第2話 勇者、仕事優先で魔王城に泊まる
原作一巻収録。
前回の続き。
ナイフを構えるエミリアがどう見てもただの不審者。
悪魔が生きるのに必要な魔力が無かったように、この世界には聖法気もありませんでした。
聖法気
エンテ・イスラの大気に満ちるエネルギーで、エンテ・イスラの人間たちが法術を操るのに使う。
ゲートを開くのも空を飛ぶのも、テレパシーを飛ばすのにも聖法気が必要で、これがないとエミリアは魔王と対等以上に切り結んだ「聖剣」が出せません。
そして警察に捕まる勇者と魔王。路上で刃物を振り回してりゃそうなります。
痴話喧嘩と誤解されたのはともかくとして、異世界の勇者も魔界から来た魔王も、現代日本の法律というルールをきちんと守っている、という描写でもあります。
エミリアは正義側を標榜しているので当然だけど、魔王も大人しく従っているわけですね(魔力が尽きてるのもあるけど)。
ただ、現代日本に馴染んだ魔王は、魔力があってもきちんと警察に従うでしょうね。
ある夜に突然魔王城にやってくるエミリア、改め恵美。
劇中可愛げのあるところをまるで見せない恵美ですが、ここのドア向こうでわめいてるところは凄く可愛い。
魔王サタンは、日本で大成するための人生プランとして、マグロナルドの正社員登用を掲げる。
この恵美のとんでもなくナメくさった顔よ。
なおこの正社員登用、真奥はガチで狙っておりアニメのずっと先の話で実際に登用試験に臨みます。
というか本編後半の真奥は、ほとんどの時間を正社員登用試験で右往左往してた気がする。
ちーちゃん胸デッケ。
ちーちゃんの語る「地震」の話。原作1巻のヤマ場にまつわる伏線というか、仕込みのエピソード。
この「地震」の発生条件のことを考えると、アルシエル改め芦屋がそれに気付かなかったのって、若干まずい気がするような。
いや、今の彼の頭の中は倹約生活のことでいっぱいなんだろう。多分。
恵美は、真奥に地球へ骨を埋めるように提案する。
自分の知る魔王サタンではなく、地球で一人の人間として生きる真奥貞夫なら、見逃しても良いかもしれないと語る恵美。
先々の展開も踏まえてみると、この段階で恵美が真奥を見逃してもいいなんて語るのは中々衝撃。
多分意図的なんだろうけど、恵美って根本的に戦う人間のメンタリティしてないですよね。
本人も望まず勇者になった(なってしまった)ゆえに課せられた義務という話も先々ありますが、アニメ2期でも見れないだろうなあ。
3期か劇場版があれば触れられるかも。
その話し合いの最中に襲撃を受ける真奥と恵美。
ここから、この二人の(不本意な)共同戦線が始まります。
揃って狙われてるんだから当然、という話でもあるし、共通の敵が居るなら手を組める二人ということでもあり。
誰かに殺される前に私が殺してやるわ魔王!とはならない勇者エミリア。
この魔王と勇者の関係の歪さについては、原作10巻くらいまでかけてようやく全容が見えてくる構造になっています。
そんな出来事のあとに、財布を落として魔王城に寝床を借りに来る恵美。このビシリと締まらない関係よ。
この辺の緩急が上手いよなあこの作品。シリアスを維持させないというか。
ただのギャグではなくて、こういう出来事を通して二人の関係を軟化もさせてるわけですね。
その影で、見知らぬ異国の地で一人で生きるエミリアの心細さ、という視点も忘れないのが丁寧で好き。
今のエミリアは、心が結構くたびれています。
地震について届く謎のメール。
差出人不明の未来予知じみたメールと、バイト先でともに働く女子高生が繋がるという謎で引いて2話は終了。
正体不明の襲撃者、芦屋には気付けない地震、なぜか同時に送られてくるメール…という一見繋がりようのないそれぞれは4話で回収されます。