても最終的なダメージ量は大きく劣ってしまいます。

一方アーチャーは大変に複雑な構造をしており、なんと戦闘スキルでの消費SPが2。通常の倍です。

花火同様、天賦でSP上限を+2する能力を持っており、みんなでSPを貯めて溜まったら全部アーチャーがぶっぱする、というメリハリの効いた構造。
貯めのターンと攻撃のターンがはっきり別れるので、バフのタイミングや敵のチャージ攻撃が何時来るかなどをきちんと把握しておきましょう。

高いSPコストを要求される代わりに、ダメージ倍率は破格。
戦闘スキルを発動して「回路接続」状態になるだけで、与ダメージバフ100%というイカれた性能をしています。
更に現在SPが4以上のときにSPを回復すると、会心ダメージバフ120%という更にイカれたバフを得られます。

よってSPを6以上に稼いでからアーチャーが戦闘スキルを3連打するだけで、与ダメバフ100%+会心ダメ120%の3連打が成立するというわけです。
会心率は自力で100%近くまで上げておこう。こちらもサンデーがいればステータス上の実測値は70%ちょいで十分間に合うぞ。

最高のパートナーは当然花火。
花火とアーチャーで最大SP9になるので、アーチャーの戦闘スキル連打回数が明確に変わってきます。
うちにはいないけどね…。

必殺技はもちろん『無限の剣製』。
なんとこの必殺技待機状態で放置すると、あの詠唱をすべて読み上げてくれるという贅沢仕様です。

FGOですら『I am the bone of my sword. So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.』しか読み上げてくれないのに!

剣のデザインも複数の種類があり、士郎の固有結界のことをよく理解しています。
なんとダメージ倍率は1000%。
直近の巡狩である飛霄が700%であることを考えると、配布とは思えない破格の性能をしています。


というわけで、崩壊:スターレイル×Fate[UBW]コラボイベントでした。

Fateファンもスターレイルファンも、両方のファンも満足できる凄まじい内容だった…これが基本無料で遊べるの正気かよ…。
しかも常設らしいから、後から始めた人も問題なく遊べるという…。
こんなアツいもん見せられると、第二回コラボも期待したくなっちまうじゃねえか…。

これから先の旅をセイバー、アーチャーとともに進めることが嬉しくてならない。
ありがとうスターレイル。ありがとうFate。


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