
今日もロープライス短編ホラゲーの時間だ!
値段 | 350円 |
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発売日 | 2025年2月20日 |
Steamのトップで見かけたロープライスホラーゲームです。
制作は『赤い女』などが有名なデベロッパーのYamato。ちょっと検索してみたけど、公式HPやSNSアカウントが出てこなかったので、個人名なのかインディーズゲームスタジオの名前なのかわからなかったな。
ページの下の方に攻略チャートもあるので、詰まった人がいたら参照ください。
小さなアパートで起こる怪奇事件
本作の舞台はアパート。
『心霊物件』というだけあって、建物とそこに暮らす人という「空間全体」が恐怖の対象となっています。

主人公は、ちょっとブラックな企業で働くサラリーマンの男性。
開始早々に上司からは「おれらが若い頃には残業しまくったもんよ」的なパワハラ?モラハラ?を受けるなど、ちょっとげんなりする身の上。

残業を終えたら家に帰りましょう。
ここからはVHSフィルタを切った状態でプレイしております。
主人公がビデオで撮影している光景…みたいな設定でないなら、あんまり関係ないよねこのフィルタ。

路地裏を抜けた先にあるのは、最近引っ越したばかりという、主人公が暮らすことになったアパート。
外観めちゃくちゃモダンですね。ちゃんとガスメーターや消費電力のカウンターが据え付けられてるのが細かくて良いです。
駐車場もあるしゴミステーションは敷地内だし、かなりの当たり物件だぜこれは。

いや…ゴミの分別がロクにされていないな…住人の民度はお察しかもしれん。

主人公はたまに友人と宅飲みをするような普通のサラリーマン男性ですが、この友達は「探偵助手」という、妙に濃い属性を持っています。お前のほうが主人公に向いてるんじゃないか…?

どうやら安普請のアパートだけに、隣人との不和や騒音問題など、手放しでは喜べない物件のようですが…。

しかし日常の中で、徐々におかしな現象に巻き込まれていくことになる。
この空間は一体…?
小粒なホラゲーだが、怖さは一級品
ストーリーを一周クリアするのに大体1時間。
エンディングは2種類あり、もう片方を回収するのに追加で10分くらいという、大変小粒なホラーゲームです。
実績をコンプしても更に追加で20分、というところ。
それでも値段が定価で350円なので、プレイ時間と価格に関しては不満は全く感じませんでした。
テンポが良くサクサクと話が進みますし、ストーリーの血の気が濃いので「今ホラーが起きるターンじゃないよな…?」と思いたいタイミングでもなんだか怖い感じがする、という密度あるゲームでした。
ホラー要素としては「ジャンプスケア」と「チェイス」があり、デスした場合は直前からやり直すことが可能です。
本作は特にジャンプスケアの強いゲームで、私には正直、心臓が痛くなるような怖さがありました。
チェイスもそこそこ難易度が高く、一発でクリア出来る人は珍しいと思う。
複雑なテクニックが求められる、というわけじゃないけど、多分焦ってわたわたしてる間に死ぬと思う。
ちなみに「音」にまつわる演出や誘導が多くあるため、きちんと音が聞こえる環境でプレイしましょう。
出来ればスピーカーじゃなくてイヤホンだといいですね。
また、ゲーム自体が4つのチャプターに分かれており、ゲームを終了したあとでも各チャプターの冒頭から始めることができます。
任意のシーンでのセーブは出来ませんが、チャプター機能で充分でしょう。短いゲームだし。
実績の一つに、出来れば任意セーブ出来てほしかったなあというのがありましたが…。
本当はもうちょっと画像を交えて紹介したいのですが、どのシーンの画像を貼ってもネタバレになるタイプのゲームなので、紹介はここらへんで。
うちでやったゲームだと『Welcome to Kowloon』と同じくらい怖かったなあ。
これは次回作も期待です。
今のところ、どうやら半年~10ヶ月に1作のペースで出ているらしい。
攻略情報
以下にゲームの攻略フローチャートを残しておきます。
難しいゲームではないけど、フラグ管理がちょっとよくわからんところがあったので「自分がやったときはこうでした」っていうチャートになります。
ゲーム開始冒頭

冒頭、上司との職場でのおしゃべりを終わらせたら、路地裏を抜けて帰宅しましょう。
一応自販機はあるけど、どの物件もこの通路側に玄関口を向けていないのがちょっと不気味。

アパートに着くと、カメラの遷移で自宅が203号室であることが示唆されます。

2階にあがると廊下スペースに管理人さんがいます。
あまりにも痩せこけすぎてて、下手な妖怪変化よりお前が怖い。
選択肢はその先の会話が異なるだけですので、どちらでもいいです。

主人公の部屋。
壁がカビてるし畳はスレてるけど、割と広めの8畳間です。
アパート外観のモダンさの割に、中は築45年って感じがします。

居室に到着すると、たかしから宅飲みの提案が来ます。

これから友人が来るというのに、腹を満たしておくつもりらしい主人公。
まぁお腹空いてると酔いやすいからな…。
冷蔵庫から弁当を取り出して、レンジでチンします。この工程に『夜勤事件』を思い出してしまう。
更にシャワーを浴びてから居室に戻ってちょっと待つと、インターホンが鳴ります。

ドアを開ける前に、ドアスコープを覗いて誰が来たかを確認する工程があります。…が、こっちはたかしの顔を知らないんだから覗き込んでも誰かわかんないよな。
なお話しかけるときは、相手の顔にカーソルを当てないと会話判定が発生しません。
これに気付かないと玄関先からぴくりとも動かないたかしと永遠に対峙することになります。

宅飲みたのしい!
パッケージングされた商品だけじゃなくて枝豆あるのも良いですね。

お喋りしていると再びインターホンが鳴り、隣人から文句を言われます。
そんなうるさくしてないだろ、と友人は怒りますが、揉め事にしたくない主人公が諌めます。
引っ越してきたばっかりだしね。

いつの間にか友人は帰宅していました。
泥酔した主人公はふらふらとしながらもトイレを済ませようとします。

はい異空間。
ここからがチャプター2になります。

トイレのドアを開けると、その先に広がっていたのは何故か妙に雰囲気のある日本家屋。
古臭い物件だと思っていたけど、こうなると逆にトイレだけリノベーションしたみたいに見えて面白いな。

この謎空間はL字になっており、しかもループ構造を持っています。
そして曲がり角には意味深なテレビの存在。また、廊下にあるふすまは開けられません。
ここからちょっとややこしいんですが、まずこのループ廊下を3周通り抜けます。

3周目で奥のドアが開かないのを確認したら、曲がり角に戻ってテレビを見ましょう。
時間経過+視界からテレビを外す→時間経過→またテレビを見る、を繰り返すと、テレビに映っている誰かが徐々にモニタに近づいて来ているのがわかります。
多分、テレビをずっと見ていると時間経過しても進まないです。
3段階あって、もっとも近づいた状態の画面を目視で確認すると、奥のドアが開くようになります。
4周目はそのまま進めます。
怖いことがありますが、そのまま突き進みましょう。奥のドアはそのまま開きます。
…のはずなんですが、3回プレイしたうち1度だけ、奥のドアが開かない現象がありました。
引き返してふすまに触れると、反対側からドンドンふすまが叩かれるというイベントが起き、それが終わると進めるようになりました。
最初に2回プレイしたときは起きなかったと思うんだけど…怖すぎて覚えてないだけだろうか…。

5周目でも奥のドアが開きませんが、引き返すと今度はふすまが開いており、中に入れるようになります。
部屋の真ん中にあるものに近付くとイベントが発生し、しばらく部屋に閉じこめられます。
音による恐怖演出…ここがゲームで3番目に怖かった。
ちなみにこの袋を発見する場面ですが、後ろ歩きでふすまを見ながら部屋に入ると、ふすまが閉まらず次のイベントが発生しない、という仕様?があります。
イベントを起こすには、まっすぐ前に進んで袋に近付く必要があります。
ホラゲーらしく背後を警戒しながら近付くとゲームが進まないので気をつけましょう。
イベントが終わるとふすまが開いて、外に出られるようになります。
奥のドアも開いているので、先に進みましょう。
6周目に入ると、曲がったところでアレが現れてチェイスが始まります。
捕まってもストーリーは先に進みますが、急いで引き返して部屋を経由すると、アレを引き離して奥のドアに駆け込むことができます。
そのまま進み続けると、2エリア分進んだところで(結局捕まるんだけど)実績を一つ開放できます。
アレはかなり足が速く、無駄行動があると割とあっという間に捕まってしまいます。
チェイスが始まったらすぐにダッシュをオンにして(これまで屋内では走れませんでしたが、ここでは走れます)、部屋に入ったら右手側壁沿いに逃げて奥のドア側のふすまから出て猛ダッシュ。
先の曲がり角ではキッチリと視点を曲げて、横移動(速度が落ちる)を挟まずなるべく最高速で逃げましょう。
私は最後のドアを開けたあと、ドアをくぐる前に捕まってしまったことがあります…。

ホラーものの定番である、今何が起きているのかの示唆を含む悪夢、という展開でした。
ここからチャプター3になります。

あれから2週間。主人公はたびたび悪夢を見るようになってしまい、日々寝不足になっています。
上司は飲みの席で、主人公の相談にのってくれます。
くそブラック上司かと思っていたら、ここで妙に人情に篤いところを見せてくれます。
良くも悪くも昭和気質のオッサン、って感じですね。

その帰り道、再びたかしからラインが来ます。
なんと探偵助手らしく、物件の過去の入居者を調べてくれていたらしい。
そしてたかしの調べたところによると、既に行方不明者が数名出ており、まだ見つかっていないという。
上司からは引っ越しの費用を貸してもらえるし、友人も心配してくれるし、と結構周りの人間に恵まれた主人公であることが伺えます。

帰宅すると、玄関前に隣人が立っているところに出くわします。
近付くと、何も言わず202に帰ってしまいます。

また、家に帰ると何故か急にトイレのドアが開くという怪奇現象。
またあのループ空間に行くのかと思ったけど、特にそういう事はありませんでした。

部屋に戻った主人公は、なにか違和感のようなものを覚える。

隣室からは妙な騒音が…。

冷蔵庫が空っぽなので、近所のコンビニに行こうとすると、上から植木鉢が降ってくるという事件が。
急いで2階に上がると、またも202の隣人が居て、彼が落としたであろう様子が伺えます。
しかし彼は早々に家に逃げ込んでしまうため、今はこれ以上追求ができません。

コンビニは、最初行けなかった道の向こうにあります。
結構マップ広いんだよなこのゲーム。

通行止めの曲がり角もありますが、素直にコンビニに行きましょう。

うーむ、再び夜勤事件を思い出す。個人的に思い入れ深いってだけなんですが。
店内にはATMを触っているおっさん、お菓子コーナーに青年が、レジには店員がいます。

このうち、お菓子コーナーにいるクセの強い見た目の青年には話しかけることができ、トロフィーの一つになっています。
コンビニでは、トイレットペーパー、ポテチ、お茶、ビールを取ったら会計を済ませて帰りましょう。

道端にいる警官も、会話するとトロフィーが一つ達成できます。
ただこの警官は話しかけることができず、周囲にしばらくまとわりついて警官の方から職務質問させる必要があります。

帰り道では雨が降り始め、大急ぎで帰ることになります。

アパートの軒先で出くわす管理人。
もともと顔が怖かったけど、やけにハイライトが濃くなってもはや異様な姿。

部屋に帰ると、雨に降られてくたびれてしまったのか、飲みは今度にして寝ることにします。
…カーテンの状態がさっきとは違うような?
ここからチャプター4です。

再び騒音に目を覚ます主人公。何故か外が真っ赤。

205号室に行くと、玄関ドアをばんばん叩くことができます。
何故か、マザー2のポーキーのように妙にリズミカルにドアを叩くことが可能。
叩きまくることで達成できるトロフィーもあるので、今まで騒音に悩まされた分叩きまくろう。

ここから急に導線がよくわからなくなるんだけど、1階に降りようとすると階段裏にアイコンが出ており、しゃがみで階段の裏側に行くと204号室の鍵を手に入れることができます。

また、鍵を手に入れると外にあの女の姿が。
しかしこちらから外に出ることは出来ず、女から近寄ってくることもありません。

204号室のドアを開けると、中に入ることができます。
何故かこのドアを開けた部屋に入るときだけインタラクティブアイコンが表示されず、ドアの隙間に体を近づけて入ることになります。

隅に積まれた袋に接近するとSEが鳴って、次の展開になります。
部屋に入って遠目に眺めるだけだと「これを発見した」判定がしてもらえないの怖すぎる。

部屋から逃げようとすると、玄関前で誰かが近づいてくる足音に気付きます。
プレイヤーに残された時間は10秒。どうにかして隠れなくてはなりません。
選択肢としては、お風呂やトイレに逃げ込む事もできますが、何故かこれは即見つかります。
玄関の鍵を拾って勝手に開けてるわけだから、誰かが入り込んでいるかもってことは察しているのかもしれませんね。

唯一の正解は「一度開けてしまった居室のドアを閉めてから押し入れに逃げ込む」です。
204に入ってきたのは、202の隣人でした。
彼はどうやら、この部屋で人を殺して解体でもしていたのでしょうか。

居室のドアを開けっ放しにしていると侵入がバレますが、きちんと閉めてから逃げ込むと回避することができます。

ここで主人公が助けを求める相手は3パターン。
言ってしまうと、たかしには電話が通じず、管理人にかけるとBエンド、警察に通報するとAエンドです。
Bエンド

お前なんで204に上がりこんでるの?とド正論を言ってくる管理人。
この先何が起こるかは君の目で確かめてくれ(ファミ通)!
Aエンド

通報後、玄関から出ようとすると再び戻ってきた隣人が襲いかかってきます。
ここで二度目のチェイス開始!

隣人は結構油断のならないスピードで追いかけてきます。
204の中でうまくかわして玄関から逃げることも出来るらしいけど、個人的にはベランダに出て203から外に出るルートをおすすめします。
最初に自室を眺めたときに隅々まで部屋をチェックしておき、「えーこの物件ベランダ広いじゃーん」と思っていたら、まさかゲームプレイで有用に活かす機会が来るとは。
当たり前ですが、203より先に逃げてしまうと掃き出し窓が開かないので追い詰められます。
きちんと203のベランダから中に入りましょう。
いや203のベランダが鍵かかってないのもおかしいな?

一階に逃げるとパトカーが来ており、そこまで逃げ切ることが出来ればチェイスはクリアーです。
見た目に似合わぬ俊足でおまわりさんが隣人をとっちめてくれます。

たかしにご飯を奢ってもらいながら、後日談をちょっとやってゲームは終了です。
ラストの一瞬、マジで怖くて喉から空気が抜ける音として「ヒッ」て悲鳴が出た。
ということで攻略フローチャートでした。
困りそうなのはループ廊下の突破と最後のチェイスのルート取り、仕様で言うと顔にカーソル当てないと話しかけられない点くらいでしょうか。
それ以外は、インタラクトできるものには明示的なアイコンが出ますし、ストーリーも割と素直なので変に困ることなく怖がる事ができるでしょう。
考察
かくして、タイトルに心霊とありつつも実際に起こっていたのは人間による連続殺人事件でした。
しかも最悪なことに管理人が共犯者であり、更に超最悪なことにまだ逃げ回っているという。
隣人が主人公にたびたび圧をかけていたのは、202と204の間にあった203に入居されたせいで、安心して(?)人を解体できなくなったからでしょうか。
その場合、管理人と物件のオーナーは別の人物でしょうね。
204から聞こえてくる物音は人を解体していた音なのかな…と思いつつ、しかし人を殺す過程で壁をドンドンしないよなあとも思う。
そう、ただの殺人事件として解釈すると、今度はチャプター2で起きた現象や204の音が何だったのかの説明がないんですよね。
謎に古いあの日本家屋とそこで殺されていた?であろう袋の中身。
ループ廊下の途中に現れた謎の女性。
全部がサッパリ回答のないまま「殺人事件」とだけ語られて物語は終わってしまいます。
202の隣人に殺されていた人の霊が、自分を見つけてくれと叫んでいたのでしょうか。
と思ったけどチェイスで襲いかかってくるしな…。
大家に電話をかけるとバッド、警察に通報するとグッドだけど、たかしに電話すると探偵力を活かして事件の真相を追うトゥルールートに行ってほしかったな。
たかしが本当にただの良い友人枠でしかなかったのもちょっと勿体ないし。
あの古風な日本家屋は本当になんだったんだろう。
アパート周辺の町並みがちょっとレトロだったし、あのアパートに前に建っていた家だったりするかなあ。
夜勤事件もそうだったけど、今の物件が建つ前にそこにあったドラマが住民を襲っている系ホラー。これなら探偵助手であるたかしの出番もありそう。
ちなみに、あの心霊現象っぽさはいったん全部忘れて、あの怪異女性が実は女装した管理人だった、というのが個人的な推し説です。
あの怪異女性がやつれた顔をしているのと、管理人も似たようなフェイスラインをしていたこと、更に怪異は顔面血まみれで容貌がよくわからなかったこと。
主人公が204をドアバンして部屋の鍵を取ったら物件の前に現れて、主人公を監視するように眺めていたことなど。
あの怪異が主人公を襲う理由がわからないのが一番気になっていまして、これが「主人公が人の解体に使っていた204に興味を持ってしまったから」ならすんなり受け入れられるんですよね。
最後、捕まった隣人が「まるで”言えない”みたいに」黙り込んでいるのは、隣人より上の黒幕として管理人が設定されているということだとは思うんだけど。
ゲーム体験としては充分すぎるくらい怖かったし楽しんだけど、ストーリー回収という意味ではもうちょっと頑張ってほしかった、というのが正直なところ。
やっぱ怪異現象ってのは解決までたどり着いて欲しいよなあ。
なんだったらたかし主役にして、あの事件の背景を調べる続編が出てくれたら嬉しいんだけど、どうでしょうか!?