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Homesick

ちょっと時間があいてしまいましたが、Steamのゲームレビューです。
すごく幻想的な廃墟を探索しながら謎を追い求めるタイプの、ウォーキングシミュレーターです。

値段1,480円
発売日2015年5月29日

発売日は10年以上前とかなり古く見えるのですが、グラフィックの品質や光の演出があまりにも美しく、2025年の今プレイしてもまったく色褪せません。

その美しくもさみしい風景を楽しみながら探索を進めましょう。

誰も、何ももの言わぬ世界

ゲームを開始すると、プレイヤーはすでに人がいなくなって何十年も経っていそうな廃墟で目を覚まします。

屋内にはちらほらと植物に侵略されており、残っている家具もあらかた崩れてしまっている。
水周りはカビだらけで黒ずんでおり、かつ水など当然流れません。
天井にはファンや電灯も付いてはいるけど、電源は入らない。

また、いくつか残っている文書が読めるものの、そこに書かれているのは丸と線、点で構成された謎の記号のみ。

そしてこのゲームの恐ろしいところは、ここから何の説明も行われないこと
プレイヤーはこの空間に放り出され、何の誘導もないまま歩き、探索するしかないのですが、その過程で「あぁ、これをこうしたらいいのか」が無いのです。

「これを解けよ」と差し出されるようなパズルや、ここに注目せよと誇示してくるUIなどがさっぱり存在しないのです。

実際のところ、Steamのストアページにはおおまかな「何をすればいいか」が書かれているので、本当に何もわからない状態から始めたい人でない限りは、きちんと見ておくといいでしょう。
私はマジでさっぱりわからず、30分あてどなく歩き回ってからゲーム情報を調べ、ようやく何をしたら良いのか理解しました。

そこに触れないままだと記事にならないので、ここから先は何をしたら良いかの説明もふまえての内容になります。

昼の世界と夜の世界

このゲームでは条件を満たすとベッドで眠ることが出来るようになり、夜を迎えることができます。

夜の世界では外はまっくら、建物の中も昼とは比べ物にならないほど暗くなっています。

更に地面から黒い影が立ち上ってきており、これに囲まれると意識が喪失し、昼の世界に戻ってしまう。
一方、夜の世界では主人公は手斧を持っており、昼の世界では開けられないドアを無理やりこじ開けることが可能になります。

つまり、ベッドを通して昼の世界と夜の世界を行き来し、その時々でしか出来ない解決方法を通すことで、探索できるエリアを解放していくのが、このゲームの基本構造ということになります。

眠る条件

眠ることが出来る場所(ベッド、ソファなど)のそばには必ず、枯れた花が生えています。

そこに水をやって花を咲かせ、そばのベッドで眠るとようやく夜の世界へ移動することが可能になります。

よってプレイヤーの探索手順としてはベッドを見つける→枯れた花を見つける→花を咲かせるための水を見つけて寝る→夜の世界に突入→夜の世界で昼には出来ないことを達成して昼に戻る…の繰り返し。

もちろんそれ以外にもパズル要素があり、塞がる道を開くために様々なギミックが用意されています。
とはいえパズルとしての難易度はそこまで高くなく、専門的な知識も不要。
ただ日本語訳をされていないので、英語は読める必要があります。
といっても中学英語くらいでなんとかなると思いますが。

廃墟空間の美

数時間で終わるゲームなのでそこまでロケーションは多くないのですが、歩き回れるそのどこもが、素晴らしく朽ちた廃墟の姿を見せてくれます。

広大な体育館ホール。
壁一面が窓になっているので、明るく日差しが入り込んでいてむしろ清々しさすら感じる。

マップ各所には朽ちた家具類もあり、大抵のものは開けることが出来る。
サビサビのロッカーは、鍵を開けられれば中を見ることもできます。

夜の世界。どこへ進めばいいかUIでは明示はされないが、光の当たっている箇所を目指して進めばゲームも進行できる、という気の利いた演出が行われている。

ストーリー

前述のとおり、ゲーム中に「説明」というものがほとんど無いため、内容については察しが必要になる。

が、ゲーム中に読める暗号みたいなテキストの解読(これはゲーム中に実際に行う工程になる)と、終盤のあるイベントで、この廃墟が何なのかや主人公の正体についてはすべて開示される。
結局これなんだったの、が無いのは個人的にかなり評価が高い。

暗号解読についてはノートやスクショを使って首っ引きで解くことになると思うので、ゲーム画面内で完結したいよ~って人には不満があるかも。

総評

というわけで、美しくも寂しい廃墟を、謎を解きながら探索するゲーム『Homesick』でした。

評価点

プレイ時間は、ゲームの概要すらわからない状態から始めて3.4時間。
価格の割に短めではあるけど、ゲーム体験…特に私が期待した「美しい廃墟風景を楽しむ」という一点においては、価格分以上の満足度でした。

批判点

ただやっぱりゲームとしてかなり短く、情報量も少ないので、終わったあと語れることが少ないというのはある。
このゲームは腹4分目くらいのストーリーと高品質な背景で構築されたゲームなのだ。

あとシンプル良くなかった点としてあったのが、主人公の足が遅いこと。
静謐な廃墟を高速で移動するとその良さが薄れてしまうのは理解するけど、広いマップを探索するゲームにあっては、ちょっとうれしくない足の遅さでした。

また、構造を察しないとゲームが進められないポイントがいくつかあり、人によってはたった一つのギミックで何十分も詰まってしまうかもしれない。
これはどのゲームでも大抵起こり得ることだけどね。

設定

前述したけど、移動速度はもうちょい早く出来てほしかったな。
あとはサウンド周りの設定がなかったのはもったいないところ。

Mouse smooth(カメラを動かして止めたとき、少し慣性にのって動くやつ)は酔いやすいので、切ったほうがいいと思います。


個人的な満足度としてはかなり高いゲームでした。

値段の割にすぐ終わってしまうところはあるんだけど、風景・ライティングのクオリティの高さでトントンかなという感じ。
逆に、謎解きゲームとして考えると難易度はかなり低く、ゲーム構造に惑わされて悩む時間の方が長そう。

この記事を投稿するタイミングではなんと80%オフで296円になっているので、ぜひともプレイしてみてください。

攻略チャート

ここからは100%ネタバレの攻略チャート。
私もいくつかの箇所でしばらく詰まってしまったので、その解放も兼ねたチャートを以下にまとめておきます。

第一エリア

エリア名はゲーム中に出てこないので、便宜上です。

目を覚ますと、主人公は見知らぬ廃墟にいました。
窓の外れた開口部から一枚の絵が風に飛ばされて入ってくるので、それを拾いましょう。

もともと寝ていたベッドの上をチェックすると、そこで横になることができます。
これがこのゲームのセーブ機能です。
条件を満たした状態で寝ると、そのまま夜の世界に移動します。

部屋のドアには鍵がかかっていますが、ノブの上にある鍵を回せば開けることが出来ます。
ドアの外面には、読めない記号で書かれた文章が貼られています。

廊下を探索すると、開くドアと開かないドアがあり、ドアの開く部屋では中を探索することができます。
ドアの開く一番近くの部屋では、バスタブに水が溜まっているのが見つけられます。

廊下を探索するとき、壁にある電灯のスイッチを入れておきましょう。
下を向いているとオフ状態なので、スイッチが上に向いていればOK。

廊下の突き当りに行くと、鍵が刺さったままのドアがあります。
鍵を2,3回調べると引っこ抜くことができ、アイテムとして入手できます。

鍵を手に入れたら、手前の分かれ道にあったドアに鍵を使います。
中は物置になっており、床に落ちているバケツが回収できます。

入手できるアイテムとそうでないアイテムで画面上の違いがないので、見つけるのがちょっと大変。
画面中心にあるポインターが点から丸になるのは、何かしらアクティベーションがある要素です。

その先には窓から日差しが差し込む廊下があるのですが、何故か主人公はそこへ近づくことができません。
また、近づくほどに画面が眩しくなり、目の前を直視することすら出来なくなってしまいます。

他にも、最初にいた部屋などでも光の差し込む場所には近付けないようになっています。
なるべく日陰を歩くようにしましょう。

バケツを入手したら、先程あった水の溜まったバスタブでバケツを使い、水を汲みます。

水の入ったバケツを枯れた花の上で使うと、枯れていた花が咲き始めます。

花が咲いた状態でベッドで眠ると、夜の世界に移動します。

夜の世界は真っ暗ですが、日中日が当たっている場所は明るくなっています。
この時間帯では、昼日中とは逆転しており、完全に真っ暗になっている場所は歩けなくなります。

なお、何故かドアに貼られていた張り紙が読めるようになっています。
今の段階では見ても何の意味もない情報ですが、スクショを撮っておくと後の助けになるでしょう。

確認したら廊下に出ましょう。
このとき廊下の電灯のスイッチを入れていないと、真っ暗で廊下に出られなくなります。

廊下に出たら、昼間は歩けなかった窓の並ぶ廊下まで行くと、夜はそこが歩けるようになっています。

進んだ先はソファーなどが並ぶ共有スペース。
入って右手側にある閉じたドアを手斧で何度も叩くと、そこのドアが壊れて目が覚めます。
鍵が刺さったままになっていて開かなかったドアを、反対側から叩き壊した形ですね。

昼の世界に戻ると、昼でもそこのドアが倒れて通れるようになっています。

こうして昼の世界を探索し、行き詰まった場所があればそこへのルートを開拓し、夜の世界で扉を開いて戻る、というのがこのゲームの基本パターンとなります。

第二エリア

開けたホールのような空間。正面奥と右手側に廊下があり、奥で繋がっている。
ホール真ん中に枯れた花とソファがあり、セーブするならそこで。

第二エリアに入ると、第一エリアのベッドではセーブできなくなります。

まずは一通り歩いてみましょう。
廊下には電灯のスイッチがあるので、オン(上向き)にしておきます。
このエリアでは廊下に出る手前、進んだ先に2,3箇所あったかな。

ちょっと気づきづらいですが、天井がたわんでおり、そこから雨漏りしている場所があります。
このエリアで使う水はここで補充できそうだけど、1滴ずつ垂れるものをバケツに貯めていられないですね。

このエリアで目につくのは、なんといってもこのロッカー。
一番上のみナンバーロックがかかっており、下の3段は鍵なしで開けられます。

鍵のかかっていない引き出しには古い写真が入っています。
この時点では何の意味があるのかわからない。

15番の引き出しを開けると、読めないテキストが出てきます。

ただ、なんとなく「0 – 0 – # – #」というところから、なんとなくこのロッカーの鍵の番号を示していることが伺えます。

というわけで、左2桁は「0」、右2桁は「#」ということで不明ですが、このホールにある2桁の数字といえば、ロッカーの番号そのもの。
ということで「0 – 0 – 1 – 1」と入れると鍵が開きます。
他のロッカーも、右2桁にロッカー番号を当てはめて開けていきましょう。

そうして開けていくと、一番上を開けたとき重心が崩れて前倒しになるものがあります。
これでドアを塞いでいたロッカーがどいてくれるので、中に入れるようになります。

中にはいい感じの棒がありますので、回収しましょう。

これを持って、雨だれしていたところにバケツをセットしてから棒で天井をつつくと、水が一気にぼたぼたと垂れてきてバケツに回収することができます。
これで回収した水を花にかけてやると、夜の世界へ移動できるようになります。

夜はロッカーが並んでいた箇所は真っ暗で入れませんが、電気をつけておけば陽の差していた廊下側からぐるっと回って行くことができるようになります。

進む先は、ロッカーが並んでいた廊下から分岐していた先の大きな扉。
ここを手斧でこじあけると昼の世界に戻ることができます。

第三エリア

広大な体育館が舞台。
床に落ちているマットレスがベッド代わりだが、このエリアでは枯れた花が見当たらない。

右手側には3つの扉があり、一つはバルブがある扉、もう一つは奥へ通じる扉、三枚目の扉は開けられない。

このエリアではやれることがあんまりないので、迷うことはあまりないはず。
各所のバルブを開いていく(バルブは右・左に回すことが出来、左に回した状態が正解)と…

奥の窓際で漏水が起きて床が水浸しになり、そこに花が咲く。
どうやらこれは温水ヒーターのようで、バルブを開けるとこのチューブの中に温水が流れていく仕組みらしい。

温水ヒーターにもバルブがついているのを見落としがちなので、気をつけよう。

バルブを開ければいいんだろうなというのはわかるけど、どっちに回したら正解なのかわかんないんだよなこのステージ。
ヒントもなかったと思うので、右全部開け、左全部開けを試すしかない。

花が咲いたら夜の世界へ行こう。
右手側二番目のドアを進めば、次のエリアへのドアがあるのでこじあけよう。

第四エリア

ピアノがあるエレベーターホールと、左手側には図書室がある。
エレベーターホールは右手側にドアがあり、そこを抜けていくと再び居室がならぶエリア。

廊下の突き当りにはゲーム開始地点であるエリアへ通じるドアもある。
これで「ロ」の字型のこの廃墟空間をぐるっと一周できるようになったことになる。

なお図書室は現時点で読めない本があるだけなので、行っても意味がない。

ピアノは一部の鍵盤がまだ生きており、落ちている譜面を拾うと譜面台に置ける。
楽譜の通りに演奏するとピアノから一枚の絵が落ちてくるのだが、これがおそらく何の意味もないので、この意味深なピアノも実は気にしなくてよい。

ホールを出ると、ゲームでおなじみの配電盤がある。
よくわからない記号シールが貼られた5つのスイッチをどうにかすれば、電力が供給されそうな雰囲気がある。

配電盤の中にはメモが残されているものの、これまで見てきた謎の記号で表記されており、内容が読み取れない。

仕方なく先を探索しましょう。
居室エリアでは、これまでマップのあちこちで見てきた謎記号が書かれたブロックが落ちている。

これを拾い、キーボードから文字入力すると、この記号をアルファベットに置換することができる。

ここでようやく、これらの未知の記号がアルファベットに置換できる換字型の暗号であることがわかるのだ。
これの気が利いているところは、アルファベットを入力すると、これまで見てきた本や張り紙などにアルファベットが反映されるところ。

入力状態でバックスペースキーを押すと、元の記号状態に戻すことができます。

周りにある情報からアルファベットに置換していくと徐々に本などが読めるようになり、そこから「この記号はきっとアルファベットの「D」だろう」みたいなことを類推していき、文章を読み取っていくパズルがはじまるわけです。

各記号の答えは後述します。

同じ部屋には眠れるベッドがあり、冒頭で拾った絵のもう片方が見つかります。

更に探索を進めると、鍵のかかったドアが二つ、再び数字を入れるタイプのロッカーが一つ、居室が一つ、初期地点に通じるドアが見つかります。

今度のロッカーは0 – 0 – # – #では空きません。
ロッカーに貼られた紙になにか書いてあるようですが、このままでは読めません。
いよいよ暗号を解読していくときです。

一番わかりやすいヒントはこれですね。
これによって例えば「―」は「L」であるとか、「・」は「O」であるとか、「:」は「T」であるとわかるのです。

以下にブロック基準で回答を置いていきます。

机の上にHOMEとS、床にDとTが落ちています。

ベッド周辺にはUとW、

子供部屋には、ベッドのフレームにABCが、棚の家にLINKが、その下にJとVが、

壁際にはYがおちています。

なお棚をあけると子供用の譜面が出てきて、ピアノで拾った譜面をよりわかりやすくしたものが出てきます。
一応ちゃんと弾いておきたい人は貰っておきましょう。

ある程度埋めてロッカーに戻ると、鍵を開ける番号が判明します。
three – three – one – oneということで3 – 3 – 1 – 1が答え。
引き出しを開けると、鍵がかかっていて開かなかったドアの鍵が手に入入ります。

開けた部屋のうち一つに、水漏れで水の溜まったバスタブがあります。
ありがたく回収させてもらいましょう。
もう片方の部屋は、本や書類などがあります。記号の突き合わせに使いましょう。

これで夜の世界に行くことは出来ますが、現時点で行っても進む先がありません。

ここまで来る頃にはメモも読めるようになっているはずなので、指示に従って電源を入れましょう。
一度すべてOFF(スイッチを右に切った状態)にしておく必要があります。

答えを言ってしまうと、上から1~5としたとき、3(ON)→1(ON)→2(ON)→3(OFF)→5(ON)で電源が入ります。
ただこの昼の世界では電源が入っても、何の演出もありません。電気なんて通っているわけもないので、仕方ないですが。

エレベーターへの給電が完了したら、エレベーターの下ボタンを押して、居室に戻って寝ましょう。

居室から廊下をかけぬけ、エレベーターホールに向かうとエレベーターが到着しています。
エレベーター内に駆け込めば、このエリアはクリアです。

第五エリア

この廃墟の玄関ホール。降りてすぐには不思議なモニュメントのついたオブジェがあり、その周囲を白磁の胸像が囲んでいる。
オブジェの周りには枯れた花があり、水もオブジェの中に溜まっているが、底が深い割に水深が浅く、バケツでは届かないようだ。

先に進むと、左手側には開かないドア。
正面扉は片方は閉まっており、もう片方は外れているが主人公の腕力では開けられない。

玄関扉の隣には避難訓練をおこなう旨の通知が、右手側のテーブル上には新聞記事が置かれている。
第四エリアで換字暗号を解読していれば、おおよそ内容が読めるようになっているはず。

で、このエリアはなんとこれで終わりである。
水も花も出揃っているのに、それ以上の何かがなかなか見つからない。

さて、ここでどうすればいいかと言うと、柱の上に乗っている石膏像を拾い上げて

オブジェの中に沈めます。

これで水かさを無理やり増やすことで、バケツで届く高さに水面が来るようになります。
これもうなんでもいいじゃん!
バケツに結ぶ紐でも探すのかと思って、上のフロアまで戻って探索してたよ!

あるいは柱と石膏像に正しい組合せがあって、それを揃えるとなんかギミックが動作するのかと思ったよ!
ちょっとバイオハザード脳すぎるな。

夜の世界に入ると、まずは玄関ドアに光が当たっているのが見えます。
これをこじ開けましょう。

外に出ると影も追ってこないのですが、そこにいるだけでは何も起きない。
てっきりこれで脱出完了!って話なのかと思ってたけど、そういえば別に主人公はここを出ていきたいと言っていたわけでもないな…。

もう一度屋内に戻ると、ドアをこじ開けたことでさっき開けられなかったドアに光が当たっていることに気付きます。
これをこじ開けたら中に入りましょう。

中は共用トイレになっており、洗面台には鏡が貼られています。
ここで初めて、主人公の姿を見ることが出来るというゲーム構造。

終わったら昼の世界に戻ります。
どうとでも出来る状況なのですが、どこに行っても何もありません。最寄りのソファで眠りにつくと、イベントが進行。

これでエンディングです。

考察

まずこの廃墟となった建物は、とある企業が従業員とその家族を住まわせる用に立てた集合住宅。
屋外での大気汚染を避けられるように、屋内にジムスペース、図書館、共有ホールなどが用意されているという。

なおどのような企業かというと、エネルギー関連の事業に携わっているようで、石油および石炭の採掘を行っているらしい。
しかし業界では石油・石炭などの地下資源に補助金を回すより、再生可能エネルギーに切り替えたほうがいいのではないか、という意見が出てきており、会社の先行きは少し暗いようだ。

ロッカーに治まっていた写真は、この会社が行ってきた事業の内容を示唆している。

他、大気汚染の具体的な描写についても写真で行われている。
どちらも謎解きには関係なかったものの、物語を読み解く上では意外と重要なヒント。

そんな中、従業員に健康被害が発生したことが86号新聞に書かれている。

記事には症状として「sensitivity to sunlight, muscle weakness, memory loss, melting and bubbing of skin, and nexrosis」とあり、和訳すれば太陽光過敏、筋力低下、記憶喪失、皮膚の溶解・発砲・壊死。

洗面所で見た主人公の姿を見れば、まさにこの症状に罹患していることがわかります。
明るい場所を歩けない、画面がまぶしくて見れなくなるほど白むのは、太陽光過敏の症状が出ているという示唆だったわけですね。

他、筋力低下によりドアをこじあけることができない、記憶喪失によりなぜ自分が廃墟にいるかわからない、鏡で見た醜い姿はその具体的な証拠、ということか。

一方、夜の世界では手斧を振ってドアを壊すことが出来たことを考えると、夜間(太陽光がない時間)には症状が軽快するのでしょうか。
鏡の前で目を覚ましたときの状況を考えると、夜の世界の出来事も実際に主人公が行っていたことのようだし。

なお、記事冒頭には「negative health inpacts that would be caused by a failure to escape in an actual evacuation」とあり、おおよそ和訳すると「避難で逃げ遅れた場合に生じる健康被害」とある。
この避難が何を指すのかは記事では明示されていないけど、後に発行されたであろう137号に示唆がある。

それがこちら。

北東の発電所で起きた爆発事故について、当初の目算より重たい被害が発生したことが判明した、という内容。

「The explosion, which was thought to have killed 19 workers and injured dozens more」ということで、爆発事故により19人が亡くなり、更にそれ以上の怪我人が発生したとある。

その上で、「New reports indicate there were additional workers killed in the blast, that are being uncovered in the on-going re-construction of the towers.」…発電所の再建工事でより多くの被害者が出ていたことが判明した、とある。

おそらくこの発電所というのが、原子力発電所だったのでしょう。
その現場で働いていた主人公は事故死はしなかったものの被爆してしまい、体が弱ってしまった。
一方、この会社が倒産したのか建物が被爆の範囲内だったのかはわからないが、この集合住宅にも住めなくなってしまい、全員が出ていってしまったという。

つまり原発事故における健康被害が起きて、自分のこともわからなくなってしまった男が廃墟を探索して、自分を取り戻すまでの話だったのではないか、という考察です。


そことどう繋がるのかわからないけど、従業員がこの巨大な社宅に移る前に、水害も発生したらしい。

第二エリアで回収できる写真に、建物が屋根まで水に浸かってしまっている光景が残っているんですよね。

第四エリアで行く子ども部屋にも、家が水没している絵やハリケーンで人が吹き飛ばされる絵が描かれています。

なので時系列で見ると水害発生→社宅に従業員が移住→補助金が減らされる恐れ→利益を上げようとして無理な開発からの原発事故→主人公被爆→社宅から全員がいなくなる…なのかな?

ちょっと自信がないところもあるので、英語が堪能な人はよければ自分でもプレイしてみて貰えればと思います。


更にそれとは別に、各住戸に残された手記や手紙などを見ると、ここの住人たちの暮らしぶりがわかる。

toshとsabine

主人公が最初に居た部屋の住人と思われる。
sabineはこの集合住宅でベビーシッターをしているという。toshが子供の頃遊んでいた文字の描かれたブロックで遊んでいる、とも。

換字暗号に使ったあのブロックですね。
つまりあそこにその子どもと、sabineがいたのでしょう。

toshとsabineはともに農村で育ったきょうだいだったようですが、干ばつによって農地が干上がってしまい、仕事を求めて村を出た先で、ここでの仕事にたどり着いたらしい。
toshは村を出たsabineについてさみしく思っており、今幸せに暮らせているならそれはいいが、いつか話を聞かせてくれと手紙に残しています。

最初は主人公がtoshなのかと思ったけど、toshはこの集合住宅にはいないように見えるので、別人かも。

またsabineによると、ここの住人たちはソーラーパネルと風力発電で電力をまかなっており、野菜もハーブも敷地内で育てているという。
これは前述の石油・石炭採掘や原子力発電所の様子と明らかに逆を行く文言です。

あくまで住人に雇われているだけのsabineはここが何の会社の社宅か理解していなかったのか、あるいはこの集合住宅は実は社宅ではなく、エコな暮らしを標榜した人たちの集まりだけど原発事故によってあえなく解散させられた人たちだったのか…。
意外と考察の余地があるんだけど、それ以上のことはわかりませんでした。

個人的に主人公は、sabineに面倒を見てもらっていた子供の成長した姿で、かつての自宅を求めてここに来たら被爆してしまい、記憶を失ってここで目を覚ましたのかな、とか思っています。
だから、子供の頃遊んでいたブロックで暗号を解読(文字を覚える)過程があったのかな、とか。

最終的な感想

大変に良いゲームだった!

最初はよくある超現実を探索して主人公の内面を掘り下げるみたいな話かと思ってたんだけど、実はすべて地続きな現実を歩いて探索し、自分を取り戻す(取り戻したからって救われるとは言っていない)話でした。

結局あれ何だったの?となったのは、ゲーム的に何の意味もなかったピアノと、体育館の開かないドアくらいか。
ピアノは主人公がおかしくなる前に関係があるのかと思ったけど、本当になんでも無かったな。
体育館のドアは、他のところに通じる予定でもあったんだろうか。

最後に明らかになる主人公の姿については、正直ジャンプスケア的な怖さがあったけどね。
あの一瞬だけホラーゲームだった。

それにしても、このクオリティのゲームが10年前に発売されていたというのが凄いですね。
特にグラフィックが、今プレイしても最新作にまったく劣らないというのが本当に凄い。

そしてこんな作品を今日まで知らずにいたのも驚く。
廃墟探索ゲームにハマったのが割と最近だったとはいえ、まだまだゲームの世界は奥が深いし裾野も広いぜ。


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