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武陵編(Ver1.2)の感想

毎日かなりの長時間を注ぎ込み、ようやくメインストーリーの最新章まで追いつきましたので、今回はその感想を書いたりします。

Ver1.2「春の暁、訪れし時」の「プロセスⅥ-千鈞」までのネタバレを含みます。
また、ストーリーについては称賛したい部分と罵倒したい部分がそれぞれにあり、多分感情的な文章も出てきてしまうと思いますので、あらかじめご承知おきください。

武陵

エンドフィールド工業が1章の最後、ゼーレみたいなモノリス越しに会話をして向かう先と決めた土地。
四号谷地との距離感は不明ですが、地形・植生がまるで違う全く新しいエリアです。

前回の記事でも書いたけど、中国山奥の風景をモチーフにしたであろう「深山幽谷」という言葉が似合うような風景と

それとは対照的に、綺麗に区画が整理され、近代的な建物が美しく飾り立てられた都市部のコントラストが強烈なエリアとなっています。

山奥の自然豊かな景色も、武陵城の美しい街並みも、本当にものすごく私のツボにド深く刺さりまして、驚いたことに何も用事がないのにマップを歩いているだけで楽しめました。
もちろん宝箱とかオーリレンとかの回収要素もあるんだけど、この風景を自分が操作するキャラの足で探索できるというだけで大変に満足していました。

実際のところ、目で見える位置にどこから行けるのかわかりづらい武陵城の町並みはゲーム設計としては失格だと思うんだけど。
ただその面倒くささも含めて私は愛せてしまった。これが一般的な感想にならないであろうことはわかる。

武陵の街ではマラソン大会みたいなのが開かれていたり、歓楽街では飲食店が並んでいて(しかもその中にダパンさんの店があったり)、研究施設のそばまでいくと一般人の数が少なくなっていたりと、「その街の中で息づいている人たちがいる」のがとてもよく表現されていました。

それら自然と文明の間にあるのが、タンタンたちの暮らす清波砦。
(いろいろな理由で)武陵の街から離れた人たちが寄り集まって暮らすコミュニティであり、管理人たちはまず清波砦の人々に受け入れられるところから、武陵での旅が始まる。

「今の管理人」が認められる物語

武陵編には大きく分けて3つのストーリー軸があった。
それが「今の管理人を承認してもらう物語」と、「清波砦の過去」と「アルダシル」の3つ。

まずは管理人を承認してもらうエピソードから。

(これも前回の記事で書いたけど)タンタンをはじめとした清波砦の人々に、管理人が「黒夜叉」として認めてもらう過程があったのが、武陵編で最初に最高の要素でした。

管理人はこの手のゲーム作品ではとても珍しい「最初から権力者」「組織のリーダーを務めている」主人公でした。
それゆえに四号谷地では、誰も彼もが(初めて会うのに)管理人を頼り、助けてくれと乞うてきます。

でも、それは「管理人という主人公」を頼っているのではなく「エンドフィールド工業のリーダー」を頼っている構図なんですよね。
四号谷地で出会う人の誰も彼も、管理人の個人にフォーカスを当てて関わってはくれなかった。

「エンドフィールド工業のリーダー」である管理人のことは、プレイヤーも今操作している管理人当人も知らねえっつんだよな。

アンドレイ(毛玉じい)は当時管理人と一緒に考えたアイデアの実現に奔走していた人(毛玉)なので、管理人個人との思い出を感じさせてくれるから好き。

清波砦の人たち

一方タンタンはエンドフィールド工業なんてろくに知らないし、管理人に会ったこともありません。
清波砦の人たちも同じで、最初は怪しんでくるし、タンタンが受け入れたっていうからまぁ砦にいてもいいよって言ってくれるし、アンゲロスを対峙すると助けてくれてありがとう!ってお礼を言って「黒夜叉」と認めてくれる。

武陵城に入った管理人を心配して、実質の敵地であるエリアまでやってきてくれるタンタンのいじらしさよ。そりゃ管理人も照れる。

これだよ!私が求めていたのは!
四号谷地編にほとんどなかった、主人公という一個人と関係を構築してくれる人たちだよ!
管理人に心配をかけるんじゃなくて、管理人を心配してくれる存在だよ!

エンドフィールドはモブキャラを多用しますが、清波砦に関しては「大勢のモブから受け入れられる」過程を描写するにあたって、モブの多用が功を奏していたと思います。
大親分であるタンタンだけが認めても、組織に受け入れられたことにならないからね。

ゾアン・ファンイ

そんな清波砦と対照的なのが、武陵城の実質的なリーダーであるゾアン天師。

彼女は10年前に管理人と会ったことがあるらしく、その思い出をものすごく大事にしている人。
管理人がなんとなしに口にした言葉を聞き入れて今の武陵城の街を作り、今も目の前に迫る侵食潮に立ち向かうため不休で働いているハードワーカー。

私が「記憶は消えたが(自覚のない)職責にのっとって命がけで頑張っている今の管理人」推しなのが原因だと思うんだけど、ゾアンの「昔の管理人」推しの強すぎる姿勢はあんまり好きになれなかった。
隙あらば記憶のない管理人に昔話をしたり、管理人のために梨の花が見られる街にしたり、管理人が言ってたからマラソン大会を開いたり、昔の管理人が書いた資料を読ませようとしてくる。

ゾアンにとって今の管理人は欠けた状態・不完全な状態であって、「もとに戻ってほしい」という感情がこれでもかと表現されている。

これが本当…私がゾアンを好きになれない理由の全てだった。
10年前にした交流、そこで受けた薫陶がゾアンの中でめちゃくちゃ大きかったんだろうけど、そのせいで今の管理人の人格をないがしろにしすぎ。
記憶喪失になってしまった人間の不安にぜんぜん寄り添ってくれない。

そしてどのような交流があってゾアンが当時の管理人に惚れ込んだのかも、ぜんぜん見せてくれない。
管理人の言葉や行動がゾアンの人生の方向性を決定づけた、みたいなバックボーンを支えるエピソードをくれよ。

結局ゾアンはその態度を改める機会は持てないまま、今の管理人にあらためてオトされる形で現状を受け入れることになる。

(今実装されている中で最新のエピソードでようやく)ゾアンはかつて、心を許した研究者仲間を全て失っており、その残された最後の一人が管理人だったことが明らかになる。
つまり大事な人を全て喪ったゾアンの、最後に心を向ける先がかつての管理人であった、というわけだ。

管理人が10年眠っていたのを踏まえると、全員死んでしまったはずの仲間が一人だけ帰ってきてくれたように感じられただろうし、今の管理人に10年費やした成果を見てもらいたがること、なんとかして10年前に時間を共有した管理人に戻ってほしいと期待を向けるのは理解できる。

できればこのエピソードは、協力して侵食潮と戦いネファリスを倒す前にやってほしかったなあ。
武陵編アフターストーリーみたいな顔をして展開したプロセスVIで出てくるのはさすがに遅すぎる。ゾアンが管理人に何を期待していたか、その呪いじみた感情から解放されたあとで、共闘してネファリスを打倒したかったよ。

また、武陵城の地下に発生した裂け目を閉じるための戦いで、自分が死ぬことも見込んでいたゾアン。
そんな危険な場所に管理人を連れていけないと一人先行するのだが、いくらなんでも自暴自棄が過ぎると思う。

予知夢みたいなものを見ていたシーンもあったけど、自分が死ぬ未来も加味してのこれまでの態度だったとしたら、またさらに見え方が変わってくるかもしれない。
記憶のない管理人相手に武陵城を見てもらうあの場面、死ぬ前にせめて管理人に仕事の成果物を見てもらいたかった心境から来るものだったのではないだろうか。

実際に遺書を書いているシーンもあったけど、管理人の手を引っ張って走ったあの時間こそ、ゾアンにとって管理人に向けた遺書だったと言えるかもしれない。

ゾアンにとって管理人の存在は、尊敬を越えて崇拝に近い状態なのではないだろうか。


かくして清波砦の面々はタンタンを通して、ゾアンは10年前の呪いじみた思いから解放されて今の管理人をそれぞれ認めるに足るのでした。
これは明確に四号谷地では見られなかったストーリー構造にして、私が一番嬉しかったポイントでした。

タンタンとルアン・イーの溝

2つ目のストーリー軸が清波砦の過去。

清波砦はタンタンを大親分としつつ、その大親分という権力の背景にはその兄貴であるルアン・イーの存在があったように思う。

あんなならず者集団が幼い少女を本当にリーダーと認めているわけ無いだろ…という決めつけを持ってストーリーを読んでいたんだけど。
その実タンタンは砦の連中のために物資を奪い持って帰り、アンゲロスは倒し、組織として必要な決断は自分で下していたので、実際に大親分を名乗るだけの仕事を全部こなしていたので驚いた。

ただ仕事をしているからと言って、気分屋に見える少女がリーダーとして尊敬を集めるかというと別で、やっぱり「ルアン・イーがそう認定したから」というのはあったんじゃないかな。

そんな清波砦のエピソードは、10年前の起きた武陵との衝突に端を発する諍いが軸となる。

というのも、清波砦には10年前に武陵城と衝突し、大勢の死者が出たという事件があったことが劇中で語られるのだ。

未来を見据えて明日のために行動するタンタンと、10年前の復讐を捨てられず武陵城と戦うことを選ぶルアン・イーで清波砦は割れ、何人もの清波砦の人員がランドブレーカーと協調し、波乱を起こすのが武陵編の中盤のストーリーになる。

案の定ランドブレーカーは清波砦に力添えをする気などなかったようで、清波砦は内部をランドブレーカーに乗っ取られてしまう。
ミ・フさんは、タンタンの甘い態度が増長した愚か者を産んでしまったと語る。

もっとも、このランドブレーカーの動きにはアルダシル(とそれを補助したであろうネファリス)の誘導、復讐を諦められないルアン・イーの怨念が伴っているので、タンタン個人にそれを制御できたかと言うと、誰がやっても無理だったのではないかとも思う。

タンタンは大事な兄を止めなきゃいけないこと、兄の気持ちを理解できていなかったことに苦悩する。

正直武陵編でもっとも内面を掘り下げ、それをドラマに活かされていたのは管理人でもゾアンでもアルダシルでもなく、タンタンだったなあ。
実際この武陵で一番好きになれたのもタンタンだったし、ドラマの濃度も高かった。
これらの事件を通して管理人と友情を深めたのも素敵だったし、再起するところまでちゃんと描かれているのも嬉しい。

悩み苦しむタンタンを救うのは、管理人の言葉。
自分を黒夜叉として受け入れてくれた大親分のため、タンタンを支え力になることを誓う。

このセリフの前、「タンタン」ではなく「大親分」と呼ぶのが明示的。
タンタンに認めてもらったから貰えたタンタン券を使って言うのも、エンドフィールドの管理人ではなく黒夜叉として語っているのがよくわかる。

こういうやり取りばっかしてるから、ゾアンみたいな重い女が生まれるんじゃねーかな。

この後赤面するタンタンも含めて、まるで画面が少女漫画のようだった。
ここは男管理人でプレイしてもよかったかもしれないし、タンタンとの間に色恋の気配がしてほしくないので女管理人で良かったのかもしれない。

しかしタンタンの説得も虚しく、ルアンは人とは思えない体に変容した挙句、管理人たちとの戦いに敗れて無念のうちに死んでしまう。

「兄貴の命は、俺様と砦のみんなのものなんだよ!」というタンタンのセリフは、ルアン・イーの心を止めようとするにあたって最高の言葉選びだったと思うのだが、ルアン・イーの復讐の念は止められなかった。

果たして、10年前にルアン・イーがタンタンへ語った言葉は、ただのお為ごかしだったのだろうか。

タンタンたちと祖泉で戦ったとき、自分が扇動した清波砦の人員が一人もいなかったあたり、全く理性を失ってしまっていたわけでもないと思うんだけど。
実際、砦を離れた人の大半は叔父の拠点にいたわけで、全員死んでもいいから武陵に復讐しよう!とまで思考が先鋭化していたわけでは無さそうなんだよな。

この力を与えたのがアルダシルなんだろうけど、当のアルダシルは「今復讐をしようとしても、その先にあるのは死だけ」「復讐を捨てて僕と行こう」とまで言っているので、復讐心自体はルアン・イーの自前のものっぽいんだよね。

タンタンが悲しんでいるので、それに感情移入して悲しむことはできたけども、ルアンの死を悲しむには、やっぱり描写が不足していたように思う。

この「エンドフィールド」ってゲームはどうも、キャラの内面や背景を書くのを省略するきらいがある。
武陵と清波砦の諍いは管理人のドラマとは直接無関係ではあるけどもさ、タンタンと深く関わった以上黒夜叉はこの戦いの当事者になったし、当事者にしてよとタンタンに自分を巻き込むように語ってもいる。

なのに、何が今回ここまでルアン・イーを駆り立てたのかも、10年前に実際どのような経緯でどんな出来事があったのかも全然見せてくれん。

普通に考えたら、急に方針転換したルアン・イーの暴挙は、外から現れた(これまでいなかった)何者かによって影響された結果であるはずだと思う。
一番怪しいのはアルダシル(だけど当人は今はやめとけと言っている)、あるいは何の悪意も持っていないエンドフィールド工業が現れたことが何かしらのきっかけになっても、悲しくて良かったと思う。

プレイヤーに見えなかった心情の変化が、設定上はちゃんと存在するのかどうかくらいは教えて欲しいものだ。

それはそうと、このルアン戦のムービーはめちゃくそカッコ良かった。
映像を作るチームはすごくいい仕事をしていると感じる。もう一度見たい。

「10年前に起きたこと」のあまりの描写不足ぶり

左目あるのかよ!

「この目がこうなった」のは10年前の出来事がきっかけらしいんだけど、「どうなってた」んだよそれは。
てっきり片目の失明くらいしてたのかと思ったら、このムービーで普通に傷跡すらない状態で目が残っててビックリしたよ。

ムービーの中で光ってたし、管理人の源石に呼応してパワーアップしてたので、何かしらアーツ的な力が宿ったんだろうけど。なんでそれを説明してくれないのかがわかんねえんだよこっちは。

武陵と清波砦の衝突についても、何もわかんねえ。
メインストーリーの中で語られたことだけを拾い上げると

・食うに困った清波砦が武陵の物資を求めて襲撃した
・とんでもない悪天候で前が見えないような状況だった
・武陵の天師がうっかりやりすぎてルアンの親父を含め何人も死んだ

ということになってしまうんだけど、これだけだとマジで清波砦がただの盗賊すぎてボーンクラッシャーと何も違いがない。襲撃かけておいて反撃食らって死者が出たから恨んでますは賤族を通り越して蛮族だろ。

あの厳しいミ・フさんが明らかに清波砦に配慮して、加減してやるように指示する場面があるので、武陵側に何かしらの過失がある出来事ではあるんだろうけど。
本当なんでそれをプレイヤーに見せてくれねえんだろう。描写後回しにしてるうちに清波砦のストーリー終わっちゃったんですけど?

内容を飛ばされちゃったゾアンとの会談のあと、タンタンが「10年前は武陵側も大勢死んだって…本当かな…」みたいなこと言ってたけど、プレイヤーもその話知らないです。なんで聞かせてくれないんだよ…。

情報があまりに不足していた清波砦まわりのエピソードだったが、タンタンが魅力に溢れたキャラすぎたので、その勢いで走りきれた感じがある。

妙に管理人に誠実なアルダシル

最後のストーリー軸が、武陵の冒頭で出会ったアルダシルの存在。
冒頭に顔合わせを行い、中盤の清波砦編で暗躍し、終盤の武陵城VS侵食潮では管理人の前に再び現れる。

私はこの手の思わせぶりなことを言うだけのキャラは基本嫌いだったんだけど、アルダシルは自分を敵だと明言するし、管理人に対して一定以上の敬意というか、信頼のようなものをにじませてくるのが個人的に好印象。

ゾアンが今の管理人を通して昔の管理人に話しかけていたのに対して、アルダシルは昔の管理人を見つつも今の管理人に語りかけている感じがする。
言葉選びとかが違うのかもしれない。

アルダシルの目的は、超域で「追放された者」を見つけること。

「追放された者」とは管理人の絶望の源=敵?だったようだが、最後には管理人が彼らの悪夢になった=撃破した?という。

この会話を見て思ったんだけど、アルダシルって管理人の討ち損ねた10年前の残敵を討伐して回ってる人だったりしない?
なんとなく「今の管理人に、自分のしていることをわかってほしいとは思ってなさそう」で、かつ「管理人個人への敵意がなく」その上で「管理人の忘れてしまった時間にまつわること」をしようとしているのは伝わってくる。

これらの演出が全部フェイクでもない限りは、取っている手段がエンドフィールド工業に受け入れられないやり方なだけで、管理人の味方と言えるキャラなんじゃないかと思えるんだけどなー。

ちょっと贔屓目すぎるだろうか。

ここの「君が犠牲にしたものを気にする人は、いない」というアルダシルの言葉が、

「最後まで君と一緒に歩みを進められる人なんていなかった」という言葉が、ものすごく当時の管理人に寄り添っているスタンスに思えるのだ。

そしてこれらの出来事をきっかけに起こした自分の行動について、管理人を誘いはするも断られたら素直に身を引いている。
つまり今の管理人がどう思っていようと、あくまで当時の管理人に義理立てた行動をしているように思える。

アルダシルは良い意味で、今の管理人に「昔の管理人を知る者の立場からの押しつけをしていない」と感じる。

ゾアンとは好対照で、アルダシルは記憶とともに消えてしまった当時の管理人を偲び、今の管理人を一定のラインで認めつつ心を開きはしていない。
まだ全てを出し切ったキャラではないのも踏まえた上で、今後の広がりに備えた仕込みとして満点の出番だったのではないだろうか。

一方ネファリスは…この個体は死んでしまったかもしれないけど、明らかに真のネファリスが後で出てくる雰囲気があるので、再登場に期待というところか。
一人だけ声にエコーがかかっているのが露骨すぎて、仮の体とか分身とか、本体ではありませんよってフラグが何本も立っている。

わざわざ「親愛なる救世主」と管理人を呼んだのに、それの内訳を説明しないまま消えるわけないしね。
ネファリスもアルダシル同様、昔の管理人に縁がある人物なんだろうし、もうちょっと描写を増やしてほしかったところ。

総括

四号谷地編よりは遥かに面白く、物語の展開に波があって、得るもののある物語だった。

その一方で、ドラマを十分に楽しむには描写が不足していると感じる部分が多くあり、特にそのあおりをゾアンとルアン・イーが食らってしまった。
二人とも武陵のエピソードで中心軸となる人物だったので、そこの不足があったせいで、物語全体への印象が悪くなってしまった。

一見すれば良いセリフなんだけど、今の管理人を知ろうとしないまま自分の言いたいことを立て続けにぶつけてくるので、印象が良くない。
記憶喪失という仕事してる場合じゃない異常事態が体に起こっているのに、休まず戦っている管理人に最初に向ける言葉がそれでいいのか?

武陵を潰す!と言いながら自分が死んだらタンタンに武陵へ行け…というルアン・イーもマジで意味わからない。
お前がいなくなったせいで、タンタンが更に強く清波砦に縛られたんだが?!
そしてタンタンも大親分としての自認が強いので、清波砦を捨てて武陵になんて行くわけがない。その可能性をルアン・イーが潰したまである。

その一方で、これらの不足が関わらない部分については、めちゃくちゃ面白かったし深夜の2時とか3時までぶっ続けでプレイしてしまった。

侵食潮との戦いは、ダパンさんが代表者としてメインキャラ枠に入ってくれたおかげでかなり盛り上がった。
他の天師たちはやっぱりモブばかりなのだが、四号谷地編から出ていたダパンの故郷が武陵で、自分が店を出しているこの街を守るため戦う、というのはすごく飲み込みやすい構成。

迫る侵食潮というのは危機的状況として目にもわかりやすく、ストーリー全編を通して天師杭のメンテや息壌作りを頑張っていたのもあり、ストーリーが一直線に繋がっているのを感じた。

また、管理人は侵食潮を止めるために再び体がひび割れるのも構わず、源石の力を使う。
戦い以外にも主人公が物語にいる役割が用意されているのは良いことですね。
スーパーモードになったゾアンと力を合わせる場面はちゃんと盛り上がった。

ゾアンに不満があることは語ったけど、一方でミ・フさんとの関係性はめちゃくちゃ良くて、どこか自分を酷使するゾアンとそれを守りたいミ・フさんの構図はとてもてぇてぇかった。
ここもっと掘り下げても良かったんじゃないですかねえ!
ゾアンが管理人の方ばかり見ているように感じたのが不憫だったので、ミ・フさんにもっと報われて欲しいですね。

ミ・フさんがタンタンに対して一筋縄ではいかない感情を持っていそうなのも、もっと深堀りしてほしい。
糞猫と呼びながらも常に気にかけ、心配し、危険なところに行くときには「黒夜叉」に任せるこの過保護ぶりはどこから来るのだろう。

実親不明のタンタンなので、本当はミ・フさんの方が血のつながった家族だったりしないかな。
なんか姉っぽさを感じるんだよな。

管理人がどうやって他人をオトしてきたかの実例がタンタン、ゾアンを相手にして見られたのも良かった。
10年前もこんな感じで、いろんな人を性別年齢問わず籠絡してきたんだろう!
管理人に強い執着を見せる人物がいっぱいいたのにすごく納得したわ!

武陵編通して一番良かったのは、やっぱりタンタンの存在だった。
タンタンという個人への愛着と幸せになって欲しい気持ちで武陵の旅を駆け抜けた感がマジである。

いずれストーリーが前に進んで、武陵を離れるときが来るんだろうけど…そのときストーリーからタンタンがいなくなるのが今から辛いくらい良いキャラだった。
明るく快活で主人公に親身になってくれ、一方年齢相応の幼さを感じさせるところもあって主人公が協力したくなる魅力も備えている。

大親分という肩書が虚栄ではなく、常に真剣に清波砦の家族のことを考えており、必要に応じて兄を討つ決断さえしてみせる姿は、本当に大親分だった。
もっとルアン・イーではなくタンタンを慕う清波砦のメンバーが居ても良かったんじゃないかと思う。
黒夜叉の前から姿を消そうとしたとき、タンタンがどこに隠れてるかをこっそり教えてくれる清波砦の人たちはこいつらちゃんとタンタンのこと好きなんだなと感じられて好き。

こんな顔見せられたらそりゃ好きになっちゃうじゃん…。
3Dのゲームでキャラクターの表情にこんなグッと来たのは初めてだったかもしれない。
涙を流しながら「雨が降ってきた」じゃなくて「いー天気だな」と言うのが、涙を肯定しているようにも、すぐ泣き止むからって宣言にも見えて趣深い。

キャストの演技も大変に良いものだった。
祖泉にルアン・イーの角を埋めに来たときの「本当は祖泉のそばで眠る資格ねーんだぞ」のか細い寂しさを感じさせる声にはマジでそれ単体で泣かされてしまった。

この可愛いとかっこいいが絶妙なバランスで噛み合ったお顔立ちが最高すぎる。
この「エンドフィールド」というゲームの産んだ最高傑作がタンタンです。


というわけで武陵編の感想でした。
不足があったことは本当にもったいないと思っているんだけど、まぁスマホゲーのストーリーというのは継ぎ足しで構築されていくものだし、今足りていないと思っているものが後で追加されることもあるだろう…。

風景のクオリティ、ムービーパートの満足度は四号谷地編から更に進化して満足のいくものだった。
だからこそストーリーの不足が目立ってしまうとも言えるんだけど。

今どき逆に珍しいよね、ストーリーの評価があんまり高くないの。
最近のスマホゲーはどれもまずストーリーの評判が良くて、その上で何か強みがないと生き残れないって感じなのに。

予算も人員も素晴らしいものを注ぎ込んで作っているのがわかるゲームなので、どうかストーリー面でももっと頑張ってほしい。
そしてキャラの描写をマップ探索の果てにようやく見つけるメモ書きとか、武器エピソードの方に盛り込まないでほしいと願う。


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