ロックマンX5

ここからは完全初見のロックマンXだ!
プレイは当然『アニバーサリーコレクション2』から。オリジナルはプレイステーション版です。

『X4』の感想記事をまだ書いていないんだけど、そういやまだクリアしてなかったな~とX5をやったら一気に遊んでしまって、今とてもテンションが高いので先にX5の話をしよう。

なおめっちゃ長くなってしまうので、今回は攻略情報はナシです。

「シリーズ最終作(のはず)」だったロックマンX

『X4』から3年も間を置いて発売された本作。
どうやら開発段階ではロックマンXシリーズの最終作になる予定だったそうで、ストーリーには終末感が溢れ、システムもこれまではやっていなかった要素の試行錯誤が伺えるものになっています。

その中には順当な進化と感じるものもあれば、正直練り込み不足を感じる要素も多くあり、なんというかちょっととっ散らかったXになっています。
個人的に「これは無いわー」という要素がいくつかあるものの、一方で「これは遊んでいて楽しい、既存タイトルにもこのシステムが欲しかった」といえる要素もあり、私個人としても評価をつけづらいタイトルでした。

あくまで個人的にはだけど、加点式で65点、減点式で30点、って感じ。

ストーリー要素を重視した展開

物語は『X4』の半年後から。
(またも)倒したはずのシグマが現れ、ウイルスとなって世界各地のロボットやシステムに侵入し始める。

チュートリアルステージでは、女神像の体を乗っ取ったシグマといきなり戦うことになります。
シリーズ恒例のチュートリアルステージ用巨大ボスですが、女神の顔面がシグマになっているというあまりに面白い絵面。

これを倒してもシグマのウイルスは侵食を続け、ついにはスペースコロニー「ユーラシア」が地球めがけて落下し始めるという。

これの落下は約16時間後。
それまでに各ステージを回って武装パーツを集め、巨大砲塔「エニグマ」を復旧させ、落下してくるコロニーを粉砕せよ!

というのが本作のストーリー。

これまでのシリーズでも会話パートはいくつかありましたが、今回はキャラの掘り下げよりも「地球が本当に滅ぶ瀬戸際まで追い込まれている」という危機的状況をプレイヤーに伝え、危機感を盛り上げるための演出に用いられています。

更にこの16時間という時間は実際にゲーム内で制限時間として用いられており、1ステージに挑戦するごとに1時間を消費していきます。

Xシリーズは各ステージに秘密のアイテムが隠されており、それを取得するのに特定のボスの武器パーツが必要になり、順番によってはステージへの再訪が発生…というのは定番であり、かつ本作もそのとおりなのですが、今回はこの制限時間により「今集められるものを取れるだけ取ってミッションに挑む」という、急き立てられるようなピンチ感が常につきまといます。

本作におけるアイテムのコンプリートは、やり込んだプレイヤーがクリア後にルートを組み立てて挑戦するものであり、今回は時間も装備も足りないまま挑まねばならない緊張感を楽しんでくれ、という意図を感じました。

これまでのXシリーズでは、すべて揃えてからラストステージに挑むのが当たり前だったので、ちょっともどかしいものはあるけどね。

マルチルート

制限時間16時間のミッション、武器を集めてエニグマを発射、果たしてミッションが成功するかどうか…というところで、ストーリー展開が分岐し3種類のEDが存在します。

歴代では、『X2』でゼロパーツを取ったかどうかでちょっと展開が変わることがありましたが、そこをより深く掘り下げた感じ。
結局後に出ることになった『X6』は、本作のEDのうちグッドルートの続きとなっているようです。

『X6』はまだやってないけど、この記事を書き終わったらやる予定。
いや、先に『X4』を改めてやるか…?

ちなみにゲーム開始時に、プレイヤーキャラとしてエックスとゼロを選ぶ場面がありますが、シナリオ的にはチュートリアルステージの会話がちょっと変わるくらいの変化しかありません。
今回はステージ開始時にエックスとゼロどっちで行くか選べちゃうので。
エックスで始めてゼロ使ってもいいし、ゼロで始めてエックス使ってもいい。

ただしチュートリアルステージの変化に伴って、エックスで始めるとゼロのバスターが使えなくなり、ゼロで始めるとエックスのフォースアーマーが使えなくなります。
ゼロで始めたときのデメリット大きすぎるだろ…。

エニグマ作戦/スペースシャトル作戦

というわけで今回のボス戦は、ただイレギュラーを処理するということではなく、ボスの所有している装置や領土を使わせてもらう必要があり、その過程でエックスやゼロが戦うことになる、という設定。

ボス選択画面の右に移動すると、現在進行中の作戦と回収出来たモノが表示されます。
わざわざ用意してあるのにこんなことを言うのもなんだけど、表示されている情報は雰囲気作りであって、ほとんどゲームプレイに影響しないので、めったに見に行くことがない。

エニグマ作戦が失敗した場合は、次善策であるスペースシャトル突撃作戦が始まり、引き続き装置集めが始まる。
この作戦のどちらかが成功するか、両方失敗するかでルート分岐が発生するのです。

アーマーシステムの刷新

歴代プレイヤーが最も驚くであろう要素。
なんと本作のエックスは、チュートリアルステージの時点で、前作『X4』で手に入れたフォースアーマーをもう装備しています。

最初からプラズマチャージショットも、ホバリングも、エアダッシュも可能なのです。

そんなの強すぎるだろ、と思うでしょ?
そう、実際強い…強すぎる…大抵のボスをこのフォースアーマーとプラズマチャージショットで倒せちゃう…。
というかボスによっては、プラズマチャージショット以上の最適解ある?ってレベルでプラズマが刺さるやつもいて…。

これは良かったのか悪かったのかわからん…。
正直、プラズマチャージはなくても良かったんじゃないかな。

一方で各ステージにちゃんとアーマーパーツは用意されており、フォースアーマーとは別に「ファルコンアーマー」と「ガイアアーマー」の2種類が入手可能。
今回のアーマーはそれぞれ特化型の性能を持っており、フォースアーマーでは出来ないことが出来るようになっています。

ゲーム設計としては、スタンダードかつ高性能なフォースアーマー、機動力特化のファルコンアーマー、クセがあるけど使いこなすと実は強いガイアアーマー、あえての縛りプレイノーマルエックスの4択、という感じがします。

ただし、このアーマーはヘッド・ボディ・フット・アームの4パーツをすべて揃えた上でハンターベースに帰還しないと、装備できるようにならない。
アーマー入手にあたって特殊武器が必要になる場面もあるため、アーマーが揃うの自体がゲーム終盤になりがち。

ファルコンアーマーは短時間ですが自由に画面内を飛ぶことができ、しかも移動中はバリアを発生させて敵の弾を防ぎ、雑魚敵ならこのバリアで轢き潰すことが出来るという、やりたい放題の性能。
強いのは良いけど、ちょっとエックスシリーズに求める強さではない気もしている。

ガイアアーマーはこれまた掟破りで、ダッシュは遅いしショットも射程制限が出来てしまうものの、代わりにトゲを踏んでも触っても死ななくなる。
これがないと取りに行けないアイテムも結構ある上、一部のボスはこれがあると露骨に楽になるぞ。

しかし、アーマーはどこに何があって何の特殊武器が必要か、全部知っていれば最短ルートで取りに行く事もできるけど、普通にプレイしていると残りボス1,2体になったあととか、最終ステージへ行けるようになったあとでようやくアーマーが揃う、なんてことも。

そのせいで、余計にフォースアーマーでいいじゃんとなってしまうところはある…。

強化パーツによるビルド要素

ボスを倒した時に手に入る「DNAデータ」から、エイリアが特殊な強化パーツを作ってくれ、それを装備させることができます。

エイリアは「何を作るかセレクトしてね」と言うけど、選ばせてくれる場面は無い。
ライフアップを選ぶかエナジーアップを選ぶかで、自動的に何が作られるか決まります。なので16種ある教科パーツ全部を揃えることは不可能です。

条件として「倒したボスのレベルが8以上であること」「エイリアに開発してもらってから(ゲーム内時間で)2時間待つ」というのがあります。
ボスレベルはコロニー落下までの残り時間、ハンターランクなどで決まる模様。

つまりゲーム序盤に倒したボスからは、強化パーツがもらえません。
意図的にステージへのエントリー→ゲームオーバーを繰り返すことでボスレベルを上げれば、8ボス分の強化パーツを集めること自体は可能。
デス&ステージ入り直しを繰り返して、コロニー落下まで残り9時間になればボスのレベルが9くらいになっているはずです。

ボス名ライフアップエナジーアップ
クレッセント・グリズリーショック・アブソーバーハイパーダッシュ
ボルト・クラーケンハイパーチャージゼットセイバーエクステンド
シャイニング・ホタルニクスラピッド5ショットイレイザー
タイダル・マッコイーンスーパーリカバーエナジーセーバー
スパイラル・ペガシオンハイジャンプスピードムーブ
スパイク・ローズレッドアルティメットバスターゼットセイバープラス
ダーク・ネクロバットウイルスバリアーウイルスバスター
バーン・ディノレックススピードショットバスタープラス

内訳はこんな感じ。

重要度が高いのは、キャラの機動力が劇的に上がる「ハイジャンプ」「スピードムーブ」が手に入るスパイラル・ペガシオンや、被弾ダメージを軽減してボス戦が楽になる「ショック・アブソーバー」が手に入るクレッセント・グリズリー。

ゼロを使う場合は、セイバーの射程が伸びる「ゼットセイバーエクステンド」と、セイバーの攻撃力が上がる「ゼットセイバープラス」は取っておきたい。
アーマーで被ダメが半減されるエックスと違って、ゼロは被ダメ軽減手段が強化パーツ以外にないので、ゼロでやるならなるべく「ショック・アブソーバー」も取っておきましょう。

ただ、普通に遊ぶと序盤から挑むことになるグリズリーやクラーケンに良い強化パーツが配置されてるのは、ちょっとずるいところがありますね。

個人的には、ショットすべてがチャージショットになって攻撃と回避のメリハリがつけやすくなる「アルティメットバスター」も好きなんだけど、その代わりノーマルショットを打てなくなるデメリットは人によってはマイナスが大きいかも。

装備はボス選択の左画面から。
ノーマルエックスとゼロは4つ、フォースアーマーとファルコンアーマーのエックスは2つ。ガイアアーマーは古い時代に作った試作型という設定のためか、装備枠ナシ。

強化パーツはそれぞれに他の特殊武器では再現できない特性を持っており、これをデッキのように組み合わせて、ステージ攻略に特化した、あるいは爽快にプレイできるように、もしくはミスを減らす保険として機能するように、好みに合わせて選ぶことが出来ます。

というわけでプレイしての感想

すごく惜しいロックマンXだった。

いくつも目を引く要素が用意されているというのに、それを楽しくプレイヤーに提供出来ておらず、むしろ足を引っ張る仕様ばかりが目立ってしまう結果になった。

エックスVSゼロなんて美味しい要素の扱いが、あんなしょうもない展開の末に起きてしまうのは本当にもったいなかった。

エニグマ作戦のこと

ルート分岐の条件が「完全に運次第」なのは本当頭おかしいと思う。
これはもう100%ネタバレだけど、プレイヤーの裁量ではどうにもならない部分なので書かせてもらう。

今回の記事を書くにあたって合計5周プレイして、さらに追加でエニグマ発射ミッションをもう4回挑戦、合計9回エニグマを発射!したのですが、一回も成功しなかった。

仕様を調べたところ、成功か失敗かの乱数は「どこかのステージに入って、出た瞬間のフレーム数」次第で決まるらしいと知り、セーブ→クリア後のステージに入ってエスケープ→発射!→失敗したらロードしてもう一回…を繰り返して、ようやく成功しました。
体感の成功率は、パーツが3つまで揃った状態で15%といったところか。

なお4つ揃えてしまうと、ボス選択画面に戻ることなく問答無用で発射されてしまうので、ロードで再チャレンジを繰り返すならボス3体撃破が限界です。

というか全部パーツ揃えたなら成功率100%にしとけよって話だよな。
バッドエンドなんてのは見たい人間が意図的にプレイしないと見れないようにしておくくらいでいいんだよ。

ロックマンXらしくないステージ構成

ステージが、プレイヤーを足止めすることばかり考えた設計になっているのも難点のひとつ。
Xシリーズと言えば、ステージをひゅんひゅん飛び跳ねてダッシュで敵の頭上を越えて、壁になる敵はバスターで蹴散らして進む爽快感が魅力だと思うんだけど、今回は強制的に足を止められる要素が本当に多い。

定期的に立ち止まらないといけないステージや、強制スクロールにつきあわされるステージ、ガードを固めていてそもそも攻撃のチャンスがめったにないザコ敵など、難しいのではなくストレス要因になるものがかなり多かった。

ひたすらかったるい「デス・エベンジ」につきあわされるマッコイーンステージ。
一回戦うだけならまだいいけど、ステージ入り直すと完治して何度でも戦わされるのはマジで正気じゃない。
そんなマッコイーンステージに限って、どんなルート組んでも再走必須なのもひどい。

盾をよけた瞬間を狙ってチャージショットを撃つと、下にいる別の敵にひっかかって当たらない配置。
こういうイラッとさせられる場面が結構多い。

漂う低予算感

更に言うと各所の演出やグラフィックの質が『X4』の頃より落ちており、続けて遊ぶと前作の方がちゃんと作り込まれていた、という印象になりがち。
エックスたちのライフが減ったときのセリフも、ボスの戦闘前セリフもなくなったし、一部のボスはモーションパターンすごい少ないし。

一方で結構アツい(一部の)ボス戦

こうしてネガティブな感想がだいぶ並んでしまうんだけど、一部のボス戦は良く出来ていて、結構ギリギリのひりつくようなプレイが出来たところにはとても満足しています。

ジャンプ、しゃがみ、ダッシュ、ホバリング、更にファルコンアーマーによる自由飛行も含め、エックスは取れる選択肢が多く、それゆえにボス相手にどう手札を組み立てて挑むかを考える余地がありました。

本当にどうしようもないくらい弱いボスもいる一方で、特にラストステージに出てくるボスたちは精密な操作を求められるところが多くあり、本作はリトライが気軽なのもあって勝ち切れるまで延々とやってしまうところがあった。

エックスはアーマーの選択肢が広い上にノーマルエックスで挑むこともできるので、遊びの幅が広かったのが本当に良かった。

特に(アルティメットアーマーを手に入れるために)ノーマルエックスで挑んだステージでのゼロ戦は、ゲーム中一番のヒリつきでした。

操作自由度の高すぎるファルコンアーマーも、一方でチャージショットが細すぎたり特殊武器チャージが出来なかったりという制限があって、一概に最強アーマーではなかったのが良かったですね。

一方アクション性で難のあるガイアアーマーは、チャージショットの連打が異様にDPSが高くて、回避が上手い人はこれが一番早くボスを倒せたりして。

最終作(予定)だったゆえの、歴代オマージュ演出

本作には歴代作品プレイヤーの郷愁を煽る、オマージュ演出が結構盛り込まれております。

例えば「タイダル・マッコイーン」ステージのBGMが『X2』の「バブリー・クラブロス」ステージのアレンジ版だったり(でかい魚のボスと戦いながら進むつながり?)。
「スパイラル・ペガシオン」の戦い方が、『X1』の「ストーム・イーグリード」をモチーフにしていたり。

BGMはあんまり覚えてないこともあって、クラブロスとマッコイーンのやつしか気付けませんでしたが、ちょっと調べたところによるともっと沢山あるらしい。

あとはラスボスステージに出てくるボスに、『X1』で登場した「ランダ・バンダ」が再登場していたり。

もっと遡って『ロックマン』シリーズに登場した「イエローデビル」のオマージュで「シャドーデビル」が登場したり。
(しかもこいつの登場に納得の行く理由付けがちゃんと用意されている)

何人ものエックスを散らした即死ビームステージは、『ロックマン』シリーズに元ネタがあるようです。

強化パーツ次第で変わるプレイ感

前述した強化パーツによる操作感の変化がかなり大きく、持っているパーツ次第ではボス戦の感触も変わってくるのが嬉しいところ。
移動力が上がる系は、上がりすぎて慣れるまでちょっと大変なくらい変わるぞ。

「ラピッド5」や「スピードショット」は、これを使ってもどうせボスの無敵時間が邪魔になるので、あんまりメリットを感じられなかったりもしたけど。

一周ですべて揃えることはできないけど、逆に言うと周回のたびに違うパーツを狙うことが出来るということでもある。
…まぁ、優秀なパーツはあんまり多くないんだけど。

結論:不満は多いんだけど、やってりゃ慣れるので意外と遊べるゲーム

合計で5周遊んだあと、EDを回収するために4回エニグマ作戦を実行し、更に感想の検討をつけるためにもう2周遊んだんだけど、なんかこれ下手にちゃんとハマったゲームより周回してねえかな。

1周が手短に済むのは、やっぱロックマンXシリーズの魅力の一つだね。

マイナス要素は慣れれば流せるようになるので、多分今後も一部のボス戦をやりたいとか、そういう理由でたまにゲーム起動して遊ぶだろうなというくらいには楽しめるロックマンXになっていました。

なおシリーズの評判をちょっと調べると、『X6』と『X7』が底を叩く出来のようです…。
『X8』は失点を取り返せる出来らしいので、そこまで行けたら良いですね。


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