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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 10.5巻


oregairu105
やっはろー!って挨拶自体はかわいいし好きなんだけどとてもリアルでは使えないのでつらい。

さて、10.5巻ということでラノベ恒例の短篇集です。
といっても割とストーリーには連続性というか、一貫したものがあるのであんまぶつ切り感は無く。

表紙のとおり今回は完全にいろはすのターンでした。
なんかもうあちこちに匂わせる程度に好意を忍ばせるのが可愛すぎる。
でもいろはすの可愛さは「絶対メインヒロインにはならない」ところに担保されている気がする…。

いろはすとの出会い自体はナメられてるところから、八幡が策を提供して意表を突き、共犯のような策謀を経て信頼につながるという
単体で言えばすげえ主人公とメインヒロインっぽい構図なんですよね。
例えばあの生徒会選挙が第一話だったらいろはすは充分にメインヒロインになっていたと思うし、
目立つ会長(賢そうで実はアホ)の影で策を巡らすゲスい主人公ってのも王道ラノベ的だ。

でもあの選挙は8巻のエピソードだったんだよ…。

 

きっと、材木座義輝にもできる簡単なお仕事がたぶん見つかる。

いろはす表紙と来て何故かいきなり始まる材木座のエピソード。
いつものことですがこの二人超仲良いな。

作者の定番ネタになりつつある、ラノベ作家や編集部いじりをしつつ、
材木座メインの話と見せかけていろはすがすごい爆弾を仕込んでくる話でした。
もうプロポーズだよねあれ。

「先輩、編集者おすすめですよ、編集者」

駄目だもうあざとい。かわいい。
この前に「私、編集者と結婚します」と宣言してからのコレというのがもう本当にずるい。
さらにこの「編集者おすすめですよ」は雪ノ下やガハマさんには聞こえないよう、
八幡の耳元でぽしょっと呟くのがずるすぎる。

お前これもうお前それ愛の告白だよお前もう!

 

最後のページ、小説書いてる材木座に付き合う八幡のイラストがもう聖母。
八幡は絶対認めないけど、八幡は材木座のこと結構大好きだよね…。
もし八幡と材木座の二人きりになったとしたら、二人でオタトークとか始めるんだろうか。
八幡はアニメやゲームを抑えてる割に、他人と共有したがらないんだよね。
ぼっちゆえだろうか。

 

きっと、一式いろははお砂糖とスパイスと素敵な何かでできている。

10.5巻のハイライト。
八幡といろはすのデート回です。
あの…ガハマさんともまだデートしてないんですけど…。
逆に言うとこのタイミングでデートしちゃうというのは、本編ではやらないという逆説的な意図も見えますが。

これがもう、本当にただのデート回だった。
いろはすに連れられて八幡が呼び出されて、二人で楽しく遊んでメシ食っておしゃべりして、
そんで解散してた。
読みながら「あぁ…八幡ってデートのときこんな感じなんだな…」って思ったくらい。

そしてこのエピソードにも、いろはすの隠してそうで隠してない好意があちこちに!
恒例の、告白されたと思って慌てて断るネタもだいぶデレが見えてきました。
本命は葉山だって建前すら揺らいで来てないかお前。

当たり前のように「次」の話をしてるし、
二人で写真とか撮ってるし(これは奉仕部がデスティニーランドで先にやってるのでセーフ)。
デートの点数でここでも明確に次を示唆してるのがまたあざとい。
10点じゃしょうがないもんね…今度は高得点取らないとね…本命である葉山とのデートのためだもんね…。

いろはすは八幡に口実を与えるのが非常に上手いな…。

あとここも大事なポイントだと思うんですけど、
今回のデートで八幡はいろはすとラーメン食べてるんですよね。
ラーメン好きな八幡にとって、これは心を許した証としてかなり大きいんじゃないでしょうか。
基本八幡がラーメン共有したのって平塚先生と、修学旅行でたまたまついてきた雪ノ下だけだからね。

ガハマさん…。

ただ、いろはすは会話の端々で、すでに八幡のことも諦めてるような雰囲気もあり。
まぁ八幡でさえ気付くんだから、色気づいてるいろはすが奉仕部の空気に気付かないはずもない。
雪ノ下とガハマさんを相手取ってガチで恋愛バトルをするつもりは無さそう。
その辺の線引きも上手な感じで、しかしその線の内側で出来る限りのことをする感じが実にいろはすでした。

 

絶対に破れない締め切りがそこにはある。

作者の「作家業」「締め切り」という概念に対する反抗が見て取れる。

このエピソードにも萌えポイントがいっぱいあった…シリアスなストーリーが無い分そういうのに集中できるのはいいね。

特に八幡と雪ノ下がツーカーで会話しててガハマさんといろはすが話全く理解できないくだりとか、
あぁ久しぶりに二人のスムーズな会話見れてるなって幸せになりました。
この二人で話してると八幡がすげえまっとうに頭いい人に見えるんだよね。
ひねくれたところから出てくるアイデアがそのくせ有効なアイデアになってて、
雪ノ下が呆れながらも承認するって流れが大好きです。

ただね、このエピソードの肝は八幡とヒロインの関係ではないんですよ。

そう、葉山です。

10巻で互いへのわだかまりを解消した二人が初めてちゃんと会話するシーンがあるのですよ!!!

正直そのシーン自体はほんの数ページなのですが、そこに二人の関係の変化を感じさせるものが詰め込まれていた。
最高だった…。

葉山から八幡への態度も肩の力が抜けた感じになっていて、
八幡から葉山への態度も余計な刺が抜けて、材木座とかを相手にするときと雰囲気が似てきていて。

特に、そう特に

いろはす相手にインタビューを始めた葉山の雰囲気が、
八幡と会話していたときとは少し違って「いつもの葉山隼人」になっていた

というくだり!
海老名さん何やってんの!今がチャンスだよ!

もう、葉山は八幡の前では自分を飾ることをしなくなっているんですよ!
きっとクラスでも、もう普通に八幡と会話したりしてる!キテる!
今までは戸部やその他の取り巻きと会話してた時間を、八幡との会話に割いたりしてる!
それはきっと特別な話題とかじゃなくて、次の授業の課題やってきたか、とかそんなで!
移動教室のときにも八幡に声かけて教室に着くまでの間なんとなしに二人並んで歩いたり!
葉山が「いつもの葉山隼人」に疲れると一人でふらっと八幡のところにやってきて、素の自分でなんてことのない話してる!
特別な関係じゃないから一緒にお昼食べたりはしないけど、食べ終わったあと「今日お昼何にした?」とかそんな会話はしてる!
「んだよ何でもいいだろうが焼きそばパンだよ」って八幡が答えると葉山が「あぁ、購買のあれ美味いよな」とか答えるそんな会話!
本当に何でもない会話なんだけど葉山はちょっと嬉しそうにして、お昼休み終了のチャイムがなるまで八幡の向かいの席で時間潰してる!
八幡は八幡で鬱陶しいと思いつつも、葉山を邪険にする気にもならなくてなんとなく自分の目の前にいることを容認してる!

はぁ…めっちゃキテる…。

 

いや奉仕部もいろはすも可愛いんだけどね?
奉仕部で写真撮るところとかすげえキュンキュン来たし。

でも葉山がさあ!

 

こうして、比企谷家の夜は更けゆく。

今回一番短い話。
小町と八幡が二人で夜にこっそりいちゃついてた。

なんでうちには小町がいないんだろう…。
うちに小町いたらめっちゃ料理とか頑張って受験応援するのに…。
でもめっちゃ応援したらめっちゃ鬱陶しがられそうだな…。

八幡たちの時間が流れるということは、小町の時間も流れるということ。
受験生にとってそれは日々緊張が張り詰めていくということでもあり、
いつまでも今のまま兄と妹でふざけてばかりも居られなくなるということ。

お兄ちゃんのこと大好きなくせに家から追い出そうとする小町は、
兄の妹離れと妹の兄離れをしたいのでしょうか。

あんななくせに八幡は頼れるもんだから、ずっと傍にいたらずっと依存しちゃうよね。

前の短編とのつながりを連想させる、兄弟二人で歩く姿の挿絵がまた良い。

明確に時間の流れを描写していく本作では、コメディ系作品によくある
固定の時間軸での時系列を問わないエピソードはほとんどありません。

小町は高校受験まっただ中だし、八幡たちは進級間近だし、
あと一年すれば否応なしに奉仕部は解散となるのです。

少し前に八幡が懸念してたように、人間関係が原因での崩壊はほぼ無くなったのでしょうが、
だからといって一生奉仕部でいられるわけではない。

時間は確実に流れていきます。

 

 

ということで若干しんみりしつつも、
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」10.5巻でした。

今回は短編集ということで、伏線やストーリーの深いところを掘り下げる工程がなかったので
感想も早くに書くことが出来ました。

今後重くなってくだろう本編の前にこういうのが読めるのは嬉しいですね。

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