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はたらく魔王さま! #1

2022/07/02

もうじき2期が始まる「はたらく魔王さま!」!

連載開始が2011年、アニメ開始が2013年。原作が2020年に完結したその2年後になぜかアニメの2期が始まるというわけのわからないメディア展開!
原作ファンとしては嬉しいのだけどマジで今やる意味がわからない!原作者はもう新連載はじめて単行本5冊も出してんだぞ!

「はたらく魔王さま!」はあの頃に氾濫した勇者VS魔王の構図をパロディした作品群の中でもトップクラスにヒットした一つで(あとは「まおゆう」とか)、勇者と魔王の構図を起点に、地球と異世界を行き来する壮大かつ地に足の付いたフリーター系ライトノベル作品。

1期は原作全21巻(+外伝6巻)のうち、2巻までをアニメ化。
たった2冊分に絞ったことで、ラノベアニメにありがちな「展開が飛び飛びすぎて全く感情移入できない」だとか「原作既読者に解説してもらわないとシーンの意味がわからない」「テンポが早すぎて余韻もクソもない」といった欠点は全く無く、アニメ1期のみを単独で見ても成立しているクオリティの高いアニメ化でした。

 

とりあえず2期に備えて、1期を一気に見返そうというのが今回の趣旨です。
どこかで配信しているのかはわからんが、全話収録のBDボックス版での視聴になります。

第1話 魔王、笹塚に立つ

原作一巻収録。


冒頭はエンテ・イスラでの勇者一行VSアルシエル&サタンから。

エンテ・イスラ

地球とは違うどこかにある世界。
人々は聖法気という特殊な力を使って法術を使いこなし、魔界から悪魔の侵略を受けている。

魔王軍の誇る四人の悪魔大元帥(一番偉い幹部)は、すでに北大陸のアドラメレク、西大陸のルシフェル、南大陸のマラコーダが破れており、残るは東大陸を支配していたアルシエルのみ。

魔王軍

魔界で野放図に暴れていた悪魔たちを魔王サタンが統一。
とある事情から人間世界への侵略を開始した。
この事情についてはアニメでは触れられていないが、アニメの範囲だと「魔王だから」「魔界の住人だから」で納得できるのがこの「勇者VS魔王」テンプレの強いところ。


勇者一行の強さは悪魔を上回っており、魔王サタンとアルシエルは一時撤退を決意。

エンテ・イスラに浮かぶ赤い月と青い月。
ファンタジー地球ですらなく、全く別の世界であるという説明の一環ですね。
あとは魔王や勇者一味が使っているエンテ・イスラ語とかも。あれが中央交易言語なんだろうか。


撤退を決め、ゲートをくぐってエンテ・イスラから撤退するサタンとアルシエル。
よく見ると1話じゃ勇者がゲートを潜るシーンはやってないんですね。

ゲート

空間と空間を繋いで移動できる術で、悪魔も人間も使用可能。
魔王軍による魔界からのエンテ・イスラ侵攻も、ゲートを渡って行われました。


サタンとアルシエルがゲートを超えてたどり着いた先は、なぜか魔界ではなく現代日本。
確か劇中設定では2013年らしい(原作だと2010年で固定。アニメは放送時期に合わせたのかな)。


警察署でカツ丼を奢られる魔王サタン。
体内に残る魔力を使った催眠術で、警察官から現代日本に関する情報を得てきました。


異世界からやってきて、戸籍どころか日本語もわからない魔王たちが現代日本に住み着くにあたって、彼らはいくつかのインチキを行っています。
まぁ悪魔なので、彼らは罪悪感なんてものは持っていないのですが。


悪魔が存在を保つには、魔力が必要です。

魔力

生き物のネガティブな感情から精製されるエネルギーのこと。
すべての悪魔は魔力をその身に吸収する性質を持っており、魔王であるサタンはその力が特に強い。

エンテ・イスラ侵攻時には人間から得られた魔力が、この世界では存在すらしないことを知る魔王。
更に、人間の姿になってしまったのは魔力がほぼ尽きてしまったからではないかと予想。
この「魔力が尽きたので人間の姿になってしまったのでは?」という考察は、原作の中盤~終盤にかけて関わってくる重要な設定のひとつです。
アニメの範囲では答えは見られませんが…。


物件を探す魔王サタン。


築60年のアパート「ヴィラ・ローザ笹塚」を紹介される魔王サタン。
変わり者大家の厚意により、海外からやってきた金のない外国人(という設定)のサタンたちでも入居が可能です。


ミキティ登場。
彼女の正体については、アニメ1期の範囲では残念ながら触れられません。
原作だと10巻あたりだっけ?


悪魔は本来、魔力さえ得ていれば食事は不要です。
逆に言うと、魔力が尽きた今、体を保つには食事が必要なのです。

「食事をしなければならない」ということすら知らなかった魔王サタンは、栄養失調で倒れ救急車で運ばれます。
会計では点滴ひとつにえらい高い金を取られていますが、国民健康保険も未加入なので全額自己負担になっていますね。
このときの魔王サタンは現金をロクに持っていないはずなので、ミキティに借りたのかな。


履歴書を書いて食い扶持を稼ぐことを目論む魔王サタン。
こういうファンタジー存在と日本的所帯じみた描写のコントラストがこのアニメの「美味い」ところですね。


日本での生活を多少安定させ始めた魔王サタン。
時間がだいぶスキップしており、確かこの時点で、日本に来て10か月目くらいのはず。


冷蔵庫や洗濯機は、このあと登場するちーちゃんに購入を進められて買ったもの。
それまで魔王城には冷蔵庫は無く、洗濯物は手洗いでした。
脱水も出来ないので、洗った服が乾くまで2日かかる魔王城。


通りすがりの女性に傘を貸す魔王。
キービジュアルに居るので恵美の正体は見ている誰もがわかってしまうんだけど、1話はOPもないからアニメ本編のみに情報を絞ってると、本当にただの通りすがりに傘を貸したシチュエーションになるんだよね。
一度記憶消してから見直してえ。


魔王あらため真奥がようやく見つけた、安定したアルバイト先「マグロナルド」。
マグロナルドに採用されるまでは、単発の派遣系バイトなどで糊口をしのいでいました。
もともと魔王軍を起こし、魔界を平定し、悪魔を率いてきたという人を見る目とリーダーシップを駆使して、店長からも優秀と目される立派なフリーターになっています。


一方アルシエルの当面の目的は、この世界で魔力を得られる方法を探すこと。あとおさんどん。
お金のかからない図書館でひたすら本を読むという地道な繰り返しに日々を費やしています。
あまりに虚無なように見えて、実はしばらくあとで実を結ぶシーンが登場します。アニメでやるとしたら4期くらい?


勇者エミリアと魔王サタンが、地球でお互いを認識して1話は終わり。
こうして書き連ねてみると、1話の中に「異世界から地球にやってきて生活を安定させるまで」に必要なものがすべて詰め込まれているなあ。

一方、話が本格的に動き出して、この作品の持ち味が出てくるのは2話からですね。

昨今の異世界モノにあるテンプレ的「これはもうそういうもんだから」みたいな共通認識を使うことなく、きちんと描いているのがとても好印象です。
いくつか発生した、真奥たちにとって都合のいい出来事も、先々で意味のある出来事だったことが判明したりもします。

改めて見ると、このアニメ情報を説明する能力と、説明がくどくならないよう調整する能力と、シーンをテンポよく詰め込む能力が高すぎる…。

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