今から読み始める『本好きの下剋上』
先日、アニメ版『本好きの下剋上』第4期(第3部)のアニメーションPVが公開されました。
製作が亜細亜堂からWIT STUDIOに変わり、画面作りもだいぶリッチになっての新章が4月4日(土)から放送スタートだそうです。
ただ、『本好き』ってメディアミックス展開が多すぎて、どこから入ればいいのか、メディアごとに何が違うのかがわかりづらいと思うんですよね。
ということで、ふんわり知っている人が今度始まるアニメをきっかけに入っていいのか、入るならどこからがいいのかなどを、(あくまで一ファンの視点で)まとめておきましょう。
原作の構造
何と言ってもまず原作そのものについて、構造を把握しておかないとメディア展開も理解できないでしょう。
ということで原作の構造から。
『本好きの下剋上』とは
原作『本好きの下剋上』は「小説家になろう(リンク先は原作の目次ページ)」にて連載された、ファンタジー小説作品。
異常なほど「本」という媒体に愛を注ぐ「本須 麗乃」が主人公。
そんな彼女が現代日本で死亡してしまったあと、本がないどころか識字率も低い異世界の貧民街に、病弱な少女「マイン」として転生してしまい、本を読みたいがあまり周囲の人を巻き込んで本を生み出すところから始める成り上がりストーリー。
作品全体を通して「家族愛」や「古い知識の失伝と復古」、やがては「平民社会と貴族社会のコントラスト」だったり、ついには「世界を救う」ところまで話が広がっていく、壮大なファンタジー作品です。
「愛する家族と離れ離れになりながらも、お互いを思い続ける」とか、「人々の記憶から消えてしまった世界構造の仕組みにたどり着く」みたいなのが好きな人におすすめです。
ちなみに世界観がものすごく深く作り込まれているため、設定マニアにもおすすめです。
そんな『本好き』ですが、書籍版が刊行されアニメも展開する今も、「小説家になろう」で全話読むことが出来ます。
その分量、なんと全677話。
そう…『本好き』はめちゃくちゃ長いのだ…。
しかも内容的にダレることなど一切なく、常に話が進んで状況が動いている。
「なろう」は1話あたりの文字数は作者次第なんだけど、本好きは1話あたり7000~8000文字あって、それが677話。
しかも密度が高い上に独自の世界観が確立されているため、「まとめて一気に読んだほうが理解は進むけど、一気に読むには文章量が多すぎる」というなかなか手ごわい作品になっています。
私がドハマリしたときは、プライベートの空き時間からトイレ時間まで使って読み耽り、全部で1ヶ月半くらいかかったと思う。
WEB連載なので、電車での移動時間とか寝る前の隙間時間とかにも読むことはできるのはありがたいところですね。
章立て
そんな超長い原作だけに、ある程度のところで章が区切られており、そこをまたいで時間が経過したり、状況が大きく動いたりします。
ひとまず以下が全容。
| 第一部「兵士の娘」 | 平民の少女マインが本作りを始める。 |
| 第二部「神殿の巫女見習い」 | マインが神殿に居場所を移し、本作りを始める。 |
| 第三部「領主の養女」 | 名前をローゼマインと改め、貴族社会で本作りを始める。 |
| 第四部「貴族院の自称図書委員」 | ローゼマインが貴族の学校へ通うようになり、本作りを始める。 |
| 第五部「女神の化身」 | ローゼマインが成長し、神々との接したり王族とやりあいながら本作りを始める。 |
| 続編「ハンネローレの貴族院五年生」 | ローゼマインの友人であるハンネローレ視点の物語。 第五部の後、つまり原作完結後のアフターストーリー。 |
| 外伝「貴族院外伝 一年生」 | 第四部冒頭くらいの時系列。ローゼマイン以外の人物視点で語られる、貴族院にまつわる話。 |
| 短編「短編集」 | 「なろう」でも読める、マイン以外の登場人物視点での物語。 第一部の時系列の話はなかったはずだけど、第二部~ハン五までの色々なサイドストーリーが読める。 |
多すぎる…。
「ハンネローレの貴族院五年生」のみ現在まだ連載中ですが、それ以外はすべて書籍版まで刊行が完了しています。
原作を追う
前置きが長くなりましたが、やっと原作含めたメディア展開の話ができますね。
まずは原作から。
「小説家になろう」版
前述のとおり「小説家になろう」版は、現在も全て無料で物語の開始から終わりまでを読むことができます。
支払うコストと言ったら時間くらいのもの。
自分の趣味に合う作品かどうか確かめたかったら、まずWEB版を読んでみましょう。
「書籍」版
TOブックスから紙の本、電子書籍版が刊行されており、本編だけでなんと全33巻。
大量の加筆がされており、なろう版に大幅アップデートが加わった完全版という感じになっています。
どの巻も本編の前・後に、マイン以外の人物視点でのプロローグとエピローグが掲載されており、その巻で登場する人物や起きる出来事の前フリが行われたり、子供であるマイン視点ではわからない社会の構造が伺えるようになっていたりします。
本作は常に主人公であるマインの視点で世界を覗き見ていくような作品になっていますが、逆に言うと「マインの見えていないところ」にも色々な人物の思惑やコミュニケーションがあり、加筆を通して世界観やストーリーの流れを大きく補強しています。

また、原作には無かった挿絵も当然追加されており、キャラクターや世界観についてとてもイメージしやすくなっています。
イラストレーターは椎名優さん。
「エンジェル・ハウリング」とか「猫の地球儀」とかでも挿絵を担当されているようだったけど、どっちも見たことあるのに同一人物だと繋がらなかった。
絵が抜群に上手い。
物量が多すぎる上に、TOブックスは単行本がお高いため、正面から挑むと物量・価格ともにかなり大きなハードルになるかも。
抵抗がないなら電子書籍版のセールを待ちましょう。TOブックスはよく電子書籍版のセールを行うので。
ちなみに全巻購入すると1~5部が33巻、貴族院外伝が1巻、短編集が3巻、ハンネローレが現時点で2巻で、合計39巻!
ハンネローレの3巻が4月に出るので、それで累計40巻ですね。
コミカライズで追う
原作が長大すぎるため、部ごとに分けてコミカライズが進行しています。
| 第一部「兵士の娘」(完結) | 作画:鈴華 |
| 第二部「神殿の巫女見習い」(完結) | 作画:鈴華 |
| 第三部「領主の養女」 | 作画:波野涼 |
| 第四部「貴族院の自称図書委員」 | 作画:勝木光 |
| 第五部「女神の化身」 | 作画:鈴華 |
| 続編「ハンネローレの貴族院五年生」 | 作画:草壁レイ |
一部・二部のみ完結しており、そこで作画を担当した鈴華さんが五部の連載を開始。
それまでの間に三部・四部も独立してコミカライズが開始しており、それぞれ連載されています。
そして新しく五部の連載が始まるちょっと前に、五部のアフターストーリーである「ハンネローレの貴族院五年生」もコミカライズが始まっています。
当たり前かもしれないんだけど、二部から読み始めると一部のネタバレがあるし、三部から読み始めると二部のネタバレが含まれています。
漫画版に限って言うなら、始まった順に読んでも意味がわからないと思います。
個人的な推しは四部
そう言いつつ、私は四部のコミカライズから『本好き』に入ったんだけども。
前にどこかで書いたけど、私は四部作者の勝木光さんが連載してた『ベイビーステップ』の大ファンなので、「コミカライズの作者推し」という狭い路地裏から『本好き』ファンになりました。
天下の少年マガジンで単行本47巻出しただけあって、作画が凄い緻密。

四部では位の高い貴族との交流が増えるのですが、それゆえにそれぞれに大勢ついている側近の数と、領地ごとの特色が現れた背景美術がきちんと描かれています。
例えば上の画像だと、真ん中のローゼマインを左右から挟むように護衛騎士のレオノーレとユーディット、背後に筆頭側仕えのリヒャルダ、左の方に会合の記録をとるフィリーネがいますね。
それ以外の人物は、会合に招いた側であるエグランティーヌの側近たち。領地の規模が違うからか招く側の都合か、側近の数が多いですね。
推し語りが長くなってしまった…。
四部はとある事情で眠っていたローゼマインが目を覚まし、貴族の集まる学校で新生活を始めるぜ!という章。
大量の新キャラがローゼマインの周りを固め、大量の新キャラと貴族院で出会い、大量の新キャラと交流を得るのが本題なので、三部までを読んでいなくてもギリギリ問題ないと思います。
(もちろん既存キャラとの関係性や事情はわからないまま読むことになるけど)
そういう意味じゃ、いつでも無料で原作を読めるのは「このキャラとはどんな関係性なんだ?」とか「このエピソードちゃんと読んでみたいぞ」となったときにありがたいですね。
私がまさにそういう経緯で原作にハマったので。
アニメで追う
アニメはすでに一クールが三期まで放送されており、第二部まで完結しています。
| 第一期 | 第一部「兵士の娘」 |
|---|---|
| 第二期 | 第二部「神殿の巫女見習い」 |
| 第三期 | |
| 第四期 | 第三部「領主の養女」 |
二部がクールをまたいだため、原作の「◯部」とアニメの「◯期」がずれてしまった。

一部・二部は舞台が下町の貧民街~貴族街まで入らない神殿なので、この世界名作劇場的な雰囲気のある作画がとてもマッチしています。
すごくNHKっぽい。
アニメの強みはなんと言っても、原作をコンパクトにまとめて見られるところ。
原作は膨大な設定・世界観が魅力ですが、さすがにカロリーが高すぎるところはあるので、それを程よくまとめてあるアニメ版は、『本好き』の入口として最適でしょう。
第三部「領主の養女」
そして春から始まるのが、第三部であるアニメ第四期。
貴族が暮らす貴族街・王城が舞台になることもあって、作画がとても華やかになりましたね。
マインも貴族となり、常に身の回りを整えられるおかげか髪のツヤも格段に良くなっています。
服もきらびやかで、またシーンに応じて異なる衣装が選ばれたりと「貴族らしさ」がPVからも現れています。

PVにもエルヴィーラやコルネリウス、フロレンツィアが顔を見せていますね。
個人的には神殿の側仕えたちが一番好きなので、フランたちが見たいところ。
三部は歴代でもトップクラスに「生活環境が変わる」章なので、新キャラ・新しい場所を軸に回すようになる分、ここから見始めるのは結構アリです。
PV見る限り、2部までのエピソードもちらほら拾ってくれるみたいですしね。
更にふぁんぶっくを追う
ストーリーを追う手段は、以上のとおり「なろう版」「書籍版」「コミカライズ」「アニメ」ですが、ここにもう一つ「世界観」を知るための超強力な副読本「ふぁんぶっく」があります。

キャラクターの設定画や、コミカライズ作家の描き下ろし短編などが載っているのですが、個人的にはQ&Aが最大の見所。
これは原作者による一問一答で、読者から寄せられた色々な疑問点について、本編に出ない裏話も含め回答してくれるというもの。
「あのときあの人物はどんな意図があってこのセリフを言ったのですか?」みたいな解釈を深める質問もあれば、「あのときあのキャラが夜遅くまで出かけていましたが、下町には夜道を照らす灯りになるものはありますか?」なんていう凄い細かい設定を問うものまで。
ふぁんぶっくだけで10巻も出ているので、そこに込められた設定量はものすごい分量になっています。
ヘビーなファン同士でも認識違いが生じるくらい。
しかしこれを読んでおくと、作品世界へののめり込み方が格段に変わってくるので、ドハマリした人にはこれも読んでおくことをおすすめします。
まとめ
できることなら原作をイチから読んだほうが良いけど、これから始まる三部アニメから入ってもいいし、わからないところが出てきたらアニメや漫画で捕捉しよう!
確かにめちゃくちゃ長い原作ではあるんだけど、その分メディア展開も豊富に行っており、特に展開が完結した一部・二部はどこからでも入れるので、三部から入って面白ければ遡る、という見方もいいでしょう。
実は何年か前、『本好き』にハマり始めた頃に四部コミカライズのレビューを1話ずつやろうと思ってたんだけど、結局1話だけやってそれっきりなんですよね。
アニメで『本好き』熱が高まったらまたやろうかな。
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