8番のりば
乗るしかない、このビッグウェーブに。
今日のレビューは以前このブログでも紹介したウォーキング間違い探しホラー「8番出口」の続編である「8番のりば」です。
8番出口の超大バズり以降、雨後の筍のように沸いてきたウォーキング間違い探しホラーですが、いよいよ8番出口の作者による直接の続編がリリースされました。
あの大量の精神的続編で良く出来てたの、「偽夢」と「0番新幹線」くらいだったな…。
今回の8番のりばは、電車の車両に乗ったプレイヤーが車両を前に進んでいくゲーム。
もちろん車両の中では異変が発生することがあり、その異変に適切な対応を取らねばなりません。
私はてっきり繰り返す車両で間違い探しをして、車両を進んだり戻ったりするゲームだと思っていたのですが、今回結構ゲーム性が変化しております。
というのも、今回異変を見落とすことはありません。
というか前の車両に戻れなくなってる。
異変が起こる車両では「プレイヤーの進むにつれて自動で発生する異変」か「車両内を探して異変が完了するまで見届ける異変」、「条件をクリアするまで進めない異変」などが用意されており、これらを完了させるまで次の扉が開きません。
つまるところ、8番出口であった「異変を見落としたためにスタート地点に戻される」機会がなくなったわけです。
いくつかの要素で戻されるイベントは発生するけど、大抵のものはとっさに反応してクリアーできると思う。
私は初見ノーミスクリアーできました。
ただノーミスでクリアしてしまうと見れないイベントもあるので、一概にさっさとクリアするのが良いわけでもないですけどね。
電光掲示板を見ろ
普段はプレイヤーの進度を表示してくれる電光掲示板。
一部の異変ではここにメッセージが表示され、これを見落とすと大変なことになってしまいます。
異変を見届けろ
進行方向の扉に張り紙がされており、異変を見つけて演出を見届けないと扉が開きません。
とは言え隠されているわけじゃないので、車両をくまなく歩き回れば問題はないでしょう。
他、いくつかあるんですがスクショを貼るとそのままネタバレになるので、画像はここまで。
こういうゲームというのを知らないままに8番出口のノリで始めると、車両内の広告を丸暗記するところから始めることになるわけですね。
私も最初の3両くらいやってたわ…。
全クリしたのでゲーム配信者のアーカイブを見てるんだけど、(結果的に無意味な)広告ポスターの暗記をしてる人が相当数いて笑っちゃう。
言葉で説明しすぎず、プレイヤーに「察させる」ゲーム構成が誤解を産んでしまったんだなあ。
8番出口がそれだけエポックメイキングすぎたという話でもある。
あれ以降本当に大量の繰り返しループ&間違い探しゲームが大量に沸いてきたし。
感想
実のところを言うと、ゲームとしてはだいぶ簡単で、起伏の小さいものになってしまったな、という感じはある。
異変があるかないか、というラインでプレイヤーが迷うことがなくなったせいで、異変が順番に出てくるスライドショーを眺めるゲームみたいになってしまったのは、個人的にはマイナスだった。
プレイヤーにゲーム性をぶつけてくる要素がものすごく少ない。
正直列車モチーフのゲームとしては、チラズの「0番新幹線」の方が遊びの多いゲームだった。
8番出口が120点のゲームとすると、8番のりばは85点のゲームって感じ。
これ単体でも十分面白いゲームなのに、8番出口が名作すぎた+似たようなゲームを大量に他デベロッパーが作りすぎたせいで、8番のりば自体のゲーム体験が薄まってしまった。
とは言え定価で買っても500円しないロープライスゲーム。
ちょっとハラハラしながら一つずつ車両を乗り越えていくのは十分に楽しいものでした。
地下鉄好きで8番出口と8番のりばは作ったんですが、満足したので8番シリーズは終了の予定です。
次はStrange Shadowで、たぶんその次はアクションゲームhttps://t.co/cxo9fH298R https://t.co/U3lucDTuLY
— コタケクリエイト (@NOTOKEKE) June 2, 2024
制作者のコタケクリエイトさんは、次回は巨大な怪物から逃げるゲーム「Strange Shadow」を製作されるそう。
すでにSteamにページが出来てムービーが見られるくらいなので、プレイ出来るのもそう先ではないかもしれませんね。
さて、以下ネタバレレビュー。
一応異変のまとめも作ったけど、今回のゲーム性だとまとめる意味はなかったかもしれない。
ネタバレレビュー
ネタバレレビュー
真エンドの最後の瞬間本当に良かったよねえええええええ!!!!!
まさかホラゲーでこんなドラクエ3みたいな感動を味わえるとはマジで思ってなかったよ!!!!
実をいうと、恥ずかしながらホームへ下りた段階ではあそこに通じるアレだとは気付いていなかった。
道なりに進んでいく過程でちょっとずつ「おや…?」って気付いていって、あの角を曲がってのあれよ!
100%ネタバレになるのでメイン感想で言えなかったけど、あの瞬間の感動込みで言うと100点のゲームだったと思う。
ただ、ゲーム性という意味では8番出口よりやること自体が減っているのがもったいないよなあ。
プレイヤー的にはほとんど歩くだけのゲームなんだよねこれ。
いろんな工夫をされた8番出口ライクのゲームが出てきた中で、逆に要素が減ってるんだよね。
これは「8番出口2」ではなく「8番のりば」なのだ。
以下異変一覧。
開けるな
進行方向の扉から「開けてください~!助けて~!!」と繰り返される異変。
電光掲示板には「開けるな」と書かれており、しばらく眺めてると異変が諦めたのか、声は消えて黒くなっていた窓がもとに戻る。
この声はHIKAKINらしい。狭い連結部にHIKAKINが詰まってると思うと笑えてしまう。
うごいちゃだめ
女の子と「だるまさんが転んだ」をさせられる。
照明が明滅するので、暗いうちに前に進むこと。明るいうちに動いてしまうと…。
目を離すな
扉前にいる白いシルエットの人影。常にカメラの画角に入れながら進行方向の扉を目指す。
扉を開けるときは視線をそらしても大丈夫だったけど、そらしたまま待機してたら追いつかれてゲームオーバーになったりするんだろうか。
窓の写りこみ
窓に映り込んだ社内にだけ存在する人影。
これはすぐ見つけられると思う。
お前
企業広告で異変やっていいんだ…。
8番のりばに実装された、多くの「本物の」広告に起きる異変。これは「空気読み」の広告ポスターでした。
ねこあざらし薬店
これも実在する「ねこあざらし薬店」の広告ポスターの異変。
正直異変としてはささやかで、スポンサーへの配慮だったのだろうか。
撮ってくるおじさん
急にこっちを認識してくるんじゃねえよ!
移動するとそれに応じてカメラの向きを変えてきます。
迫ってくる人
明滅する電気に合わせて、少しずつこちらに迫ってくる影。接触すると一発デス。
相手が動けない暗いうちにすり抜けましょう。
降りるな
電車が走行したまま扉が開いてしまう異変。リアルでこういう異変を目撃した人いそう。
降りると落下してもちろん死亡します。
デカい腕
扉が開いて巨大な腕が伸びてくる。捕まるともちろんデス。
確か伸ばした腕に横から触れてもアウトにはならなかったはず。一回やり過ごしてふぅ~と油断してると次があるのが緊張感あって好き。
仰角45度
車両が急に持ち上がる異変。ある程度の高さになると立っていられなくなり落下してしまう。
意外にも、落下してもデスはしない。一回落ちても改めて平面に戻ってくれる、だいぶ優しい異変。
セッションデイズ
これも実在する本の広告。顔が怖くなっている。
がそこまで怖くない。むしろ可愛いまである。
満員
インパクトがでかいので結構ぎょっとする異変。
最初はすべての席が埋まっているが、進行方向の扉が開かないことを確認して戻ると席がひとつ空いているので、そこに座ると扉が開く。
めっちゃガラス割れる
車両中盤くらいで窓ガラスが全部割れる。
おじさんもうちょっと現実に興味持ったほうが良いよ。
ダダダン
ホラーの定番、血の手形が広がる異変。
あまりに定番なので、扉を開く寸前に最後の一回がくるんだろう!と思ってたら本当に来たので嬉しい。
894
本作最高難易度の暗号。マジでここで20分迷った。
実際には進行方向扉を8回、反対側の扉を9回、改めて進行方向扉を4回開けようとすると先に進めるようになります。
私は「この暗号が進行方向に対して垂直に書かれている意味とは…?」「上の絵は…おじさんの持っているスマホか!」「左右に動かせるオブジェクトなんて見当たらないぞ…!?」とマジで明後日の方向に悩み続け、大量の時間を無駄にしました。
左右に動かせるもの…どこかにダイヤルが増えてて、それを金庫を開けるときのように回すんだな?!とか思って車両の中を探していた。
人によっては一瞬で理解できるらしい…。
首なしおじさん
進行方向に首のないおじさんが現れ、のたのたと反対方向へ向かってくる。
私は椅子に座っておじさんを見送ることで回避しましたが、どうやら歩いて横をすり抜けられるらしい。
巨人が見てくる
すげえデカいからぎょっとさせられる異変。
何か起きるのか、と思っても特に何も起こらない。
降りるな
窓の外で急に霧が立ち込め、しかも扉が開く。
電光掲示板では「降りるな」とありますが、あえて降りることで…。
赤い
画面が赤くなるだけの一番単純な異変。
赤く染まったせいで電光掲示板を読めなくなって、未知のルールに対応しなければいけなくなる…みたいなことは特になく、ただ赤くなるだけの異変でした。
さがして
車両真ん中に居た少女に近付くと消え、車両のどこかに消えたのを探すことになる。
実のところ車内を探しても見つからず、窓の向こうに隠れている。
乗客出現
車両内に突然乗客が現れる。
なんか危なそうだな…と思って触れずに通り抜けましたが、案の定触るとデスする模様。
徐々に通れるスペースが狭くなっているのを見て察せました。
真っ暗
突然車内が真っ暗になる。しかも進行方向の扉が消えてしまう。
乗降扉が別の車両につながるようになっており、次の車両へつながる扉を見つけなくてはならない。
ZONE
ZONEの広告ポスター裏面(進行方向側)が映像に変わる。
目がぎょろぎょろと動くけど、こちらを睨んだりはしてこないのであんまり怖くない。
勝手に開く扉
プレイヤーが到達する前に先に開く扉。
実は透明な異変が待ち構えており、開いたからといって飛び込むとデスしてしまう。音で気付けるかな。
扉が閉まるのを待ってから進もう。
赤い津波
8番出口でもあった異変。
あのときは波から逃げたが、今回は戻る選択肢がそもそも無いため、車両内に水が充満しきる前に次の車両へ進む。
おじさんは見捨てよう。あいつ死なない。
振り向くな
背後から呼吸音みたいなものが聞こえてくる異変。
確かダッシュできなくなった気がするけど、振り返りさえしなければ問題なく突破できる。
見るな
進行方向に顔のぼやけたおじさんがいる。
遠目に見るくらいなら平気なのが結構判定ゆるめ。見るなといっても視線を合わせなければ良い?ようで、腰から下は見ても接触しても大丈夫。
待ち構えおじさん
進行方向の扉が開かず、振り向いてみると反対側の連結部におじさんが入っている。
近付くと出てきて早足で追いかけてくるが、進行方向の扉も開いているのでダッシュで逃げ込もう。
多分これで全部かな?
まぁビックリすることはあっても、突破の仕方がマジでわからない、ということはないと思う。
個人的に一番好きなのは、8番出口とのつながりを感じさせてくれる赤い津波。
前作をやっているだけに、猛ダッシュで前に進む選択を取れるまで一瞬迷いました。前回と真逆なんだ~~!って気付いてギリギリ間に合いました。
あと「降りるな」ですね。
電車から降りたことで、8番のりばの異変からは逃れられたようですが、「くくど」に着いてからは車両の最後尾に戻されるという現象すら起きなくなるのが、今度は別の異変に飲み込まれてしまった感じでゾクゾクします。
どうしろ、というメッセージすら出なくなるので、もうあのプレイヤーは永遠にあそこから出られないんだろうなあ。
というわけで8番のりばのレビューでした。
ホラー度も8番出口よりはアップしていますが、それでも怖いというよりも「不思議」という感じのゲームでしたね。